ニンジャスレイヤー二次創作【テンダー・ホワイト・ドラゴン・アンド・ブルタル・レッド・ブラック・ドラゴン】エピローグ
ローカルコトダマ空間から現実世界へと認識を戻した瞬間、ニンジャスレイヤーのニンジャ第六感が危機を感じ取った。だが反応がコンマ数秒遅れた。CRAAAAASH!! 突如として足元のシャチホコ・ガーゴイルが粉々に砕け散り、ニンジャスレイヤーはビルの外側へ転落した!「グワーッ!」
2016-06-02 22:18:11反応できないまでも、彼のニンジャ動体視力はいま起こったことを正確に把握していた。超遠距離から――ニンジャソウルを全く感知できなかったことからすると、おそらくは2km以上の距離から――放たれた狙撃スリケンが、わずかに狙いを逸れ、シャチホコ・ガーゴイルに命中したのだ。
2016-06-02 22:19:56「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはドウグ社製フックロープを射出し、ビル中層階の外壁に取りついて落下を止めた。狙撃スリケンの飛来方向からすると、この位置はまだ危険。「イヤーッ!」すぐにワイヤーを巻き取り、別のビルとの間でトライアングル・リープを繰り返しながら地上へと降下する。
2016-06-02 22:21:43アマクダリ・セクトとのイクサをやめる気は毛頭ない。だが、その中で生まれるコラテラル・ダメージには、どう向かい合えばいい? ねっとりと重い重金属酸性雨の中を降下しながら、ニンジャスレイヤーはなおも自問する。少なくとも今日の己は、その難題が具体化した目の前の状況から、逃げた。
2016-06-02 22:23:45……その後、ペク・ファランとチャン・ヨンソンは「行方不明」として処理された。トーシン・カラテヒーロー・グランプリ運営本部は、大人気選手であるファランの謎めいた失踪を憂い、一日も早い発見を願う公式声明を発表した。第10回TKグランプリのチケットは販売開始後30分で全席売り切れた。
2016-06-02 22:25:09日刊イカサマ・スポーツは、ファランの失踪後3日間は大きく紙面を割いてこの事件を扱っていたが、これ以上新しいネタが出てこないと見るや、新たな有望選手の紹介や第10回TKグランプリの試合結果予想に内容を切り替えた。その方が売れるからだ。ファランのサイン色紙が紙面に載ることはなかった。
2016-06-02 22:26:44数週間後、ネオサイタマTV独占放送のリアリティ・ショー「トーシン・ドラゴンズ・デン」シーズン5の開始直後から、女子部門の台風の目として「白龍の志を継ぐ者」「不屈のテコンドー・レディ」の二つ名で、ペク・ミナが注目されることになる。だがその詳細は別の機会に譲るとしよう。
2016-06-02 22:28:00《カラテとは要はエゴよ。エゴの強い方が勝つ》――憎悪と人間性の狭間で苦悩を抱えて戦い続けるニンジャスレイヤーが、痛恨の敗北を経て新たなメンターと出会い、シンプルにしてブルタルなこのインストラクションを得るのは、まだまだ先のことだ。
2016-06-02 22:29:11