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51 なんか落ち着かんくて、突っ立ったまんま。 程なくして戻った彼女は、ゆっくりやけど、真っ直ぐ俺の前に立って少し震える声で言った。 XX「すみません……緊張してしまって…。」 横山「そんなん……えぇよ……。」 XX「あのっ……恥ずかしいので……暗くしてもいいですか…?」
2016-04-26 22:42:14![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
52 横山「えっ、あっ、おん!それは…うん!」 慌てて電気を消した。 なんか全くペースが掴めんくて、焦って何もできんでおったら、暗闇に目が慣れて俯いたままの彼女が見えてきた。 それは彼女も同じようで、意を決したように俺を見ると、そっと俺の胸にしがみついてきた。
2016-04-26 22:42:18![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
53 びっくりして…でも優しく抱きしめた。 あかん……俺めっちゃ好きかも……。 その気持ちの流れで自然にキスしてた。 夢中で……たくさん…………。 ―――――― 試合終わったらちゃんと告白して…カノジョになってもらう! そう決めた。 やから、試合絶対勝ったんねん!
2016-04-26 22:42:22![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
54 気合い入れて練習がんばった。 そしてあっという間に試合当日。 みんなにドリンクやタオル配ってる彼女と、もう1人のマネージャー。 てっきり彼女が俺んとこ来てくれる思ったのに、来たのはもう1人の方。 まぁ、別に誰にって決まってへんやろし、仕方ないかって受け取った。
2016-04-27 23:24:14![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
55 でも気になってチラッと彼女を見ると、彼女もこっちを見た。 ほんの少しだけ照れたように笑って、でも悲しそうな顔して目を逸らした。 ……なんや、今の……。 気にはなったけど、試合に集中する。
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56 一際アホみたいにでかいヒナと、ずっとベンチのマルの声援は、その集中をちょっと邪魔したけど、無事勝利! 早よ2人になって、言いたかったのに、飲み会好きの先輩が、祝賀会やるってきかん。 ま、それ終わってからでえっか……。 流されて座ったその席は、彼女といちばん遠い席。
2016-04-27 23:24:23![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
57 しかも彼女の席はあの島田の隣。 早よ終わらんかな……。 そう思い続けて3時間…やっと終わった…。 島田たちにたくさん飲まされてた彼女を、早よ救い出さんと……そう思って彼女の姿を追いかける。 見つけた!思たら、島田にもたれかかっとる彼女の後姿……。
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58 え、なにそれ……。 俺に気付いた島田はニヤッと笑って、彼女の肩を抱く。 そして彼女と、島田と仲いい男の3人で消えた。 え、ちょ……なんでやねん……。 よりによって、あの島田……。 俺んこと……好きやって言うたやん……。 試合前の彼女の顔が思い浮かぶ。
2016-04-27 23:24:34![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
59 ……そういう意味やったん……? ―――――― 失意の中、次の日学校へ行くと、いつもと違ってなんや騒々しい。 横山「なんかあったん?」 村上「あいつ!!島田!!あいつが逮捕されよった!!」 横山「はぁぁっ?!逮捕っ?!」
2016-04-27 23:24:41![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
60 きのうの島田のしたり顔が頭を過ぎる。 村上「あのーほれ、最近この辺りで不審火騒ぎ続いとったやろ?あれ、島田やったらしいねん。」 島田が…放火しとったってこと? てか……きのう島田についてった彼女は……?
2016-04-28 23:08:17![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
61 心配になって、学校中探し回ったけど、彼女の姿はどこにもなく…代わりにもう1人のマネージャーを捕まえた。 「彼女しばらく学校休むらしいです…。マネージャーも辞めるって……。」 ……なんで……?
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62 もちろん放火とは無関係やったけど、彼女がどうして学校を休むことになったんか、俺はその時知ることができんかった。 ただしばらくして学校に来だした彼女は、俺のこと避けとるみたいで、そのまま何も無かったかのように卒業することになった……。
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63 村上「ほんなら、結婚式……色々頼むわ……。」 横山「おー…任しとけや。」 なんて、カッコイイこと言うてみる。 まんまるの前で2人を見送って、ちょっと店の入口を振り返る。 彼女と再会した時はほんまびっくりした。 相変わらず控えめで…でもカワイイ。
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64 まるで、“ただの”マネージャーだったかのように「先輩、お久しぶりです!」って…ニコニコしとって……あれ……忘れてしもたん……? 携帯見たら、妹様からたくさんの着信通知。 最後の履歴の時間からして……まだ大倉んとこにおるんかな……。 しゃーない妹やな……。
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65 ―――――― 大倉が独立してBARを開いたって松にぃから聞いた。 俺の代わり……ってそんなアレやないけど、妹の傍にずっとおってくれて……感謝しとるし、たぶんやけど2人は…その…認めたくないけど…そうで……やから、1度店に行って…て思うてた。
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66 でもなんか行きづらくて、躊躇しとったら、仕事終わりですばると行った松にぃの店で妹に会った。 しかもなんと男連れ。 でも、相手の顔よぉ見たら、俺も知ってた顔。 親父の会社で色々世話になった幾田。
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67 俺は仕事のやり方とか盗む気満々で仕事してたんに、それが申し訳ないくらい熱心に指導してくれた男。 社長の息子に指導とか、絶対やりにくかったに決まってんのに、幾田は冷静かつ的確に指導してくれた。 頭いいってのもすぐ分かったから、きっと俺の魂胆にも気付いとったはず。
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68 妹が親父の会社で働いてるん知ってたし、同僚なんやから……って思ったけど、妹はすばるの質問にあっさり“彼氏”やと認めて……それはそれは動揺。 え? 大倉ちゃうの……? ずばるは妹の彼氏に初対面で落ち込んどるとか笑ったけど、正直もっと複雑やった。
2016-04-28 23:08:47![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
69 それからちょっとして、俺は大倉の店に行った。 大倉「いらっしゃ……、いらっしゃいませ。」 びっくりした顔して、でもすぐニコッと笑って出迎えてくれた。 横山「とりあえず……ビール……。」 カウンター席の端っこに座った。 大倉「はい。」 ビールはすぐにやってきた。
2016-04-28 23:08:51![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
70 平日のまだ早い時間。 客は誰もおらんくて、2人きりやけど、お互いつかず離れずの距離で会話はしばらくなかった。 ビールが半分くらい減ったとこで、大倉の方から声をかけてくれた。 大倉「仕事終わりですか?もしかしてお腹空いてませんか?何かお作りしましょうか。」
2016-04-29 20:07:42![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
71 横山「あー……せやな……何できるん?」 大倉「まぁ、あり合わせですけど…嫌いなもんとかありますか?」 横山「……きゅうり……。」 大倉「あはっ……それ、小さい頃からでしょ?聞いたことありますわ。」 横山「え…。」 大倉「今日、きゅうり無いんで(笑)」
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72 不思議と嫌味な感じはせず、その笑顔を許す。 冷蔵庫を開けてしばらく考えてから、手際良くなんか作り出した。 そしてあっという間に出来上がったそれを、俺の目の前に出した。 大倉「こんなもんですけど。」 オムライス……うまそ。
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73 目線を上げると、大倉はまたニコッとして、俺の目の前から少しだけ離れた。 横に置かれたスプーンを取って、ゆっくり口に運ぶ。 横山「うんまっ……!」 大倉「ふふ…ありがとうございます。」 オトコマエで背も高くて、料理もできるんか……。 なんか悔しいなー…。
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74 それにしても……何をどぉ話したらえぇんや……。 “妹とはどぉなってんの?” って、聞けるか! 今更ながらに…はぁ…情けない…何しに来てん、俺……。 ふと、店内を見渡すと、奥に楽器置いてるのんが見えた。 横山「……弾けんの?」 俺の目線を辿る大倉。
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75 大倉「あー……俺はドラムだけです。バンドやってたんです。」 横山「へぇー……そーなんや……。」 大倉「あ、横山さんのところに安田と錦戸っておりますよね?あの2人とバンドやってたんです。」 横山「えっ!そぉなん?!」 大倉「はい、ふふ、世間て狭いですよね?」
2016-04-29 20:08:00