不平等を考える――稲葉振一郎著『不平等との闘い ルソーからピケティまで』(読書メモ)

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未発育都市 @mihatsuikutoshi

続き)今日ではリチャード・フロリダやエドワード・グレイザーなどの都市経済学者が更に詳しく論じている。ちなみに、両者ともジェイン・ジェイコブズの影響を受けている。19世紀~のヨーロッパは都市化が進んだ時代でもあり、そのことが「技術革新」を加速させたとも言えるのかも知れない。

2016-06-01 01:06:40
未発育都市 @mihatsuikutoshi

『ジェイン・ジェイコブズの世界 1916-2006』 amazon.co.jp/dp/4865780742 生誕100年記念出版。5/26発売。メモ_φ(・_・

2016-06-08 00:16:47

第5章「人的資本と労働市場の階層構造」

未発育都市 @mihatsuikutoshi

稲葉振一郎著『不平等との闘い ルソーからピケティまで』 amazon.co.jp/dp/4166610783 の第5章「人的資本と労働市場の階層構造」を読んだ。20世紀後半の経済学のサブジャンルである「労働経済学」について。この時代の経済学の主流は分配問題よりも成長問題(生産)だった。

2016-06-02 00:19:26
未発育都市 @mihatsuikutoshi

続き)この章ではその時代の成長問題の研究の内容が詳しく論じられている。金融システムの発展、人的資本というコンセプト、労使関係の変容、大企業と中小企業の階層的構造、等々。どの話もとても興味深いのだが、成長問題のそれぞれの研究が進んでいくと、成長問題と分配問題の不可分性へと辿り着く。

2016-06-02 00:36:28
未発育都市 @mihatsuikutoshi

続き)つまり、20世紀後半の経済学では分配問題への関心は後退して成長問題が主流となったのだが、その成長問題の研究が進むと、成長には実は分配も重要であることが分かった、という流れ。そして、この潮流が90年代以降の分配問題(不平等)への関心の再燃の伏線を提供した、と著者は述べている。

2016-06-02 00:40:48
未発育都市 @mihatsuikutoshi

というわけで、次の第6章は「不平等ルネサンス(1) 「クズネッツ曲線」以後」です。一応、「不平等ルネサンス」とは、90年代以降の「不平等論議の新しいステージ」の意です。要するに、前にツイートしたように、経済的不平等の問題は現代の最先端の議論なのです。今日はここまで。

2016-06-02 00:52:58
未発育都市 @mihatsuikutoshi

一応、このツイートな。 twitter.com/mihatsuikutosh…

2016-06-02 00:54:53
未発育都市 @mihatsuikutoshi

続き)つまり、経済的不平等の問題は現代の最先端の議論なのである。これは日本でも同じである。かつての1億中流階級幻想はもはやない。よって、建築言論においても仮に「日常」や「社会性」等といった一般性のある用語を用いるのであれば、この経済的不平等の問題は、既に避けて通れなくなっている。

2016-05-28 09:39:45

第6章「不平等ルネサンス(1)」

未発育都市 @mihatsuikutoshi

稲葉振一郎著『不平等との闘い ルソーからピケティまで』 amazon.co.jp/dp/4166610783 の第6章「不平等ルネサンス(1)」を読んだ。この章はこの本の後半へ向けてのガイダンスで、今までで一番読みやすかった。とは言え、次の第7章が一気に本気モードっぽいので震えている。

2016-06-02 23:51:22
未発育都市 @mihatsuikutoshi

ただ、この章は一大転回点なので少し長めに引用などをしておく。1950年代に経済学者のクズネッツが「クズネッツ曲線」を発表した。今日では経済学者のピケティが統計的実証研究に基づいてこの論を批判したことでかえって有名になったかも知れないが、これは元々それほど理論的でもなかった。(続く

2016-06-02 23:56:46
未発育都市 @mihatsuikutoshi

続き)むしろ当時のアメリカの歴史観(マルクス主義批判)そのものであった。クズネッツ曲線とは「不平等は経済発展とともにどんどん拡大していくが、しかしそのペースはいずれゆるやかになり、ついには逆転する」(グラフでは逆U字曲線になる)というもので80年代までは割と信じられていた。(続く

2016-06-03 00:02:28
未発育都市 @mihatsuikutoshi

続き)しかし、90年代に入ると「クズネッツ曲線」の予測を外れる事態が観測されるようになった。先進諸国において不平等が拡大していることが分かったのである。今風に言えば、実証研究によって“トリクルダウンは起きない”ことが明らかになったのである。よって、90年代以降の経済学では(続く

2016-06-03 00:08:04
未発育都市 @mihatsuikutoshi

続き)分配問題への関心が再燃し、この本で著者が「不平等ルネサンス」と呼ぶ気運が高まっていくのだが、気を付けなければならないのは、これはかつての古典派経済学的な関心の再興であるとも言えるのだが「ただしその方向は逆転している」と著者が指摘している点である。どういうことかと言うと(続く

2016-06-03 00:12:57
未発育都市 @mihatsuikutoshi

続き)それは昨夜の第5章でツイートしたように、成長問題と分配問題は不可分だからである。現在の実証研究では「各国の不平等度と経済成長率との間には、負の相関関係がみられる、つまり、国内的不平等が悪化すればするほど、その国の経済成長率は低くなる傾向がある」ことが既に分かっていて(続く

2016-06-03 00:17:23
未発育都市 @mihatsuikutoshi

続き)その上で「前者が後者を引き起こしているのではないか」という問いが提出されているからである。つまり、「一国における経済的不平等が、その経済成長を停滞させているのではないか、また反対に、分配をより平等にしていくことが、成長率を引き上げる効果を持つのではないか」というわけです。

2016-06-03 00:20:33
未発育都市 @mihatsuikutoshi

続き)このような「分配から生産へ」の因果経路やメカニズムへの関心の高まりを「不平等ルネサンス」と著者は呼んでいるのです。その具体的な理論については次の第7章「不平等ルネサンス(2)」と第8章「不平等ルネサンス(3)」で詳しく論じられていると思う。第9章以降はピケティについてです。

2016-06-03 00:26:28
未発育都市 @mihatsuikutoshi

今日はここまで。連続ツイート、失礼いたしました。

2016-06-03 00:27:33

(閑話休題)

未発育都市 @mihatsuikutoshi

今日の読書感想ツイートはなし。まだ第7章を読んでいる途中です。(。-_-。)

2016-06-04 00:02:56
未発育都市 @mihatsuikutoshi

面白い。/ .@philosophyszk さんの「車中泊で日本一周した時の「漁港」と「農村」の違いに対して様々な意見が挙がる」をお気に入りにしました。 togetter.com/li/982860

2016-06-04 12:02:04
未発育都市 @mihatsuikutoshi

.@MAROCKs さんの「講演の終わった後の質疑応答で、「なぜそもそもセーフティネットなどが必要なのでしょうね?努力しないで貧困なら仕方ないで..」をお気に入りにしました。 togetter.com/li/982889

2016-06-05 23:48:03
本田由紀 @hahaguma

今日は、様々な専門分野の大学院生に講演をする機会があり、終わった後の質疑応答で、「なぜそもそもセーフティネットなどが必要なのでしょうね?努力しないで貧困なら仕方ないですよね?」というような質問が複数、真顔で出されて、この人たちの生きている世界の狭さを思い知った。知ってはいたが。

2016-06-03 00:24:39
本田由紀 @hahaguma

講演では、貧困の増加、人々の間の分断の深まり、社会保障と再分配の必要性などを話した。その後にこういう質問が出たということは、セーフティネットの必要性を十分伝えられていなかったという点では敗北であり、話した通りの分断がまさに目前にあるという点では正鵠を得ていたわけだ。

2016-06-03 00:50:33
本田由紀 @hahaguma

理系の大学院生などは、うっかりすると社会問題に関する講義など受ける経験がないケースはありうる。それは2つの点で問題だ。1つは、彼らが社会のエリートになり自分の狭い経験でルールを作っていく弊害。他方は、彼ら自身がポスドク問題などで苦境に遭遇した場合、自分を責めるしかないという点で。

2016-06-03 01:02:02
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