オーストリア・ハンガリー帝国軍の制服、ちょっとだけ薀蓄話 (歩兵中心)
- schnitzel_san
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この2つのスクリーンショットは、どちらもさきほどご紹介した映画『ラデツキー行進曲』から。
(もうお分かりだと思いますが、最初のものは槍騎兵のウランカ、ただし一般兵のもの。次の少尉さんとの違いは、左肩の紐の色。一般兵は黄色と黒、将校は金色です。最後の三人は猟兵将校。…いや〜、らしくないことを言った後にこういうツイートをするとほっとします…)#最近フォローした人は知らない
2016-06-22 09:41:53あと、歩兵だと開いている人と、ホックをカスタマイズしている人がいたりして、そのあたり、個人の裁量に任されている感があります。特に将校は自分で仕立てさせるので、かなりアレンジが入ったものなどもあったそうです。さすがに目に余るものは罰せられたようですが…。
2016-06-22 10:00:40とりあえずなんでも実験してみよう主義のわたしは、実証のためにこのクラヴァットを自作してみたことがあります。セルロイドではなく、芯に使う硬いリボンを使って作ったのですが、確かにこれを着用すると、ラルフ・ローレン小隊制服の襟も直立。 pic.twitter.com/kPCoPmyu1x
2016-06-22 10:35:47.@keitel1882 クラヴァットには色々なシステムの留め方があったようです。紐やホックで止めるもの、差込形、セルロイドの力だけで留めるもの(つまり、カーブのついたセルロイドが平らに戻る力で襟を内側から押さえる)まであります。 pic.twitter.com/yEkWUXQ5re
2016-06-22 10:52:10(ドイツ語ではOffizierskrawatteなので、訳としてはクラヴァッテでも良いと思うのですが、それだと一般的なネクタイと同じになってしまうので、悩んだ末にKrawatteの語源とされているKråwåtからクラヴァットと翻訳することにしています。将校ネクタイ、はちょっと…)
2016-06-22 10:57:11だからですね、軍服を脱いだ瞬間、このクラヴァットが見えないような絵を描いちゃダメですよみなさま…!(認知度が上がってくれたら嬉しいです…)高瀬先生が以前描いて下さったホリンカ少尉も、きちんとクラヴァットをつけております…! twitter.com/kugesamurieta/…
2016-06-22 11:11:31しゅにっつぇる様著「レードル少佐」に反響多数でしたので、私 高瀬の献画を添えて改めて。第一次世界大戦直前ウィーンで起きたスパイ事件とその背後の同性愛問題の小説・同人本「レードル少佐」、お問合せは@schnitzel_san まで! pic.twitter.com/TOAeiCDIIP
2015-10-16 20:12:23しゅにっつぇる様著「レードル少佐」に反響多数でしたので、私 高瀬の献画を添えて改めて。第一次世界大戦直前ウィーンで起きたスパイ事件とその背後の同性愛問題の小説・同人本「レードル少佐」、お問合せは@schnitzel_san まで! pic.twitter.com/TOAeiCDIIP
2015-10-16 20:12:23最後の一枚、拙作の表紙を描いてくださったのは、先ほど『瓶緑さん』でご紹介したさかきくみこさんです。
このような薀蓄がいつ生きるかというと…シュニッツラー最晩年作品『夜明けのゲーム』の映画化より。(2001)襟元、クラヴァットないですね。これでこの少尉さんが正しい身支度すら出来ないほど追い詰められ、切羽詰まった状態だとわかるのです。 pic.twitter.com/BBb0agWyoZ
2016-06-22 20:30:04実際、人助けのためにした賭博の借金で首が回らなくなり、金策も空振り、万策尽きたところに昔関係を持った花売りの女性が女実業家となって現れる、それも寝起きに!というシーンなので、全く余裕なし。以上、小さな服飾知識が史学や文学とどう絡んでくるかという話が出来てちょっと嬉しかったです。
2016-06-22 20:35:43おわりに
今回は墺洪軍のなかでも歩兵の話が多めでしたが、一般的に墺洪軍の制服として華々しく有名なのは、肋骨のような装飾がついた軽騎兵をはじめとした騎兵ではないかと思います。いずれまたそちらについてもツイートしたいと思います。
日本語に訳された資料はなぜか非常に少ない墺洪軍ですが、この時代のヨーロッパ全体の軍服をスケッチしたハスウェル・ミラーの『Vanished Armies』
https://www.amazon.co.jp/dp/B01BY304XE/
なら、日本からも電子書籍で入手可能です。
ここでも墺洪軍服の全体像をおおまかに掴むことができます。
最後に宣伝を…投稿者はこの第一次世界大戦開始前の墺洪帝国軍を舞台にした実際のスパイ事件
『レードル大佐事件』
を題材にしたBL系歴史創作小説を書いております。
このレードル事件については、こちらのまとめで以前ご紹介しました。
『レードル大佐事件』紹介 ― 第一次世界大戦直前のオーストリア・ハンガリー帝国軍諜報部機密漏洩事件の顛末
「軍服は脱いだら意味が無い」のポリシーを貫いておりますので(笑)、このコンセプトにご理解をいただければ、そちらもどうぞよろしくお願いいたします。
http://privatter.net/p/862470