艦乗りのプライド

竹村京さん(@kyou_takemura)の書いてくださった、落ちぬい二次です! 今回は香港近辺にいる金剛型&あたご型、あきづき型護衛艦と深海棲艦の抗戦のお話。ぜひおたのしみください! ご感想などは、竹村京さんor#落ちぬいタグへ。 続きを読む
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竹村京 @kyou_takemura

多くの海戦を駆け抜けた金剛型の艤装記憶がそうさせるのかもしれないが、華奢で明朗快活な女性がそのような事を口にするのは、正直に言って気味が悪い。#落ちぬい二次

2016-07-06 23:55:02
竹村京 @kyou_takemura

「金剛姉さま、私も手持ちの戦力ではこれがベストの配分と考えます。私たちの対空防御が作戦の成否を握っているのですから、充分な活躍かと」 「それもそうデース……」#落ちぬい二次

2016-07-06 23:56:19
竹村京 @kyou_takemura

霧島の取り成しで金剛の不満は収まる。本作戦で金剛型の二人が活躍するという事は護衛艦による作戦遂行が失敗するという事を意味しており、そうなっては金剛型も連携に難ありと評価されてしまうだろう。 打ち合わせが終わると、金剛がにっこり笑って言う。#落ちぬい二次

2016-07-06 23:59:54
竹村京 @kyou_takemura

「紅茶が飲みたいネー」 腕時計を見ると、1500時を少し回っている。 「ティーバッグしかありませんが、それでよければ用意させましょう」#落ちぬい二次

2016-07-07 00:00:08
竹村京 @kyou_takemura

士官室付きの海士を呼び、人数分の紅茶の用意を命じる。海士が出ていくとめいめいに立ち上がり、凝った体をほぐす。金剛はそのまま士官公室に飾られている写真などを興味深そうに見物し始めた。#落ちぬい二次

2016-07-07 00:01:55
竹村京 @kyou_takemura

霧島がさりげなく倉橋の横に立つ。並んでみると、霧島は男性の平均よりやや背が高い倉橋とさほど変わらない高身長である。この背丈と恵まれたプロポーションならば、艦娘にならなければモデルでも充分やって行けただろうと倉橋は思った。#落ちぬい二次

2016-07-07 00:02:10
竹村京 @kyou_takemura

「あの、誤解なさらないでくださいね」 霧島が小声で倉橋に話しかける。 「何をです?」 「姉さまは戦闘狂ではありません。あれはプレッシャーに耐えるための、キャラ作りですから」#落ちぬい二次

2016-07-07 00:04:05
竹村京 @kyou_takemura

なるほど、たった四人の女性が祖国を離れ、世界の金融市場を左右する大都市香港を守る。その重圧は計り知れない。浅慮にも気味が悪いと感じた自分を恥じた。 「申し訳ない」 さらに小さな声で、こっそり付け加えた。#落ちぬい二次

2016-07-07 00:04:23
竹村京 @kyou_takemura

「ついでに言うと、あの紅茶好きもキャラ作りです。好物は緑茶とおまんじゅうですから」 口元を隠してくすくすと笑いながら霧島が言う。倉橋は二人の様子に少し微笑ましさを感じるのだった。#落ちぬい二次

2016-07-07 00:04:35
竹村京 @kyou_takemura

艦娘との合流から一昼夜が経った。目標の島はもう目と鼻の先である。 CICはピリピリと緊張感が漂っている。外は見えず、ディスプレイだけが頼りなのは普段の教練と同じだが、やはり教練と実戦の差は大きい。#落ちぬい二次

2016-07-07 00:07:25
竹村京 @kyou_takemura

「合戦準備!」 航海指揮官が航海艦橋から号令を飛ばすと、艦橋の要員たちが即座にカポックを身に着ける。 「SPYレーダー目標探知。120度に7機、真っ直ぐ近付く」#落ちぬい二次

2016-07-07 00:08:58
竹村京 @kyou_takemura

対空戦担当オペレーターがコンソールを凝視しながら報告する。飛行場姫が航空機を発進させたのだ。本来、SPY-1D(V)レーダーの探知範囲はもっと広く、約400kmほどはある。つまり今回の場合だと飛行場姫の航空機は発進したらほぼ即時に捕捉できるという事だ。#落ちぬい二次

2016-07-07 00:10:26
竹村京 @kyou_takemura

「配置つけます」 「了解」 攻撃指揮官となった副長が戦闘配置に付けることを報告、艦長がこれを了承する。 「対空戦闘用意!」#落ちぬい二次

2016-07-07 00:12:46
竹村京 @kyou_takemura

攻撃指揮官がボタンを押すと艦内にアラームが鳴り響く。それを合図に全員が航海時の持ち場から戦闘時の持ち場へ走り、各所の水密扉が残らず閉鎖される。二人の艦娘も艤装を装着している。準備完了の報告が艦橋を通しCICに届いた。 「各部対空戦闘用意よし!」 「了解」#落ちぬい二次

2016-07-07 00:13:02
竹村京 @kyou_takemura

「目標は7機、更に近付く」 その報を受けて、艦橋では二名が双眼鏡を覗いて当該方向を警戒する。 「視認できないか?」 「右120度方向、何も視認できない!」#落ちぬい二次

2016-07-07 00:13:51
竹村京 @kyou_takemura

なにしろ深海棲艦の航空機は小さい。大き目のラジコン飛行機程度しかないのだ。高速のミサイルとは違う意味で目視確認は困難だった。 だがレーダーはその機影を捉えている。機種はほぼ爆撃機と見られる。海軍側に艦上戦闘機がないのだからわざわざ向こうも戦闘機を出す必要はない。#落ちぬい二次

2016-07-07 00:15:53
竹村京 @kyou_takemura

「ボギー多数。IFF、無線ともに応答なし。バンディットと確定」 もとよりこの島を中心とした海域・空域は民間機及び船舶の立ち入りは禁止されている。そこで軍以外のブリップがモニターに映ればそれはつまり敵である。#落ちぬい二次

2016-07-07 00:16:57
竹村京 @kyou_takemura

深海棲艦が出現してからは実戦が珍しい事ではなくなったが、多くの場合は高速性能とミサイルを用いた遠距離戦かつ撤退戦なので、こうして正面から、しかも対地攻撃を実施するというのは極めて珍しい。#落ちぬい二次

2016-07-07 00:21:04
竹村京 @kyou_takemura

「HS発進!金剛、霧島は海へ降りろ!」 あたごの飛行甲板からヘリが飛び立ち、艦から大きく離れて待機する。すぐに接近しないのは、対空兵装を持たないヘリでは敵防空網を突破できないからだ。#落ちぬい二次

2016-07-07 00:21:17
竹村京 @kyou_takemura

金剛と霧島は攻撃目標からは影になる左舷に飛び降りた。あたごと金剛、霧島は単横陣、てるづきはあたごの真後ろというL字の陣形で進む。#落ちぬい二次

2016-07-07 00:22:43
竹村京 @kyou_takemura

島の地形は北側の標高が高く、南側が海に対して開けており港湾も南にある。陸上型の深海棲艦は港湾からやや奥まった平野に航空基地を整備しつつあった。攻撃部隊は東側から南へ回り込むように進んでいる。#落ちぬい二次

2016-07-07 00:23:00
竹村京 @kyou_takemura

「第三戦速とします」 「了解」 「艦橋、第三戦速、おもーかーじ!30度、よーそろ!」 「マーク三戦速、三戦速!おもーかーじ、30度よーそろ!」 CICにいる攻撃指揮官の号令を艦橋の航海指揮官が復唱し、速やかに転針する。最も防御に有利な角度、即ち直角である。#落ちぬい二次

2016-07-07 00:24:52
竹村京 @kyou_takemura

機関室では遠隔操作されたガスタービンが唸りを上げ、船足も12ノットの原速から一気に増す。三戦速は24ノットだ。#落ちぬい二次

2016-07-07 00:25:17
竹村京 @kyou_takemura

あたごの機関構成はCOGAG――低速時は二基のエンジンのみを使用し、戦闘時や高速航行時にはさらに二基のエンジンを使用するものだ。その応答速度は大戦期の戦闘艦とは比べ物にならない。 そうしている間にも敵艦爆隊はその攻撃距離に入りつつあった。#落ちぬい二次

2016-07-07 00:25:30
竹村京 @kyou_takemura

「攻撃します」 「了解。引き付け、できるだけ多く撃墜せよ」 まずは艦爆による急降下爆撃。読み通りである。敵艦爆が降下を始める直前、攻撃指揮官が命令を下す。 「対空戦闘!近付く目標、金剛、霧島、三式弾攻撃始め!」#落ちぬい二次

2016-07-07 00:27:06
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