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DD_LUNAKICHI
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ライトセイバーと焔刃剣が激しく鍔迫り合う。瑠奈花は辛うじて攻撃を受け止めたものの、利はブレイズエッジが掴んでいた。瑠奈花は焔刃剣が纏う炎の熱気に晒され、流れを取り戻せずにいた。ブレイズエッジは繰り返し剣を光刃に打ち付ける。迸る火花が瑠奈花の瞳を焼いた。
2016-08-06 23:23:50![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
((今だ))ブレイズエッジは瑠奈花の手を蹴り上げた。ライトセイバーが瑠奈花の手を離れ虚空を舞う。ブレイズエッジはすかさず瑠奈花の背中を捉え、焔刃剣で焼き切った。 「ぐああ!」短い悲鳴を上げ、光刃の英雄は倒れた。ローブを貫通して背中が焼け焦げ、同時に焔刃剣の炎が消えた。
2016-08-06 23:26:42![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
「愚かなり剣聖よ。くだらぬ恩愛をかけねば私を容易に討てたものを」復讐は果たした。瑠奈花はまだ死んでいないが、後は当初の予定通りここを焼き払ってしまえばよい。ブレイズエッジは瑠奈花を一瞥すると、周囲を見渡し戦利品を探した。光刃の英雄を討ち取った証として、彼のライトセイバーを求めた
2016-08-06 23:27:44![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
だがライトセイバーは見当たらない。代わりに目に入ったのは黒い少女だった。駆逐古鬼は立ち上がり、呆然とブレイズエッジと、自らの手を見つめていた。その手には、英雄の剣が握られていた。
2016-08-06 23:28:29![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
「なんのつもりだ」「この通りだ」駆逐古鬼は震える手でライトセイバーを握りしめ、光刃を起動した。「お前は、私が倒す」 「まさか。この私に勝てるとお思いか」「…やってみるさ。はぁーッ!」 駆逐古鬼はブレイズエッジへ突撃した。ブレイズエッジは光刃を容易に受け止め、持ち主ごと弾き飛ばした
2016-08-06 23:30:18![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
「勝てぬ見込みのないイクサはするものではないと教えたはずです」「舐めるな!」再び光刃を向ける!駆逐古鬼の見様見真似の剣はブレイズエッジにとって児戯に等しかった。駆逐古鬼はライトセイバーを逆手に構えた 「今度は私の猿真似か」「お前の技は覚えている。これならどうだ!」
2016-08-06 23:31:47![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
炎の代わりに、万象を断つ光刃を纏った剣で地面を抉り、渾身の力で斬り上げる。だが全力の一撃ですら、ブレイズエッジには軽く受け止められた 「なんだ、その憐れな技は」「そんな…!」 ブレイズエッジは剣で光刃を絡め、斬り払った。刃がライトセイバーの柄を両断し、パーツが飛び散った。
2016-08-06 23:33:24![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
「我が焔刃の妙技は、こうして使うものだ!」焔刃剣で地面を抉り、炎を纏った刀身を、ブレイズエッジはそのまま駆逐古鬼の身体に押し当てた。主観時間が鈍化し、腹が焼け、衝撃が内蔵を押し潰す。重い痛みが駆逐古鬼の身体を貫いた。辛うじて吹き飛ばされず耐えたものの、駆逐古鬼は吐血し、倒れた。
2016-08-06 23:34:58![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
圧倒的な強さだ。最初から考えれば、瑠奈花に勝てなかった自分が、瑠奈花を倒した敵に勝てるはずがなかった。瑠奈花のライトセイバーが自分の足元に落ちてきた時は天命だと思った。だが所詮は、やぶれかぶれの悪足掻きだったのだ。今や英雄の剣は、無残にも破壊されてしまった
2016-08-06 23:36:11![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
「他愛ないものだ。せめて、お前達のことは忘れはせぬ」ブレイズエッジは剣を鞘に収め、踵を返した。新たな爆薬を用意し、この洞窟は爆破する。そうすれば、深界にも教団にも自分の行動が知れることはない。今回の行動は千載一遇のチャンスを活かすための独断専行だった。不要な咎を受けては面白くない
2016-08-06 23:38:10![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
「…?」ブレイズエッジは壁を見つめた。何かが削れるような、叩きつけられているような音がする。外で海戦でも行われているのか。次の瞬間、ブレイズエッジに陽気な叫び声と岩盤が叩きつけられる! 「連装砲ちゃんクラーッシュ!!!」「何!?」辛うじて受身を取ったブレイズエッジは状況確認した
2016-08-06 23:40:06![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
洞窟の岩盤に大穴が空き、目の前には珍妙な装備を纏った少女、島風が立っていた。彼女に続き、天龍と吹雪が突入した。菊月が最後に短鉄鞭で手を叩き、威圧感を放ちながら悠々と歩いてきた。 「甘いな。私から逃れられると思ったか」菊月は瑠奈花と駆逐古鬼に視線を向けた。瑠奈花は起き上がっていた
2016-08-06 23:41:53![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
「うむ、生きてはいるようだな」「遅いぞ全く」「間に合っただけありがたく思え」駆逐古鬼もゆっくりと起き上がる 「主君を助けに来たか。だが無駄よ」ブレイズエッジは再び焔刃剣を抜く。 「この状況で勝てると?」「この2人は最早戦えぬ。お前達3人が動く前にこの2人を殺せば私の勝ちだ」
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「ふん、お前の目は節穴か」「何?」菊月は嘲笑うように言った 「よく見ろ。誰が3人だと言った」「なんだと」ブレイズエッジはそこで、頭上の気配に気がついた。崖の上に人影が3つ。ブレイズエッジが姿を確認すると、3本の光刃が現れた。大井、U-511、清霜が頭上と背後を取っていた。
2016-08-06 23:44:59![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
「成程、お前達の方が上手だったようだな」ブレイズエッジは剣を収め投げ捨てた。剣は駆逐古鬼の前に落ちた。 「投降する。好きにしろ」「潔いな」「勝てぬイクサはしない主義なのだ」 大人しくなったブレイズエッジを天龍と吹雪が連れていった。残された駆逐古鬼はかつての恩師の剣を強く握りしめた
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「まさか本当にお前が神風だったとはな」菊月は物珍しげに駆逐古鬼の身体を眺めた 「深界の適応手術を受けたらこうなるのよ。あまりジロジロ見ないで」 駆逐古鬼達はフライトリバティーの甲板に連れてこられた。艦娘達から質問責めを受けるかつての大戦の戦士を、ブレイズエッジは呆れ顔で見ていた。
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「お前達、これからどうする」「どうするって…」 瑠奈花の問に駆逐古鬼は困った顔を見せた。 「吹雪の死の真相を知った今、深界には戻りたくないし…どうするかなんてわからないわ」「そうか。ならうちにいてくれないか。“神風”として」 駆逐古鬼は素っ頓狂な声を上げた
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「本気?私みたいな化物を」「本気ですよ」吹雪が優しく言った。 「司令官は深海の民と人類の共存を目指しています。それに貴方は化物なんかじゃありません」「あんた…」 「それにだ」瑠奈花は駆逐古鬼に手を差し伸べた。「“吹雪”のことについて。まだまだ話したいことは沢山ある。どうだろうか」
2016-08-06 23:52:42![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
駆逐古鬼は暫し考え、そして言った。 「艦娘に戻るかはまだ決められない。でもそれまではあんたのところで世話になるわ」 かつて大戦で失われた艦娘神風は、今地上に帰還した。 「いざとなったら使って頂戴。この神風が貴方の剣になる。“吹雪”が命を賭けて守ろうとしたあなたを、私も守る」
2016-08-06 23:54:35![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
神風は焔刃剣を携え、決意した。その時だ。 「ちょっと待て」ブレイズエッジが会話に割って入った 「さっき“お前達”と言ったな。まさか私にも聞いていたのではあるまいな」「その通りだが」「アホかお前は」ブレイズエッジは首をナナメに傾けた。「深海棲艦をも仲間にするつもりか」
2016-08-06 23:55:34![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
「いや、それは流石に難しいな。もし留まるならしばらく匿うだけになると思うが」「匿ってどうする。厄介な荷物になるだけだ」「そうでもないな」菊月が割り込む。 「私たちは離島一派と繋がりがある」「離島一派だと?あのレジスタンス共とか?」「ああ、そうだ」
2016-08-06 23:57:11![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
「話を聞いた限り、お前は深界にもその変な教団とやらにも大っぴらには帰れないそうだな」「変なとはなんだ。奇跡の集団だぞ」ブレイズエッジはナナメのハンドサインを示した。 「ああ、そうかそうか。とにかくいつコンタクトが取れるか不明だが、行き場がないなら奴らの元に送ってやれるという訳だ」
2016-08-06 23:58:47