【イビル・ハーミット・コボリー・ジャージ】

キャヴァリーチャージの紛い物とゾンビーとゴシップミルと。
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不幸鳥 @hukurou_nayuta

「グワーッ!」地面を転がるゴシップミル。まずい、かなりまずい!「アバー…」ロトンテイルが追いながらチョップを繰り出し続ける。フールウィルムが荒々しく暴れまわる。「いっそやられてしまいましょうよ、その方が楽では?」挑発的に宣うコボリージャージ。その時!「そこまでだ!」26

2016-07-20 23:15:36
不幸鳥 @hukurou_nayuta

声。それから、激しい光。コボリージャージが後ろを振り返った頃には、ゾンビーたちは蒸発していた。「ば、バカ…な…」ゴシップミルは笑った。「よかった…間に合った…」突如魔方陣から現れたそれは、山高帽の位置を直し、燃えるマントをはためかせた。そして名乗った。「私は、探偵のザザ!」27

2016-07-20 23:18:40
不幸鳥 @hukurou_nayuta

【イビル・ハーミット~】続き

2016-08-07 14:47:25
不幸鳥 @hukurou_nayuta

「私は、探偵のザザ!」ダイヤモンド義眼の男は名乗り、コボリージャージとユーゲン・ドーシたちに見栄を切った。「ど、ドーモ。コボリージャージです。見事なアンブッシュ…まずいな、なんて光線だ」ゴシップミルは立ち上がり、ザザに言った。「ねえ、ザザ=サン!御札だけ燃やすって…出来る?」1

2016-08-07 14:49:42
不幸鳥 @hukurou_nayuta

ザザは頷いて見せた。「不可能はないだろう」ゴシップミルはコボリージャージに向き直り、指を差した。「お前!ザザ=サンが来たからには、もうオシマイだぜ!」「何を。勝ち誇ったつもりですか」コボリージャージが片手を上げると、ユーゲン・ドーシたちが襲い掛かった。「「アバー」」2

2016-08-07 14:53:17
不幸鳥 @hukurou_nayuta

「あ、でもそうしたらコボリーのやつは札貼ってまた数増やすのか」ゴシップミルは鉄パイプを振り回し思考した。「そうなるな」ザザは義眼光線を浴びせたまま言う。「貴様はあの少女とドラゴンを救いたいのだな」「……うん、そうだ」あまりにも甘い。甘さと臆病、それで出来ているようなニンジャだ。3

2016-08-07 14:56:17
不幸鳥 @hukurou_nayuta

ついでに卑怯。そのために、このようなイレギュラー存在も喚ぶのだ。「助ける、二人を。ついでにあのヤロウも倒す」「うむ」光線が焼き払う!鉄パイプで抗う!ゾンビーが襲いかかる!ジャージの主もカラテで対抗する!「イヤーッ!」「い、イヤーッ!」コボリージャージの蹴りを鉄パイプで受ける。4

2016-08-07 15:00:05
不幸鳥 @hukurou_nayuta

鉄パイプが軋む!「厄介な……者を呼びよって…!イヤーッ!」コボリージャージはゴシップミルを弾き飛ばす!「グワーッ!と、当然だろうが!自慢じゃねえがアタシ一人であんたらを相手取れるわけがないのよね!」何とか体勢を整える。その間にもザザは義眼光線によりゾンビーを一掃している。5

2016-08-07 15:03:36
不幸鳥 @hukurou_nayuta

「イヤーッ!」そこへロトンテイルが飛び掛かった。「ヌゥッ……!」しなる尻尾をいなし、ザザはタイミングを見計らい光線を浴びせた!ZZZZAP!「アバーッ!?」命中した。ナムサン!ロトンテイルも他のユーゲン・ドーシ同様、蒸発してしまうのだろうか!?ロトンテイルは仰向けに倒れる。6

2016-08-07 15:07:08
不幸鳥 @hukurou_nayuta

その額には、御札が……ない!倒れたロトンテイルは白目を剥いているものの、無事であった!ザザは、札のみを燃やしたのだ。……流石に全くのノーダメージというわけにはいかなかったが。「ゴシップミル=サン!ゾンビー少女は支配から解放された!」コボリージャージと対峙する召喚士に向かい叫ぶ。7

2016-08-07 15:12:44
不幸鳥 @hukurou_nayuta

「…だってよ!聞いたか!?」ゴシップミルは笑う。コボリージャージは苛立ちに顔を歪ませた。「イヤーッ!イヤーッ!」そして畳み掛けるようにチョップや蹴り、スリケンを繰り出した!かわしきれない!「グ、グワーッ!」転げるゴシップミル。追うジャージ。その間に義眼の探偵が立った。8

2016-08-07 15:16:23
不幸鳥 @hukurou_nayuta

超自然のマントが燃え、閃き、ダイヤモンドの目が輝く。「私には許せぬものが3つある」コボリージャージは僅かに恐怖し、それから眉をひそめた。「一つ。締め切りを守らぬもの」邪仙はあとずさる。「二つ。応募券を揃えているというのにズルズルと過ごし応募しようとせぬもの」ザザは歩を進める。9

2016-08-07 15:21:49
不幸鳥 @hukurou_nayuta

「三つ」邪仙は唾を飲む。尊大なるジャージの主は今や、完全にこの両目義眼の男を畏れていた。「悪を絶対に許さぬ!つまり、貴様だ!」義眼光線!ZZZZZAP!「アアアアーッ!」コボリージャージはのたうちまわった。ナムアミダブツ!しかし、彼も、ゴシップミルもザザでさえ気付いていない。10

2016-08-07 15:25:56
不幸鳥 @hukurou_nayuta

迅速に忍び寄る影を。それは、どこからともなく現れ。「イヤーッ!」鋭いカラテシャウトが響いた。ゴシップミルのものでも、コボリージャージのものでも、ましてやザザのものでもない。ロトンテイルは戦闘不能。ならば、何が?「ARRRGH!」間を置かずに、何者かの苦悶の声。これは。11

2016-08-07 15:29:56
不幸鳥 @hukurou_nayuta

ゴシップミルは青ざめた。そちらを振り返った頃には遅かった。自分に襲いかかろうとしていた巨竜は、何者かによりその首を両断されていた。「サヨナラ!」フールウィルムは爆発四散した。彼女は叫んだ。救えなかった。アンブッシュを仕掛けた影は地面に降り立ち二つになった。少年と神父。11

2016-08-07 15:34:02
不幸鳥 @hukurou_nayuta

少年がアイサツをする。「ドーモ。キャヴァリーチャージです」続いて神父姿の男が。「ゴッドファーザーです。今のはフールウィルム=サンでしたね。…コトダマに包まれてあれ」キャヴァリーチャージと名乗った少年の視線は真っ直ぐにある男に注がれている。己と瓜二つの男に。「コボリージャージ」12

2016-08-07 15:40:37
不幸鳥 @hukurou_nayuta

コボリージャージは冷たい一瞥を返した。一触即発。「ドーモ。如何にもコボリージャージです。何の用です。私のとっておきのユーゲン・ドーシを殺しておいて」ジャージの主…もはや従者たちは皆消えてしまったが、彼はカラテを構えた。「何の用って。俺に似た奴が迷惑沙汰起こしてるっていうんで」13

2016-08-07 15:46:29
不幸鳥 @hukurou_nayuta

キャヴァリーチャージも構え、バトル・ジョルリを数体出した。こちらには、ジョルリの従者がいる。「ふざけた目論見もここまでだってことだ」その後ろ、ゴッドファーザーは一人納得したように頷いていた。「コボリージャージ、コボリージャージ。ふむ、名前も似ていれば姿も似ている。面白い」14

2016-08-07 15:49:53
不幸鳥 @hukurou_nayuta

「さて、姿も見れたしあとはヨロシクお願いします。ナヅケ行為の真実にまたひとつ近付いた」彼は空中に魔法陣を描き、その中に入っていく。「帰るのかアンタ!本当に見に来ただけかよ!?」「ハイ。私が加わっても野暮だしオーバーキルでしょう」キャヴァリーチャージは肩を竦めた。神父は帰った。15

2016-08-07 15:53:25
不幸鳥 @hukurou_nayuta

「「イヤーッ!」」二人は戦い始めた。ゴシップミルはキャヴァリーチャージに言わずにはいられなかった。「なあ、お前何をしたんだ!?」「奴の手に堕ちた者をその支配から断ったまでよ」対峙しながら答えた。「違う、あんなやり方じゃあ」「他に手はない。お前のしていることが異例すぎるんだ」16

2016-08-07 16:00:06
不幸鳥 @hukurou_nayuta

「異例だ…!?」「そう。本来ならどうあっても救いようのない連中なんだよ、そいつらは。どうやっても。ロトンテイルは救えた。だがそれすらも出来るはずのないことで。だってその義眼の探偵自体、有り得ねえ事象なんだから」 キャヴァリーチャージの言葉に、納得しつつも理解ができなかった。17

2016-08-07 16:05:34
不幸鳥 @hukurou_nayuta

このジツがおかしいのはわかっている。これを使い、多くに干渉したり干渉させたりすることは間違ったことだと。「異例でも何でも…救えるんならそれでいいじゃねえかよ…」キャヴァリーチャージはそれ以上なにも言わなかった。孤独なジャージの主とカラテを交えることに集中した。18

2016-08-07 16:09:00
不幸鳥 @hukurou_nayuta

これまでを黙って見守っていたザザは、ゴシップミルに言った。「この世には科学で解明できない謎が沢山ある。それを解決するのが私だ」「うん」「故に。解明出来ぬ事象があれば、私を喚べ。人の子に、ニンジャに、出来ぬことを為すのが私だ」ゴシップミルは涙を拭い、飛び去ろうとするザザを見た。19

2016-08-07 16:12:47
不幸鳥 @hukurou_nayuta

それから、彼らのイクサに目を戻した。コボリージャージは圧されていた。彼のカラテの実力は高い。しかし、戦力を複数持つキャヴァリーチャージに一歩譲っている。「イヤーッ!」「グワーッ!」バトル・ジョルリの剣がコボリーを斬り裂く。槍が貫く。「ハァーッ…」「お疲れのようだな」皮肉!20

2016-08-07 16:17:20