ポリシーミックス(金融政策+財政政策)とヘリコプターマネーの厳密な違い

ポリシーミックスでは中央銀行がベースマネーを縮小するかもしれない(中央銀行が裏切るかもしれない)という危険があるのに対し、ヘリコプターマネー(買いオペ恒久化)では中央銀行に裏切る方法がないという点で異なるという結論に至った。
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望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

ポリシーミックスとヘリコプターマネーの違いについて、私自身混乱していた部分があったのでまとめなおしておく。 ポリシーミックスとヘリコプターマネーの違いは、端的に言って、ベースマネーを『恒久的に』増やすかどうかについて、前者が不確定であり、後者が確定的であることに帰結する。

2016-08-05 12:33:27
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

ポリシーミックスにおいては、中央銀行が「裏切り」を働き、マネタイズを拒否する可能性がある。つまり、統合政府で見て、「インフレによる弁済」が拒絶される可能性が出てくるわけである。

2016-08-05 12:34:01
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

このことを@uncorrelated氏などは「中央銀行の裏切りによるインフレ税の不成立」を「リカード家計によるもの」などと表現するのだが、それはあまり当を得た表現ではないという苦言を申し添えておく。中央銀行の意志という側面こそ強調されるべきだ。

2016-08-05 12:35:17
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

翻って、ヘリコプターマネーでは、返済不要(不可能)な国債を中央銀行が引き受ける構造を持つので、中央銀行に裏切られることがない。つまり、インフレに至るプロセスに不確実性がないのである。ちなみに、会計的には政府通貨発行においても全く同じことが起こる。

2016-08-05 12:35:50
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

深尾光洋氏jcer.or.jp/column/fukao/i…が指摘するように、政府紙幣が発行され、それが日銀に還流すれば、それは日銀負債として計上され、政府紙幣はある意味ゼロ金利無期限国債として日銀に退蔵されることになる。政府紙幣増発≒ヘリマネという図式は成立するのだ。

2016-08-05 12:36:08
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

ただし現在日銀はインフレ目標を掲げ、異次元緩和を行っている。つまり部分的なヘリマネがすでに実行に移されている。もし「財政拡張は十分行われているが、中央銀行の裏切りリスクによってインフレに至らない」という主張が正しいなら、今すでに迅速にインフレ目標が達成されていなければおかしい。

2016-08-05 12:37:10
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

現実には、日銀のインフレ許容アナウンスの効果は極めて限定的だった。したがって、ヘリマネ(国債保有恒久化)それ自体の効果も極めて限定的なものになるだろう。 これまで以上かつ持続的な財政拡張のみが解なのである。 その際、完全なるヘリマネは必ずしも必要にならない可能性が高い。

2016-08-05 12:37:35
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

余談だが、昔、チャンネル桜の経済討論番組で、丹羽春喜と三橋貴明が全く同趣旨の討論を行ったことがあった。 丹羽の「政府通貨発行論」に三橋が「ただのポリシーミックスでは」と突っ込みを入れたのである。 これまでの議論を踏まえ、中央銀行の裏切りという面を考慮すれば、丹羽の方が正しかった。

2016-08-05 12:42:37