「ワン・ランナー、ワン・ペデストリアン」

一人の少女はただ走った。その先にある未来を求めて。 一人の少女はただ歩む。今をしっかりと生きるために。 風見SSシリーズとのコラボ作品!
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Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「どうでしょうね…事実を知りたければウェザーズ=サンに聞くがいい…ジゴクでな!イヤーッ!」吹雪はその言葉と共に最大の速度で駆け出す!「イヤーッ!」繰り出されるチョップ突きを前に、アバランチは咄嗟に跳び下がる。チョップ突きがアバランチの胸を軽く抉るが、致命傷には遠く至らない。 15

2016-08-12 21:12:27
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「グワーッ!オノレ!」アバランチは1回転し体勢を立て直すと、左右の指を交える不可思議なサインを結んだ。「今度ハコチラノ番ダ!ブンシン・ジツ!イヤーッ!」刹那、海面が盛り上がり4つの影が姿を現す。その者たちの顔は…な、ナムサン!?皆一様にアバランチと同じ顔!同じ姿! 16

2016-08-12 21:15:34
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

ナムサン!まるで4つ子である!4人のブンシン体は一斉に吹雪に殴り掛かった!「「「「イヤーッ!」」」」「イヤーッ!」吹雪は己の第六感に従いバク転回避。ブンシン体のカワラ割りが、海を砕く!飛沫が巻き上がり、吹雪の体を濡らす!アバランチは勝ち誇ったかのように嗤った。 17

2016-08-12 21:17:39
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「ドウダ!コレガ俺ノ強化ブンシン・ジツ!ソコラノ虚像使イトハ格ガ違ウ!我ガブンシンハ現実ヨ!」「成程、確かにそのようですね」吹雪はアバランチの言葉を肯定する。実際、ブンシン・ジツとは己や他者の虚像を作り上げ視線を惑わせるジツ。現実に何らかの物理干渉が可能になるジツではない。 18

2016-08-12 21:19:26
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

吹雪の観察眼はアバランチのブンシンが現実に物理干渉できる理由を考察。その瞬間、吹雪の主幹事艦は泥めいて凝り、世界がスローモーションと化した。((ブンシンが生成される際、海面が盛り上がった…つまりあのブンシンは物質を発生源として生成されている…)) 19

2016-08-12 21:22:01
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

((あきつ丸=サンのカゲ・ブンシン・ジツとは違い、現実に存在するモノを依代とすることで物理干渉を可能としたか…ならば!))「イヤーッ!」世界の速さが元に戻る。すべての飛沫は海面に落ち、吹雪は疾風めいて跳び掛かった!そして死神の鎌めいて振るわれるは、水平チョップ! 20

2016-08-12 21:24:03
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「イヤーッ!」「「「「アバーッ!」」」」水平チョップは一切の澱みなく、4つのブンシン体全ての首を撫で斬る。首を断たれたその瞬間、ブンシン体は例外なくほどけるように消失した。「どうやら容易く殺せるようですね…これで全力ではないでしょう」吹雪は手招きし、アバランチを挑発した。 21

2016-08-12 21:25:29
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「10でも20でもブンシンを出すがいい。その全てを等しく粉砕し、最終的に貴方を殺す」「チョコザイナー!イヤーッ!」アバランチは20のブンシン体を生成し、襲い掛からせた!吹雪は左目虹彩を極限収縮させ、恐るべき緑の炎光を灯して迎え撃った! 22

2016-08-12 21:27:39
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」 23

2016-08-12 21:29:57
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「す、すごい…」綾波は目の前で繰り広げられる荘厳なイクサの光景に、ただただ驚嘆した。海から幾重ものブンシンが立ち上がり、雪崩めいて押し寄せる。その全てを殺すは、緑色の軌跡を描いて振るわれるカラテと纏いし鋼の艤装。 24

2016-08-12 21:31:47
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

今綾波の前に顕現せしは、現代の神話の戦いの一端。鍛えられたカラテと超常のジツ、そして鋼の艤装が織り成す命の奪い合い。艦娘と深海棲艦の真なるイクサである! 「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」吹雪はまとわりついていたブンシン体を打ちのめし、上空へと跳躍! 25

2016-08-12 21:33:33
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

そして空中で独楽めいて高速回転。ヘルタツマキを放つ!「イヤーッ!」BRATATATATATATA!「「「アバーッ!」」」ヘルタツマキから放たれし連続砲撃が残ったブンシン体を撃ち貫く!ブンシン体は残らず霧散し、吹雪はアバランチの前に降り立つ。死神の左目がアバランチを射竦める。 26

2016-08-12 21:36:18
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「さぁ、次は貴方の番だ」「クソガ…!」アバランチは沸き起こる恐怖を悪態ごと吐き捨て、忙しなく勝機を探る。((ドウスル…コイツノカラテハ本物ダ…モシヤ“提督”ヤ戦艦水鬼様ニ匹敵シカネンゾ…ドウスル…コノママデハ作戦ガ……!))その時、アバランチの視線はある一点を捉えた。 27

2016-08-12 21:39:30
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

そこには、不慣れなイクサを前にして己の行動を決めかねている綾波の姿。アバランチは電撃的に思案した。((シメタ!アノニュービーヲ使エバ!))「イヤーッ!」アバランチは5連続右側転して吹雪から距離を取り、左腕の主砲を…綾波へと照準を合わせた!「イヤーッ!」 28

2016-08-12 21:42:05
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

追撃を試みた吹雪はアバランチの目的を察すると、咄嗟に射線上に割り込みをかける。「イヤーッ!」BLAM!「グワーッ!」吹雪の左肩が、砲撃によって僅かに抉れる。体当たりめいて吹雪がぶつかった砲撃は、威力を減じ海中に沈んだ。アバランチは勝機を確信して笑った。 29

2016-08-12 21:44:07
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「戦場ニオ荷物ヲ連レテキタ貴様ノ状況判断ミス、沈ンデ後悔セヨーッ!イヤーッ!」アバランチは次々とブンシン体を出現させ、綾波めがけて一斉砲撃を開始する!ナムサン、何たる卑劣か!綾波は回避行動をとらんとするが、砲撃の展開密度があまりにも高すぎる!回避不可能! 30

2016-08-12 21:44:39
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

綾波はせめてダメージを最小限にせんと防御姿勢。そして綾波は目を見開いた。己の目の前に疾風めいて現れた吹雪の姿。吹雪は高角砲を構え、迫る砲撃めがけてカラテを振るった!「イヤーッ!」KRAAASH!「イヤーッ!」KRAAASH!「イヤーッ!」KRAAASH! 31

2016-08-12 21:46:34
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「イヤーッ!」KRAAASH!「イィイイヤァアアアーッ!」KRAAASH!KRAAASH!KRAAAAASH!ゴウランガ!目にも止まらぬ速さで振るわれる高角砲によって、砲撃は全て弾かれ、逸らされている!なんたるカラテと艤装の相乗効果によって生み出される防御のワザか! 32

2016-08-12 21:48:28
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「ナンタルコシャク!ダガ、次ノ最大ブンシン砲撃ハ防ゲマイ!」アバランチが宣言すると同時に、海中から更なるブンシンが生成される。ブンシン体の総数、50体!「あ、あんなにいっぱい…!」「あの数は防ぎきる自信はありませんね…」 33

2016-08-12 21:50:02
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

綾波と吹雪は次々に砲を構えたブンシン体を見て、冷や汗を垂らした。吹雪は己の行動を思案する。((どうする…ここで退くわけにはいかない…今の監獄島には深海棲艦の群れとの戦闘状態…ここで50もの援軍が入れば戦線が瓦解する…どうする…ここで確実に殺さねば!)) 34

2016-08-12 21:51:44
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

吹雪は決断的殺意を研ぎ澄まし取るべき行動を探る。ふと、背後の綾波の気配を感じた。振り向けば、視線がかち合う。綾波の瞳に諦めはない。彼女もまた、打開の術を模索していた。その瞳を見て、吹雪は思い出した。綾波のワザマエを。己の心臓を撃ち抜いてのけた彼女の狙撃の才を! 35

2016-08-12 21:54:27
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「綾波=サン、提案があります」「は、はい!なんでしょうか?」「今から私は突撃して、アバランチを殺します…貴女には、狙撃をお願いしたい」「そ、狙撃…?」その言葉を聞き、綾波は困惑した。吹雪はアバランチ達に向き直り、カラテを構えた。 36

2016-08-12 21:56:42
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「ブンシン・ジツはその発生に多大な精神集中を必要とするもの。本体に致命打さえ与えられれば、ブンシンは消えるはずです」「け、けど」綾波は震えた声で言った。「どれが本物なんですか?」 37

2016-08-12 21:58:40
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

綾波の視線の先、アバランチはブンシンと共にせわしなく位置を変え、決して本体を悟らせぬ動きだ。彼の者もまた己のジツの弱点を熟知しているのだ。「無理ですよ!あんなのの中から本物を撃ち抜けだなんて!」「観察し、己を調え、そして観察せよ」吹雪はただ決断的にそう告げた。 38

2016-08-12 22:00:03
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

それは師より授けられたハンター・インストラクションであった。「貴女は私を、死神を撃ち抜いたんです」吹雪の言葉に、綾波は、綾香はハッとして吹雪を見た。吹雪はもう一度だけ綾香を見て言った。「その事実があるのです。あの程度の雪崩擬き、やってのけなさい!」「は、ハイ!」 39

2016-08-12 22:01:57
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