ハナ・アーレント『全体主義の起原』第三巻読書メモ集
- arishima_takeo
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現代の大衆をモッブから区別しているのは彼らの没我性と自分の幸福への無関心とであって、これは現代の全体主義的な大衆組織においてきわめて顕著に示されている。byアレント『全体主義の起原』3
2016-12-04 10:14:31ファッシスト運動であれ共産主義運動であれヨーロッパの全体主義運動の興隆に特徴的な点は、これらの運動が政治的には全く無関心だと思われていた大衆、他のすべての政党が馬鹿か無感覚で相手にならないと諦めてきた大衆からメンバーをかき集めたことである。byアレント『全体主義の起原』3
2016-12-04 10:17:42運動はつねに、自分の運動の信奉者は他のすべての市民といかなる共通点も持っていないという前提から出発し、一切の意見の相違を、理性による理解も個人によるコントロールも不可能な、社会的、民族的、もしくは心理的な性格の不変の差異であると解していた。byアレント『全体主義の起原』3
2016-12-04 10:19:38チェスをする者はチェス盤によってもう一人の人間と繋がっており、チェス盤は対局者双方の共通の世界の一部として、二人を敵味方に分けると同時に結合している。byアレント『全体主義の起原』3
2016-12-05 12:48:44「このヒエラルヒーもやはり、秘密結社における奥義通暁の程度によるヒエラルヒーときわめて正確に対応している」(アレント『全体主義の起原』3)。この四字熟語原語なんなんだろ。
2016-12-05 16:10:21全体主義の支配している国ですべての人が信じることのできる唯一の原則は、或る機関が公的なものであり人によく知られていればいるほどその保持する権力は小さいということである。byアレント『全体主義の起原』3
2016-12-06 10:37:04強制収容所および絶滅収容所の本当の恐ろしさは、被収容者がたとい偶然に生き残っているとしても、死んだ人間以上に生者の世界から切離されているーーなぜならテロルによって忘却が強いられているからーーということにある。byアレント『全体主義の起原』3
2016-12-08 11:13:16ガス室は最初から威嚇もしくは処罰の処置として考えられたものではなかった。それはユダヤ人もしくはジプシーもしくはポーランド人〈一般〉のために建てられたものであり、究極的には人間というものがそもそも余計なものであることを証明するためのものだった。byアレント『全体主義の起原』3
2016-12-08 11:18:17「強制収容所という実験室のなかで人間の無用化の実験をしようとした全体的支配の試みにきわめて精確に対応するのは、人口過密な世界のなか、そしてこの世界そのものの無意味性のなかで現代の大衆が味わう自己の無用性である」(アレント)。いや、流石に飛躍してるでしょ。
2016-12-08 11:30:46「人間的にはわれわれは広く、われわれが知らず、また手もかさぬうちに人間がこの世界のどこかで犯した罪についても責任を引受けねばならない。そうでなければ人類の統一性というものは存在しまい」(アレント『全体主義の起原』3)。なんかサルトルみたいなこと言うんだな。
2016-12-08 11:51:44自然の生活におけると同じく諸民族の生活のなかにも(寄生者)がいるということを本気で受取ると、この寄生者たちをも南京虫や割と同じように扱ってもいいという結論が出て来る。周知のように南京虫や虱は毒ガスで退治するのである。byアレント『全体主義の起原』3
2016-12-08 12:20:08「テロルの外的強制は自由の空間を破壊するとともに人間のあいだの一切の関係をなくしてしまう。他のすべての人々とぴったりとくっつけられてしまいながら各個人は完全に他から隔離されている」(アレント『全体主義の起原』)。アレントって名言力高いよな。言うことが一々キャッチーだ。
2016-12-08 12:24:06アレント『全体主義の起原』第三巻読了。ソリチュードとロンリネスの違いは分かったけど、それらと「孤立」(原語なんだっけ?)との違いが飲み込みづらい。「私はlonelyではなくても孤立している――つまり、私と一緒に行動する人間が一人もいないから行動することができない状態にいる――」?
2016-12-08 13:06:59「われわれが政治の領域で孤立と呼ぶものは、社会的な人間関係の領域ではlonelinessと呼ばれる」らしいけど、これ、政治=公的領域、社会=公的領域に侵入した私的なもの、と解していいんだろうか?
2016-12-08 13:09:57