辞書の話、ことばの話(2016/11)

備忘録。2016年11月分。
5
前へ 1 ・・ 23 24 26 次へ
西練馬 @nishinerima

おっ(身を乗り出す)

2016-11-20 00:06:31
飯間浩明 @IIMA_Hiroaki

@u2field ご返事遅れ失礼いたしました。ご質問ありがとうございます。別のツイートで、「美味」の問題について考えてみたいと思います。

2016-11-25 21:48:37
飯間浩明 @IIMA_Hiroaki

『新明解国語辞典』の「赤貝」は〈肉は赤くて美味〉と書く。新解さんって主観的、と思いきや、実は、『岩波国語辞典』『広辞苑』にも「美味」とあります。辞書で「○○は美味」と書くのは普通なんです。西練馬著『グルメな辞書』で解明された事実です。lexicography101.net/2016/05/02/com…

2016-11-25 21:49:36
飯間浩明 @IIMA_Hiroaki

『新明解国語辞典』で「いちご」を引くと〈赤い実は美味〉とある。「ああ、いかにも新解さんだ」とは、辞書を知らない人の言うことです(私は言ったことがある)。他の辞書にも「美味」は多用されているのですからね。主観的表現ではありますが、べつに『新明解』の特徴的表現とは言えないわけです。

2016-11-25 21:49:49
飯間浩明 @IIMA_Hiroaki

『三省堂国語辞典』は、国語辞典の中で例外的と言えるほど、説明に「○○は美味」を使いません。特に、第6版(2008)では説明から「美味」「うまい」をほとんど削除しました。これは私が削ったのではなく、以前の版から『三国』に関わっていた編集部の方の提案だったようです。

2016-11-25 21:50:07
飯間浩明 @IIMA_Hiroaki

『三省堂国語辞典』は説明の中で「美味」「うまい」と言わない、珍しい国語辞典です。理由は「美味かどうかは主観的だから」。「鴨」のように伝統的に美味とされる(「鴨葱」と言うごとく)ものにはそう書いてもいいのですが、そしたら「牛」「豚」は美味でないのか、という話になるんです。

2016-11-25 21:50:31
飯間浩明 @IIMA_Hiroaki

「鴨が葱を背負ってきた」「いい鴨になる」という言い回しは、「鴨の肉は美味」ということが前提になっています。辞書はそれも説明する必要があります。単に「鴨」の説明の中で「美味」と書くのでなく、「鴨が美味であることを前提として、慣用句ができているんですよ」と説明したいと考えます。

2016-11-25 21:50:48
西練馬 @nishinerima

突然ご紹介にあずかって飛び上がったんですが今やっと眼下に地上が見えてきたところです

2016-11-25 22:07:06
kyo_tthree @kyo_tthree

美味であることを前提とした慣用表現がある食材って他に何があるかな。海老で鯛を釣る?

2016-11-25 21:57:37
西練馬 @nishinerima

金田一春彦先生も「鯛は美味って書いてもいい」と言っていましたからね(?)

2016-11-26 00:14:48
西練馬 @nishinerima

ちなみに現代ではエビタイ=「海老で鯛を釣る」で固定しているかのように思われていますが、日国を引いてみると「疣(いぼ)で鯛釣る思い」ほか、「しゃこで鯛を釣る」「しゃく(=尺取り虫)で鯛を釣る」「」「いわしの頭で鯛を釣る」「めしつぶで鯛釣る」とバリエーションが盛り沢山

2016-11-26 00:17:11
西練馬 @nishinerima

また、「いいほ(飯粒)で鯛釣る」という言い回しもあったらしい。つまり「めしつぶ」であるし、「いいほ」の音は「いぼ」に近く、「いぼ」は「えび」に近いと言える。「えび」=「しゃこ」であり、「しゃこ」は「しゃく」に似ている。一体どれが元で、どう派生しているのやら

2016-11-26 00:19:45
kyo_tthree @kyo_tthree

鴨葱もそれほど美味を前提としてると言いきれるか微妙っちゃ微妙で、簡単に捕まるという知識(本当だろうか)の方が前提っぽい

2016-11-25 21:59:39
西練馬 @nishinerima

ちゃんと調べてないんですが、「~は鴨の味」という慣用句が多かったそうで。今は「人の不幸は」と来たら「蜜の味」だけれど、「人の不幸は鴨の味」と言ったらしい。バリエーションは「人の噂を言うは鴨の味」「人を謗るは鴨の味」「隣の貧乏鴨の味」「いとこ同士は鴨の味」「逢い戻りは鴨の味」……

2016-11-26 00:24:19
西練馬 @nishinerima

陰湿な慣用句の多いこと

2016-11-26 00:25:00
kyo_tthree @kyo_tthree

寿司や焼肉の話をする時はかなりの確率で「美味い」「高価」「おごられると嬉しい」を前提としてそうだが辞書の語釈に載せるべきか

2016-11-25 22:02:10
西練馬 @nishinerima

載せるべき!!!!!と言ってしまいたい気持ちはあるんですけど

2016-11-26 00:29:46
西練馬 @nishinerima

載せるべきではない!!!!!!!!!という気持ちも強い

2016-11-26 00:30:22
西練馬 @nishinerima

あれ、何だっけな。「飛行機」の語釈の例だったかな。例えば1900年代初頭に飛行機を説明しようとして、「こういう形で、翼は2枚あって、木製で、プロペラで推進して……」って書いてしまうと、その時点ではいいんだけど、あっという間に通用しなくなる、みたいな話があって

2016-11-26 00:35:02
西練馬 @nishinerima

語感を載せることは必要であろうと思う、のだけれど、「誰の」語感を「誰に」伝えるつもりなのかははっきりさせないといけない。「直近半年の人の」意見を「半年先の人に、半年間だけ」伝えたいなら、流行りに乗っかってもいいかもしれない。でも普通の辞書はもう少し長い視野で以て作られている

2016-11-26 00:39:30
西練馬 @nishinerima

それで言うと、「美味」のイメージはそんなに急激に変わらないのではないか。「高価」「おごられる」という話は、これは危ない。(ついでながら、寿司や焼肉がほんとうに「高価」というイメージを持たれているかは検討の余地がある)

2016-11-26 00:41:19
西練馬 @nishinerima

いま「すき焼き」の項目に「ごちそう」って記述する辞書があったとしたら、「古いwww」って思われるでしょうね。30年前はもしかすると、それでもよかったかもしれないけど

2016-11-26 00:42:38
西練馬 @nishinerima

辞書の「美味」も時代で意見が分かれることはある。新明国は魚のアラを美味とする一方、山田美妙の日本大辞書を引くと「左程ニ旨クモナイモノ」とされている。日本大辞書は言海をだいぶパクっているけれど、言海のアラは「味淡シ」とあるのみ。「旨くない」は美妙オリジナル

2016-11-26 00:51:23
西練馬 @nishinerima

イシナギは、明解国語から新明国最新版まで一貫して美味と書かれている。広辞苑、大辞林でも美味。ところが言海は「味、美ナラズシテ」と評する。ムツも現代は美味とする辞書が多いものの、言海に言わせると「肉ノ味、淡クシテ、下品ナリ」で評判が悪い

2016-11-26 00:55:18
前へ 1 ・・ 23 24 26 次へ