編集部イチオシ
2017年6月2日

会社にそろばんがあった時代:昭和46年の企業文化の一端

自分の講義のネタとして読んでいる本から、幾つか情報とコメントをまとめました
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佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

今読んでいる本は、電卓が普及し始めた頃(昭和46年)に珠算関係者によって書かれたそろばん界の情勢分析記事。(全国珠算教育連盟編『珠算と計算機』、暁出版、1971) 計算道具がそろばんから電算化へ移る過渡期の証言として面白い。現在でも繰り返されているような話題もある。

2017-06-02 15:52:48
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

この本の記事「各産業における珠算のとらえ方」では、代表的な業界のオフィスでどのようにそろばんが使われているかが紹介されている。以下抜萃。(金融関係)「各銀行では…そろばんの果たす役割は非常に大きく、電子計算機と共存している。各行とも新入社員には必ずそろばんの講習を実施し」→

2017-06-02 15:56:29
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

「ある一定のレベルになるまで受講を義務ずけている…企業内でも年1回および2回競技会を開催」/(化学薬品)「S化学工業では新入社員教育で高校出身者はもちろん、大学出身者にも珠算の講習を毎日1時間1週間 … S製薬会社では各営業所に珠算の専門の先生を招き定期的に珠算の講習を実施」→

2017-06-02 16:01:53
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

(電機関係)「M電器会社では電子工業にまで手をつけ、コンピューターの製作を企画しているが、ここでも、毎年1回珠算大会を開催し、これまで24回にもおよぶ」といったように、他にも流通、百貨店での珠算の社内教育・奨励事例が挙げられている。電卓がまだ10万円前後していた時期のことである。

2017-06-02 16:06:30
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

そのような過渡期に、珠算関係者は現代のような電算処理が全盛となる時代を予見できていたのか。この本全体のニュアンスからすると、電子計算機の普及はまだ時間がかかるとの観測が通底しており、零細企業・小売商店のように経営合理化が困難な現場で珠算は生き延びるだろうという予想が述べられている

2017-06-02 16:12:05
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

「エクセルの結果を電卓で検算する上司」というネタが最近では笑いを取っているが、昭和46年だとこうなる 「S社では…IBM社の電子計算機の上に、そろばんが鎮座」している。アウトプットされた表と元データを照合・検算するために、そろばんが使われていたとのこと。歴史は繰り返されているw

2017-06-02 16:18:56
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

当時の経営関連雑誌に書かれた記事としてそろばんの長所、短所も引用されている。(長所)低価格・故障無し・軽さ/(短所)熟練に長期間・計算が中断できず・途中計算が追跡できない・疲労度大 ここまで言われるとそろばんを維持するメリットは、電算処理と対比した相対的な低コスト性でしかない

2017-06-02 16:36:42
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

さらに、そろばん塾をとりまく環境の変化もこの頃には現れつつあったようである。本文には明確に述べられていないが、高校・大学の進学率が高まった時期でもあり、一般的な学習塾との競争も熾烈になる。そろばん塾経営の「多角化」が今後は必要であるということは、本文でも触れられている。

2017-06-02 16:42:42
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

昭和46年当時ならば、そろばんの先生は子どもたちへの指導だけではなく、企業の研修にも講師として招かれるという収入源があった。今は、企業研修にそろばんというところは皆無であろう。まだ正確には追跡していないが、昭和50年代初めにはこのような企業文化は終わってしまったのではなかろうか

2017-06-02 16:47:34
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

ただ、そろばんを企業で研修させるということについては、オイルショック前の高度経済成長期であったという好条件を割り引いても、企業が社員に必要なスキルを教育するという余裕とそのような意識があったことを端的に示しており、安直で内容不鮮明な「即戦力」を求める昨今の風潮とは正反対であろう。

2017-06-02 16:54:40
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

オフィス周りの作業ツールの時代的変化を大雑把に振り返ると、そろばん+手書き書類+タイプライター→電卓+ワープロ+コピー機→PC+各種ソフト という流れだろうが、ここでまた、ある程度修得に時間のかかるツールの時代になり、それを企業内研修でカバーする時代が再来したと言えるかも

2017-06-02 17:09:14

コメント

酔仙亭響人 @suisenteikyohji 2017年6月2日
大変面白うございました。読んでいて「過渡期」に成長して社会人になったように思います。
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ryoko @Ryoko_is 2017年6月2日
今またそろばん教室がちょっと流行ってる感じなのは何なのかなあとも思いつつ/
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nekosencho @Neko_Sencho 2017年6月2日
そういや、そろばん教室ってどのくらいの増減ぐあいなんだろうな
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mikunitmr @mikunitmr 2017年6月2日
電卓すら無かった時代だからなあ。 タイガー計算機なんてのはあったにしろ、1人1台なんてものじゃなかったろうし。
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BATSU @batsu_teleclub 2017年6月2日
mikunitmr 昭和46年なら、電卓はありましたがまだ一人一台、という時代ではなかったようです。  あと、「電卓の結果が正しいか、算盤を使って検算する」という文化?があったようですね。  昭和50年代前半でも、電卓の結果を算盤で検算する光景はよく見ました。
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KAMON @KAMON_Yammani 2017年6月2日
シャープのアカウントがたまにTWする「そろばん付き電卓」が冗談ではなかった時代の話なのね。
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mikunitmr @mikunitmr 2017年6月2日
ごめんなさい、『電卓』はあったのですね。 なお、カシオミニが出たのが1972年であった模様。もっとも、当時は小数点以下の計算ができない、たった6桁の計算しかできないものだったようで、企業ではあまり使えなかったでしょうね。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%82%B7%E3%82%AA%E3%83%9F%E3%83%8B
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nekosencho @Neko_Sencho 2017年6月2日
初期の「電卓」って、まさに「卓」というか巨大なもので、そのうちだんだん縮んでくるけどノートパソコン(大型)並みだったりACアダプタか単一単二といった巨大な電池でなきゃ駆動できなかったり…… ちなみにその時代の電卓はつかったことないけど手回し計算機なら大学の片隅に眠っていたのを使ってみたことがあります
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ブラキストン線の向こう側@ワクチン2回接種済み @cupsoup2 2017年6月2日
当時の電卓戦争はすさまじく数年で販売価格の桁が2つ変わったので、将来的にそろばんから電卓に置きかわるにしても、そこまで急激に入れ替わるとは誰も(多分各社電卓メーカーすら)予想していなかったと思います。
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はらぐろ @jgvsk 2017年6月3日
電卓戦争初期の頃はカシオと比較してシャープの電卓の計算精度は悪かったな。開平やべき乗計算が入ると誤差拡大しまくった
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kumanokodo @kumanokodo_kuma 2017年6月3日
昔の児童図書「宿題引き受け株式会社」に、算盤が得意であれば良い企業に就職できていた中卒高卒社員が電卓登場で首を切られ始め、電話交換機自動化で交換手達が首を切られていく様子が描写されてたな
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FADAC @81FADAC 2017年6月3日
「サインはV」で、練習のしすぎのため、指が腫れ上がって普通の算盤が使えなくなったので、八百屋の大きな玉の算盤を使うシーンがあったのを思い出しました。
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nekosencho @Neko_Sencho 2017年6月3日
そういや小さな商店のどんぶり勘定やそろばんを駆逐したのは消費税かもなあ…… 消費税の是非はともかく何をどう売ったかわからないとつらいからレジ使わざるを得ない気がする
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Toku @to970 2017年6月3日
熟練者だと電卓叩くよりそろばんのほうが早いというしね。あと一般的な8桁電卓だと億以上を処理できないというのもある(自分の会社では12桁電卓を使っていた)。
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すいか @pear00234 2017年6月3日
そろばんやってると、今風にいう「チェックサム能力」が付くって話を聞いたことがある。何ケタの計算をどれだけ重ねようが、下1桁とか2桁ぐらいは脳内別経路で計算してるから、もし途中で計算操作ミスがあったら結果が間違ってることだけは分かるっていう。おふくろが言ってたことなんで本当かどうかは知らん。
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bun🍃 @bun3559 2017年6月3日
81FADAC やめて思い出しちゃったじゃない。V!I!C!T!ORY!!
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Shun Fukuzawa @yukichi 2017年6月3日
電卓といえば小松左京、ワープロといえば安部公房を思い出す日々
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Shun Fukuzawa @yukichi 2017年6月3日
mikunitmr 昭和46年なら電卓はあった、と言いたいのは、昭和48年刊行の『日本沈没』の執筆に電卓が使われていたという話があるから。 http://sakyokomatsu.jp/wp-content/uploads/2014/08/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E6%B2%88%E6%B2%A1%E3%81%A8%E9%9B%BB%E5%AD%90%E8%A8%88%E7%AE%97%E6%A9%9F.pdf に簡単な資料が。一桁一万円と言われていた時代。
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ダ・ラスキー @takafee2010 2017年6月3日
そろばん+手書き書類+タイプライター→電卓+ワープロ+コピー機→PC+各種ソフト と変化してきたのだけど、この次はどうなるんだろう。AI only ということになるのだろうか?
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くるす;えすな @kurus_es 2017年6月3日
個人所有のコンピューティングがPC時代からスマホ時代になり、仕事ではスマホよりもPCが使用されるために教育の手間がここ10年で逆に増えたって感想はある、
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エリ・エリ・レマ・サンバディトゥナイ @mtoaki 2017年6月3日
そもそも「検算」自体が無くなってるような。
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飛竜 @bsb_hiryu 2017年6月3日
こういう場合の検算って、コンピュータが信用できないからという理由でやってる人もいるかもだけど、そうではなく、人間の入力ミスを疑っているために別の手段で確認しているってこともあるのかな。同じ手段だと今入力したことに対して間違ってるはずがないという意識がついてしまうから。
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聖拳アホー!(操舵室・あらやゆり) @seiken_aho_ 2017年6月3日
今、そろばんがダイソーで216円で手に入るよ。電卓は108円なのに。
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sotoyama @sotoyama0 2017年6月3日
おふくろがずっと使ってたな。熟練者の暗算は知らない人には超能力に見えるらしく、アメリカの古いSF小説には宇宙船のコンピュータが故障、直すまで手動で航行を持続するも軌道計算ができない、乗組員の中に日系人がいて暗算で計算、危機回避、なんて場面がままあったそうな。
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GGj8mKf.IE2 @GGj8mKfIE2 2017年6月3日
これはね 東洋の計算機だよ
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ダイスケ@異世界コンサル㈱漫画発売中! @boukenshaparty1 2017年6月3日
小学生の頃の課題図書で「強欲な資本家の社長がコンピューターを会社に導入したせいで近所の商業高校を出て算盤が得意なお嬢さんが失職した」旨の内容を読まされた記憶がある。
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ねむいひと@FullVaccinated @marumasa58 2017年6月4日
こういう社会の技術進歩が著しく、また働ける人自体も少なくなってきている時代だからこそ、もっと中途採用を取ってくれるような社会になって欲しい限り
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玉藻さん@地球 @Roseate_Rosy 2017年6月4日
「こーたーえ いっぱつ♪」には勝てないよね
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ぢゃいける@厚真町 @jaikel 2017年6月4日
まああまりEXCELを過信するとSUM関数の範囲指定が1行足りないみたいな凡ミスで泣くんだけどな!
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mlnkanljnm0 @kis_uzu 2017年6月4日
エクセルの参照ミスとか超よくある。チェックサム入れてない表は全く信用できない。
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エリ・エリ・レマ・サンバディトゥナイ @mtoaki 2017年6月4日
エクセルは小さな親切大きなお世話が多くてウッカリしてるとひどいミスを仕込まれてたりする。
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nekosencho @Neko_Sencho 2017年6月4日
たとえば円周率の計算(個人でやるとかじゃなく世界記録を研究機関がってかんじの)とかだと、別々のアルゴリズム(計算の理論みたいなもの)を使ったまったく別のプログラムで検算するらしいね。
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tama @tamama666 2017年6月4日
あれ? この記事時代違うくない? 経理でしたけど算盤と電卓の間にタイガーの手回しする計算機がありましたよ ガリガリ回して使うやつ そのあと電卓とN5200のLANPLANでそのあとロータス123でExcelの順でした
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みながわ あおい @Minagawa_Aoi 2017年6月4日
検算機能付きの電卓は今でも経理向けに販売されてますね。
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空家の恵比寿様1968 @ebcdic_ascii 2017年6月4日
NHK「電子立国」の「第4回:電卓戦争」によると、昭和28年のビジネスショーには、歯車式の電動卓上計算機が出品されていた(ただし、「平方根を5秒で計算できる」が売り文句になっていたレベル)。昭和32年のカシオ製リレー式計算機は、歯車式よりも計算速度は速いが卓上サイズではない。東京オリンピック開催と同じ年(昭和39年)には国内メーカー4社から「電子式卓上計算機」が発表された。価格は40万円〜80万円。
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空家の恵比寿様1968 @ebcdic_ascii 2017年6月4日
シャープ初の電子式卓上計算機「CS-10A コンペット」は53万5千円で発売した。当時、一般的に企業が部長決裁で物を買える限度が50万円だったために、50万円を切る価格にしたかったがどうしてもできず、なんとか「10%引きで50万円を切る価格」に落ち着いた。このCS-10Aは月産200台を目標にしたところ、発売直後に月1000台の注文くるほど売れた。
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空家の恵比寿様1968 @ebcdic_ascii 2017年6月4日
カシオ計算機はその頃も新型のリレー式計算機を開発していたが、その発表会に集まったディーラー達に「もうリレー式の時代じゃないよ」と罵声を浴び、急遽電子式の開発へ移行した。その結果、昭和40年に同社初の電子式卓上計算機「001型」を発売した。 http://bit.ly/casio_calc
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空家の恵比寿様1968 @ebcdic_ascii 2017年6月4日
そんな中、ビジコン社が昭和41年に発売した「ビジコン161」は、超小型コアメモリーの採用で高機能かつ298,000という低価格を成し遂げ、電卓業界に衝撃を与えた。しかし、その後三菱電機からのダイオード供給量に制限がかかり、大規模なシェア占有には至らなかった。 http://bit.ly/buisicom161
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空家の恵比寿様1968 @ebcdic_ascii 2017年6月4日
昭和41年にはテキサス・インスツルメンツ社が、手のひらに乗る大きさのパーソナル用小型電卓を開発したが、当時の会長パトリック・ハガティが「ポケットに入る大きさでなければ市場性は無い」と判断し、商品化には至らなかった。
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空家の恵比寿様1968 @ebcdic_ascii 2017年6月4日
ちなみに当時の米国での市場調査では「計算をするなら会社の机の上に計算機があるのに、わざわざ一般人が計算機を持つ必要はないというのが一般消費者の意識」という結果が出ていたことも、上記のパーソナル用電卓が商品化されなかった原因であると考えられている(ポケットサイズでなければ衝撃性が無い)。つまり、少なくとも米国ではその頃既に「日常的に計算の仕事をする人の机上には計算機」が普通のことになっていたようである。
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