発売即、三万部重版! 中公新書「観応の擾乱」(亀田俊和)早くも大ヒットの予感~読んだ人の感想など
- gryphonjapan
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佐藤進一『南北朝の動乱』の批判点をあげつつ話を進めていくというスタイルを取ってるけど、大きな壁を乗り越えるのはやはり大変なんだなと。
2017-07-21 17:28:58私の分野だと、待っていれば新しい資料が自動的にどんどん追加されていって、「新しい資料ではこうなってまっせ」で壁を乗り越えるという手もあるわけだけど、日本中世史だとそういうわけにもいかんだろうしな…
2017-07-21 17:32:57観応の擾乱本、まだ前半しか読めてないのですが、前半は何といってもこの二人だなぁということで…敢えて、仲良かった時代の、寺社参詣する直義と、それに供奉する師直。 #南北朝版深夜の真剣お絵かき60分一本勝負 pic.twitter.com/wbAwkG7f4l
2017-07-22 23:07:53【亀田先生の『観応の擾乱』による、擾乱勃発以前の状況(2/2)】 ・文書形式の違いから直義の理想と師直の運用が違うことは読みとれる ・太平記が言うほど直義と師直が元々反目していたとは考えにくいよ ・結局の所、直義と師直の対決に至った直接原因は『直冬の処遇問題』程度しか見あたらない
2017-07-25 00:06:18「観応の擾乱」読了。面白かったです。正直、初心者向けではないと思いますが、分からなくてもそのまま読み進めて欲しい。事例を複数揚げた後に結論という形式を繰り返していますので、結論のところを抑えれば細かい事例は後から調べるということが出来ます。
2017-07-24 21:17:32ざっくり纏めると ・観応の擾乱の流れ ・鎌倉幕府、建武の新政、そして室町幕府の統治システムの変化 ・一貫しての尊氏派、直義派ってのはごくわずかで後は恩賞への不満が大半だよ ・だから恩賞を速やかに出すようにしたのが尊氏・義詮の勝因だよ ・裁判って両者の言い分を聞くのが全てではない
2017-07-24 21:24:47亀田先生の『観応の擾乱』読み始める。いや政策路線で派閥を区分した佐藤進一説に対しては小川信先生が岩波講座で批判していたが、一門や有力武将の動向がカオスというか大半が無党派層でないの。あと情勢が動くタイミングと情報伝達のずれがひどい。
2017-07-20 00:50:53しかし亀田先生が解釈する石清水八幡宮の直義、本人のやる気が失せてくのに反比例して寝返り打った軍勢がじゃんじゃん集まってくるの、ブラックユーモアだわ。
2017-07-20 00:55:13『観応の擾乱』は、利害への対処を誤るとあっと言う間に支持を失い、足元が揺れると一気に寝返りが起きて失墜するというのが何やら現代を思わせるのだが、最終的な安定は適切な政策の選択と実行にあったというところで本当にそうだよなあと。
2017-07-20 01:22:56鎌倉幕府の訴訟手続は、幕府の発給した文書の送達自体を当事者がやるのよ。時間や手間暇がかかるどころか、原告の使者が幕府から発給された問状(答弁提出命令)を被告のとこに持ってったら、ブチ切れた被告にその場で半殺しにされたって話がある。
2017-07-20 21:15:15「事実タラバ...」(ほんとうならばけしからんのでやめなさい)という文言の入った下知状や御教書もあるので、原告がこういう判決文を手に被告のとこに乗り込んで実力で肩つけるわけですな。師直の作った執事施行状は、守護に執行を命じたものなので、期待される実効性が段違いなわけです。
2017-07-20 21:43:48ちなみにこれ原告側の訴状じゃなくて、関東裁許状つまり鎌倉幕府の正式な判決文に記載されてるんですよね... twitter.com/seibihei/statu…
2017-07-20 21:37:25『観応の擾乱』だけだと佐藤進一説の影響の大きさが分かり難いかもしれませんが、主従制的支配権と統治権的支配権の二元性というのは、頼朝から義満にいたる武士政権の権力構造の根幹を説明するモデルとして説得的な理論だったのです。
2017-07-21 01:30:00佐藤進一先生の戦後史学における貢献は、理論を強みとしたマルクス史観に対して、単なる事実の羅列にすぎないとみなされがちであった実証史学の側から、このような尖鋭な理論を提示してみせたことにありました。そして上部構造が歴史を規定するという例証であったように思います。
2017-07-21 01:39:01黒田俊雄先生の権門体制論も、私には佐藤進一先生の実証史学が提示した中世政治史に対する左からの応答に思われますが、佐藤先生はさらに『日本の中世国家』を著わし、1980年代の中世国家論を深化させていきました。
2017-07-21 01:46:38佐藤進一の『南北朝の内乱』が1970年代の著作であることを考えれば、この2017年の『観応の擾乱』における亀田先生の佐藤説への批判も、いかに佐藤進一の戦後歴史学に果たした役割が大きかったかを逆説的に物語るものかと思われます。
2017-07-21 01:56:06このへん興味持った方は、🐢先生の『足利直義』(ミネルヴァ書房)を読みましよう。 twitter.com/tsukasafumio/s…
2017-07-21 02:03:27つまり佐藤史学への応答を通して、マルクス史学自体が通説的な枠組みの再検証と読み直しに向かったと言えます。網野善彦が佐藤門下から出たことの意味もそこにあったかに思われます。
2017-07-21 01:52:11今谷明は「戦後歴史学界の別格官幣社」と佐藤進一を評してたけど、網野善彦・石井進・笠松宏至・勝俣鎮夫がいた佐藤進一ゼミって、戦後歴史学界の早乙女研究所と形容したくなる。
2017-07-21 02:06:04『観応の擾乱』でも要因のひとつに挙げられた中世の訴訟と法の問題については、笠松宏至先生の『徳政令』(岩波新書)が現代の古典とも言うべき名著なのでお勧めです。中世の法意識の現代とは異なる論理展開を述べた本書に、私は頭をぶん殴られるような衝撃を受けました。
2017-07-22 23:49:09学生時代に南北朝のウォーゲームをデザインしてたので、『観応の擾乱』に登場する武将の評価を自作ゲームのレーティングと比較してニヤニヤする。亀田先生の顕氏の評価は高いのかあ。
2017-07-21 02:19:14亀田俊和「観応の擾乱」。応仁の乱以前の足利氏の内乱を「応仁の乱」に劣らぬ筆致で描いていて、泥沼に落ちるような人間関係のもつれ、争いが面白かった。「これは高校レベルですね」という煽りや「内乱を制するのは結局やる気」というお言葉もありがたい。
2017-07-23 22:53:23えーみんな観応の擾乱読んでおるん…?私も読まなきゃいけない気がする…直義の夫として…私も…読まなきゃ…?
2017-07-22 21:35:09