こじらせていたリーマン不定期更新5(20170728-20170806

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こじらせていたリーマン @ro1xrc3

「ほら、おそ松!立って」 「うえ~…ぃ」 「肩貸してやるから」 「ん~ちょろまつー…」 「はいはいチョロ松だよ」 すっかり出来上がったおそ松を引きずって、なんとかホームに降り立った。ほぼ力の入ってない体。これを抱えたまま改札へ行くのは少し困難だ。

2017-07-28 23:31:14
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

ホームのベンチにおそ松を転がして、自販機で水を買ってくる。ペットボトルを額に宛ててやったら、きもちいい~と幸せそうな声をあげた。ほてった顔に、とろけた声。僕の身体が一瞬誤作動を起こしそうになったが、勘違いだと頭を振って変な考えを飛ばした。

2017-07-28 23:32:16
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

こんな酔っぱらいが、同期で一番最初に出世するとはねえ。…そうぼやいたのは誰だったか。 今日は、おそ松の昇進祝いの飲みだった。主役である彼はたらふく酒を飲まされて、今はこんなかんじ。後が面倒だからと三次会を免除されたのは良かった。

2017-07-28 23:33:08
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

一番とはいってもおそ松とよく一緒に居る営業の彼も一緒に昇進していて、当然今日の飲みにもいた。主役の片方であるおそ松が潰れたおかげて、あちらは三次会まで連行されたらしい。がんばれ。そう応援しながら、僕はおそ松を引きずって帰ってきたわけだ。帰る、といっても行く先はおそ松の家だけど。

2017-07-28 23:34:02
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

「おそ松、起きろよ」 「……起きてるよお」 おそ松はそう呟くと、ペットボトルの蓋をなんとか開けて、水を煽った。飲み口からこぼれた水が、彼の鎖骨を通って、胸元に落ちる。目の毒。 夏の夜の空気は湿気でべったりとしていて、汗がにじむ。ここにいるだけで、頭が茹で上がりそうだ。

2017-07-28 23:35:05
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

チョロ松の肩を借りながら歩く。支えてくれる手は、俺のそれより少し細い。普段は俺の方が酔っぱらったチョロ松を介抱することが多いけど、今日は逆だ。それだけで、なんだか面白い気持ちになる。それに、汗の匂いも息遣いも、鼓動すら近くに感じられて。なんていうか、幸せ。

2017-07-28 23:41:03
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

「くふふ」 「何笑ってんの?笑い上戸だっけ?」 酒が回って笑ってるわけじゃないけど。いや、酒は結構回ってるか。ぽかぽかするし、ふらふらするし、いますぐちょろまつにキスしたい気分。

2017-07-28 23:42:03
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

「チョロ松~」 「あ、こら!外だよここ!」 …本当にしたら、怒られたし殴られた。会社でのきっちりした印象に似合わず、凶暴な奴。そういうギャップが好き。

2017-07-28 23:43:03
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

「タクシー拾って帰ろうか」 「えーぜいたく」 「お前抱えて10分歩くのはきついし、昇進祝いってことで」 「どうせならホテルに…」 「ばーか。冗談言うなよ」 俺は本気だけどなあ~。なんなら、今すぐチョロ松を抱きしめて、くるくる踊ってまわりたい気分。

2017-07-28 23:44:00
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

「……そういうお祝いなら家でしてあげるから」 ……踊るのは家に帰ってからにしよう。

2017-07-28 23:45:03
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

そろそろチョロ松が目を覚ます頃

2017-07-29 04:48:00
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

はっ。 気が付くと、硬い壁にもたれて眠っていた。冷たい床。下半身に感じる重さ。ここはどこだろう……。寝ぼけた頭で辺りを見回す。ああ、そうだ。おそ松の家の玄関だ。そして下半身の重さは、僕に覆いかぶさるようにして眠っているおそ松の体重だ。

2017-07-29 04:49:01
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

はだけたシャツと、ベルトをあけられたスラックス。へそのあたりにぽつぽつとついた鬱血の痕から、玄関で情事に臨もうとしたことがうかがえる。そう、昨日、玄関入ってすぐに押し倒されたんだった。性急にキスをされて、全身を撫でられて。腹に痕をつけられて、そして…

2017-07-29 04:50:04
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

おそ松は途中で眠ってしまったんだった。思い出しただけで、笑えるような、ため息が出るような。起こそうとしたけどダメだったし、移動するのも難しかった。なにより僕自身ももう眠たくて、結局あきらめて寝てしまった。玄関にエアコンのリモコンがあって本当に良かった。

2017-07-29 04:51:02
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

今は、何時だろう。硬い場所で寝た割には、ずいぶん深く眠っていた気がする。疲れてたのかな。それとも酒が入っていたせいかな。おそ松はまだすやすや寝息をたてている。どうでもいいけど、僕の上に涎を垂らすなよ。

2017-07-29 04:52:03
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

たわむれにおそ松の頭を撫でる。汗ですこしべたついた髪。鼻をうずめたら、きっと濃い匂いがするのだろう。想像するだけで、たまらない。 このおとこが、汗をかいて。走って、働いている。それが認められて、昇進したんだ。素直にうれしいと感じるし、自分のことのように良かったと思える。

2017-07-29 04:53:09
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

…でも、少しだけ、悔しい。羨ましい。そう思ってしまう自分もいた。

2017-07-29 04:54:05
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

出世は男の本懐だ、とは去年見た映画の言葉だ。別にそれを目指してがつがつやっているというわけではない。けれど、おそ松がこうして認められて、上への階段を一歩昇ったところを見ると、よくわからない焦燥感のようなものが、僕の中に燻った。

2017-07-29 04:55:04
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

……一緒に住もう。そう言ってから、何か月かたった。相変わらず僕らは、お互いの家を行ったり来たりで、具体的に家を決めるだとか、引っ越しだとか、そういう段階に至っていない。今住んでいる部屋の契約年数が満了していないとか、忙しくて暇がないとか、色々理由はある。

2017-07-29 04:56:04
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

もし一緒に住むなら、家計はどうするのだろう。そもそも本当に一緒に住めるのだろうか。考え始めると止まらない。だから考えるのを一旦止めて、いつも通りに過ごすのは、ある意味心地がよかった。僕らのお付き合いはこのまま、飲んで、セックスして、眠って。その繰り返しで、続いていくんだろうか。

2017-07-29 04:57:05
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

…続いていけたら。それで良いのかな。

2017-07-29 04:58:04
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

そういえばおそ松と初めて関係を持ったのは、ちょうど去年の今頃だったっけ。 ずっと撫でていた手をとめると、おそ松がむにゃむにゃと言葉になっていない寝言を言った。……かわいい。

2017-07-29 04:59:09
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

そろそろ二人がごろごろしている頃

2017-07-29 20:10:05
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