こじらせていたリーマン不定期更新5(20170728-20170806

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こじらせていたリーマン @ro1xrc3

「花火の音だけ聞こえるね」 「だなー。こんな雨なのにやってんだ」 夕食の食器を片付けた後、二人して酒を傾ける。俺はビール。チョロ松は梅酒。昨日飲み過ぎたので、今日はちょっとずつだ。

2017-07-29 20:10:41
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

「チョロ松、もーちょっとこっちきてよ」 「やだ。おそ松ひっつくじゃん。暑い」 「クーラーきいてるからいいだろ~。それに、昨日言ってた“ そういうお祝い”、まだもらってないし?」 「……覚えてたか」

2017-07-29 20:11:34
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

ローテーブルを挟んで向かいに座っていたチョロ松は、俺の隣まで移動してくる。その腕を捕まえて、無理やり俺の前に座らせる。背中から抱きこむようにしてやれば、もう逃げられない。 「暑いってば」 「そーお?俺はあったかくてちょうどいいよ」

2017-07-29 20:12:03
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

ぺろ。うなじを舐めると、塩っぽい感じ。汗の味。 「こら、まだ、お風呂入ってない…!」 だから良いんだよ。とは言わずに。そのまま舐める。 「こんなのが、お祝いで、いいの…っ?」 「何?もっとすごいのくれるつもりだった?だいたーん」 「ばか…!」

2017-07-29 20:12:55
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

ドン、ドン。花火の音が遠くに聞こえる。雨音に混じったそれは、なんだか雷の音にも似ていた。

2017-07-29 20:14:23
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

テーブルに缶を置いて、本格的にチョロ松の体を撫でる。ぴくぴく震える体がかわいい。愛おしい。何度だって貰ってるけど、まだ足りない。もっと欲しい。味わいたい。

2017-07-29 20:14:49
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

……そういえば。初めて体を繋げたときから、ちょうど一年くらい経っている気がした。色々あって、無事こうやってお付き合いを始めて。ほぼ一緒に住んでいるのも同然の生活で、でも実際はそうじゃない。俺たちの関係は、ここが到達点なのかな。それともこの先、もっと違う形になることが、あるのかな。

2017-07-29 20:15:40
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

そろそろチョロ松が電車に乗っている頃

2017-07-31 07:58:04
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

結局日曜日もおそ松の家に泊まって、朝。普段だったらおそ松と一緒に出勤するところだけれど、今朝は違う。なんでも得意先に直行らしく、別方向の電車に乗ることになった。だから一人、つり革を握っている。

2017-07-31 07:59:08
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

「松野じゃん。おはよ」 …そしてこういう日に限って、会いたくない人に会う。 「…先輩」 前の会社で一緒だった人だ。夏らしいブルーのシャツに、柄物のネクタイ。 「嫌そうな顔するなぁ。何?昨日も彼氏の家に泊まったの?」 「まぁ。…えっ」

2017-07-31 08:00:21
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

「おっまえ、マジでわかりやすすぎるよ」 「いえ、あの。泊まったのはそう、ですけど。それは友達の家で」 「いーからいーから。つぅか、俺に誤魔化してどうすんの?別に他人にバレたって、構わないだろ」 「だから違」 「金曜日の夜。キスしてるの見たよ」 …おそ松のあほ!

2017-07-31 08:02:12
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

「大丈夫大丈夫。俺そういうの偏見ないっつぅか。…俺もソッチだから」 「は…」 朝から要らないカミングアウトだ。 「正確にはバイってやつ。どっちもイケんの」 「へぇ…」 「だから、隠さなくても良いんだよ。なんなら相談だって乗れる」 「特に、その、何も困ってないので」 「そ?」

2017-07-31 08:02:17
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

やっぱり彼は、品定めするような目で見る。この目が、あまり好きじゃない。 「…俺は、悩んだよ。自分が男もイケるんだーってわかった時、戸惑った」 でも、別に悪い人でもないと思う。ただ、僕にとって苦手なだけ。

2017-07-31 08:03:07
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

「未だに偏見とか、あるじゃん。気になるんだよなぁ。だからバレたとき、誤魔化さなきゃいけない」 それは、さっきの僕のことを指してるんだろうか。 「周りの人間にさ、こいつ俺の彼氏ですって、堂々と言えたらいいのになぁって、思わない?」 「それは…」 「思うだろ」 でも言えない。

2017-07-31 08:04:08
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

「そういう悩み。俺なら聞いてやれるって言ってんの」 「そんな義理、ありません」 「おぉ冷たい…。あ、俺ここだわ。乗り換え」 電車は少しずつスピードを落とし、駅に止まる。彼はひらりと手を振って、「まぁ、いつでも連絡して」なんて言ってホームへ降りていった。

2017-07-31 08:05:05
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

…連絡先も交換してないのに、何を言ってるんだ。あるいはからかわれただけなのかもしれない。どのみち相談なんてしたくないけれど。

2017-07-31 08:06:13
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

そろそろおそ松があくびをする頃

2017-07-31 10:06:15
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

そろそろチョロ松がお昼を食べる頃

2017-07-31 12:10:12
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

そろそろおそ松がお昼を食べる頃

2017-07-31 13:18:02
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

「だーっもう。なんでこんなに忙しいんだか」 「ファイトっす!おそ松チーフっ」 「あ~その呼ばれ方慣れねえ」 お冷を飲んで、はーっとため息をつく。なんで月末だからってあわただしくなるのかわからない。毎月末はくるし、明日になれば月が替わるだけなのに。

2017-07-31 13:19:23
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

「まーいつもなら夏は閑散期っすけど、今年はちょっと忙しいっすね」 後輩も水を飲んで、一息つく。同僚おすすめのカレー店は、なかなかの味と辛さだった。服にカレーの匂いがついてないか心配だ。

2017-07-31 13:20:06
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

そろそろチョロ松が自販機でミルクティーを買う頃

2017-08-01 08:35:04
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

そろそろチョロ松がお茶を淹れる頃

2017-08-01 16:21:09
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

「松野さん。あったかいお茶ですか?」 給湯室で茶葉を出していると、同僚の女性が声をかけてきた。二人そろって席をはずしているのもどうかと思うけど、まあいいか。 「冷房で冷えるし、たまにはと思って。よかったらいる?」 「いいんですか?じゃあ遠慮なく」

2017-08-01 16:22:02
こじらせていたリーマン @ro1xrc3

せっかくだし、先輩の分も淹れようかな。うちには下っ端が上司にお茶くみ、みたいな文化はないけれど、ついでに一緒に淹れることはたまにある。 「そういえば松野さん、聴きました?」 「何?」 「お盆明け、支社から若い子が研修で来るらしいですよ」 「ここに?」 「そうそう」

2017-08-01 16:23:00
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