こじらせていたリーマン不定期更新5(20170728-20170806

こじらせていたリーマン @ro1xrc3

「なんでそんな時期に」 「七月にやる予定だったのが伸び伸びで八月に」 「うちの会社そういうところあるよね」 「で、多分松野さんの下に若い子一人つきますよ」 「えっ、何で僕！？聴いてないんだけど」 「先輩すぐ連絡忘れますからね」 やっぱりお茶淹れるのやめようかな。

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「支社とウチって経理のシステム違うじゃないですか」 「あーあっちのバージョンが低いんだっけ」 「ライセンス料けちってたらしいですよ。それをやっと統一するんですって。だから、ウチが今使ってるやつを、今度来る子にレクチャーすると」

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「それを僕がすると」 「そういうことだと思います」 「なんっで早く言ってくれないのかな先輩…！」 「あとで問い詰めましょう。ついでに飲み代をせびりましょう」 「いやそこまでは…。ていうかなんで僕が知らなくてそっちが知ってるの」 「色々網張ってるんで！」

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話ながらお茶を淹れ終えた。ディスペンサーカップに淹れられたそれは、すぐに冷めそうだ。これが暖かいうちに、先輩から話を聴きだせるかな。

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そろそろおそ松が帰る頃

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<ごめん。今日飲み会> 一緒に帰ろうとメッセージを送ったら、つれない返事が帰ってきた。急に経理の集まりで飲みに行くことになったらしい。月初なのに！？この天気なのに！？…ちぇっ。せっかくチョロ松に会うために時間調整して仕事終わらせたのに。つまんねぇの！

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そろそろチョロ松が家に帰る頃

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そろそろおそ松が出勤する頃

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ふあ。あくびをしながら出勤する。今日も一日予定がぎゅうぎゅう詰めだ。朝の打ち合わせを済ませたら、後はずっと外回り。ゆっくり昼も食べれやしない。あー。チョロ松の弁当が恋しいなあ。

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付き合いはじめたばっかの頃、去年の秋冬あたりは週に一回くらいお弁当の日をもうけていたけれど、やはりお互い社会人。チョロ松ばかりに時間をとらせるのも忍びないし、そもそも俺が昼に戻ってこれない日も多いしで、最近はご無沙汰だった。…今日はコンビニ飯だな。

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そう思いながら、自分のデスクに着く。…と。机上の真ん中に、見慣れないモノが置いてあった。生成りのランチトート…に見えたが、中は保冷バッグになっているようだ。小さなメモが添えてある。

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『おはよう。昨日は一緒に帰れなくてごめん。お弁当じゃなくて悪いけど、これならどこでも食べれるだろうと思って作りました。保冷剤も入れてあるから、持ち運んでも大丈夫。今日も一日頑張ってね』

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……神経質そうな、丁寧で細い字。疑いようもなくチョロ松だ。そして保冷バッグの中身は…手作りのサンドイッチだった。

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「うわ～……」 「どうしたおそ松」 「おそ松さん？」 向かいの同僚と隣の女子が心配そうに声をかけてくる。 「……俺、今日も一日頑張るわ」 「お、おう」 「やる気満々ですね！私も頑張らなきゃ」 深く突っ込まれないうちに、バッグを鞄の中に入れる。

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今すぐチョロ松にお礼を言いに行きたかったが、時間的に厳しい。今週末の土曜は俺が仕事だし、日曜はチョロ松がライブに行くとかで、ゆっくり会える時間もなさそうだった。仕事なんてなかったらチョロ松とゆっくりできるのにって思うけど、そのチョロ松が頑張ってって言ってくれてるんだから仕方ない。

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味気ないけど、あとでスマホにメッセージを送ろう。

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そろそろチョロ松がスマホを見る頃

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丁度席を立ったところで、スマホの通知音が鳴った。廊下を歩きながら画面を見ると、予想通りおそ松から。どうやら喜んでくれたらしい。良かった。

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昨日の飲みはそれほど遅くはならなかったし、自分の朝食分のついでに作るくらい、どうってことなかった。まあ、材料が足りなかったので、僕の昼食は社食になるんだけど。

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そろそろチョロ松が庶務課に行く頃

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庶務課に書類を持っていくと、パートさんが何かを一生懸命書いていた。 「なんですか？それ」 「宅配の伝票。さっきから書くの何回も失敗しちゃって。疲れてるのかしら」 「よかったら代わりに書きましょうか」 「いいの？松野君の字綺麗だから、相手も喜ぶわ」 「それはどうでしょうか…」

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「宛先は…支社の部長ですか」 「そう。取引先からのお中元が、何故かこっちに届いちゃってね。だから送るの」 「へえ。品物は…ゼリー？」 「伝票に書くのは食品、とかでいいんじゃないかしら？部長甘い物好きだから、喜ぶでしょうね」

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書きあがった伝票をパートさんに渡すと、お礼に飴をくれた。この人いつも飴くれるんだよな。

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そろそろおそ松がサンドイッチを食べる頃

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案の定昼食が遅くなった…が！今日はこれのために頑張ったといっても過言じゃない。コンビニのイートインで（少しルール違反な気もするが、ドリンクはここで買ったので許してほしい）、保冷バッグを開ける。あちこち持ち歩いたせいで保冷材は溶けていたが、温度としてはちょうど良いくらい。