◆今回の更新前に担当者が感染性胃腸炎を発症してしまい、更新が遅れてしまいました。彼はぶじなので読者の皆様には深くお詫び申し上げます◆
2017-11-17 21:54:55(これまでのゆりすじ:誰からともなく提案され開催された水着バーベキュー・イベント。くくろは食材を持参していなかった自分といがしょうの分2人分を現地調達すべく水着姿で森へ分け入るも、そこへ毒沼を作って棲んでいた百合ゾン・どくどくウールの強襲を受ける。彼女は暴走していたのだ!!)
2017-11-17 22:04:07(どくどくウールはくくろと激しい近接戦闘で打ち合いながらも、渾身のサマーソルト・キックを受けて海際まで吹き飛ばされ、弱点である水の中……海中へ叩き込まれる。最後の力を振り絞って毒の大波を起こして一同を呑み込もうとするも、バーベキューコンロを破壊したことでぷにこの逆鱗に触れ、完封)
2017-11-17 22:08:13(羊毛の中の毒液を使い果たしたどくどくウールは活力を失いダウン。はんちょ~がその間に百合ゾンドライバーによる属性の再定義を行い、再暴走の危険を取り除く。意識を取り戻した彼女は目覚めるやいなや2人の美女にどこかへと連れて行かれてしまうのだった。読者の皆様ならばもうお分かりであろう)
2017-11-17 22:14:11「その……あの、これは一体……」帰って来たどくどくウールはもじもじと身を捩る。忍装束は脱がされ、髑髏の下顎を象ったメンポは取り払われ、さらけ出された豊満な褐色肢体は申し訳程度に隠すように、美麗な薄紫色の水着に包まれていた。それを自信深げに眺める女性2人と、興奮した様子の人外美女。
2017-11-17 22:20:49「何ってェ。今我々は水着バーベキュー中ですよ?だったらねェ…うへへ…あ、ヤバい、ちょっと勃ってきたッ……♡」などと言いいながらその身体をベタベタ触りに行く人外美女を、水着を見繕った女性らのうち1人がスパコーンと小気味よくひっ叩き、引き剥がす。顔を覆う彼女の顔から紫色の湯気が昇る。
2017-11-17 22:28:57最初に彼女に声を掛けたのは、「あ、あのさ。あんたもこれ食う?」とーふやだった。バーベキュー串に5個連結調理した豆腐串を1本差し出す。「あ、え、はい。ありがと……」どくどくウールはぎこちなく受け取った。バーベキュー豆腐を頬張る彼女を見て(口の中は赤いんだな……)とそんな事を考える。
2017-11-17 22:36:07「………」「……!?」もくもくと豆腐を食べていたどくどくウールは、何気なく振り向いたところに居た少女の存在に驚かされた。焼いたキノコや山菜を串に通したものをワイルドに咀嚼しながら、鉈を片手に赤い瞳で見つめてくる少女。くくろであった。「あ、あの…私に何か……?」くくろは半目になる。
2017-11-17 22:42:32「………ん」くくろは鉈を持っていた方の手、指の間にホールドしてあった別の茸山菜串をどくどくウールに差し出す。「いいんですか?」「アタシが採ってきたやつ。……動物は、あんたが手当たり次第に毒まみれにしてたから、獲れなかった」「そ、それは本当にごめんなさい」申し訳なくなり、受け取る。
2017-11-17 22:47:46「はんちょ~さんの言っていた再定義とやらは、成功したようですね」突然背後からかけられた声に、どくどくウールはまたも不意を突かれて飛び跳ねかける。背筋が冷たくなるほどに平坦な声音だった。声の主は勿論、ぷにこだった。如何なる属性か、彼女の毒の大波を飲み込み、平然としていられる人物。
2017-11-17 22:55:26「私達はもう友人です。歓迎しますよ」ぷにこは目を細めて微笑み、見事な焼き加減の串焼肉を彼女に差し出した。「わ、わ。お肉……」「ちょっと、先に貰ったんだからアタシの串が先だ」ぷんすこと意見するくくろ。「す、すみません」 そんな3人のことを意外そうに眺めているのはいがしょうだった。
2017-11-17 23:02:20「あいつが俺以外にあんなに構ってるの、初めて見たな」彼女はそう言いながら、欲深く両の拳の指の間に全本挿しした串焼肉を贅沢に頬張っている。「まぁ、何でもいいがな」そのまま飲み込まずにひょいパクひょいパクと口に運んでいた結果………「んガ、ググッ!?」飲み込み損ね、喉につっかえる!
2017-11-17 23:07:06「うご、ごッ……み、ず!」いがしょうは息も絶え絶えに『東風屋』の面々の元へ。「ん、ご、ぐ!!」「あ?」とーふやが彼女を見る。「どした卵。ひでえツラだぞ」「んぐ!んぐ!!」「あー?」察しの悪いとーふや!そのうち……「ご」いがしょうが砂浜に突っ伏す。「ヒャアー!!窒息死体!」くくろ!
2017-11-17 23:11:01くくろが女子高生の窒息死体をどこかに担いでいき……「フゥッ!」復活!水着姿!「クソゼパル!水が欲しかったんだよ!!察し悪ィな!」「あんなんで分かるか厄介夢女子!せめて言語体系はこっちに合わせとけ!あと一気に食い過ぎなんだよ!」ぎゃーぎゃーと不毛な論争を始める。いつもと変わらない。
2017-11-17 23:18:01そのさまを、少し離れたところでベンチに座って眺める人外美女。「……なんだかんだでよく続くね、あいつらも」「ええ、本当に。貴女はよろしいのですか?オルさばちゃん」れみさば〔オルタ〕の姿もあった。陽を除けるようにしてパラソルの陰に潜む彼女もまた、可愛らしい水着姿であった。「別にいい」
2017-11-17 23:25:16「はんちょ~さ」「はい?」「今すごいホッとしてるだろ」「まッさかァ~。思うことなんて目の保養くらいのものですよ。エヘヘへへ」「………」彼女はそれ以上何も言わなかった。輝く水飛沫。バーベキューに舌鼓を打ち、海に入って遊びに興じる美女、美少女たち。「私のことなど、些末なことですとも」
2017-11-17 23:31:14「でもまぁ確かに、皆さんがここでの生活を楽しんでくださってることを一目で眺めるのは、悪くない気分ですねェ」「……捻くれ者」「ウフフハハハ。さぁどうでしょうね。アッ!!ご覧ください駄目仙さんの水着が!アーッ!波に攫われて!ポロリと…」ぐしゃ。と、れみさば〔オルタ〕が百足の尾を踏む。
2017-11-17 23:34:27「……あのう、オルさばちゃん?」「何だよ」ぎろ、と人外美女を睨む。「そ、そのう……誠に申し上げにくいのですがねフヒヒッ、私のその百足の尾、甲殻に覆われちゃいますがたいへん感覚神経密度が高くなっておりましてね……?」「簡潔に」ぐり。踏みつけたまま足を擦る。「ンッフ…その、つまり…」
2017-11-17 23:40:34「その、あのッ、踏みつけられた瞬間に、イ、イッ……♡」「もういい。言わなくていい」顔を鷲掴んで止める。「ふひ……」「まったく」それから一泊置いて。「どうしようもない雇い主だなぁ、お前は」ふっと笑った。何気ない独り言のつもりだった。「……はんちょ~。おい、はんちょ~?」返事が無い。
2017-11-17 23:46:38れみさば〔オルタ〕は別段動じた風もなく言った。「あ、死んでる。やった」「ヒャアー!!心停止死体!」 個人差こそあったが、彼女達はそのまま夕暮れになると海辺の夕陽を楽しみ、充実しきった一日を過ごしたのち、各々の日常へと戻っていった。
2017-11-17 23:50:24