ChieMatsumoto氏の見た東日本大震災後の釜石市（2011年4月2日）

ChieMatsumoto @ChieMatsumoto

数日前に新聞各紙が東北被災地でのガレキの量について報道していた。水質、土壌汚染も同時に気になっていたので、今日はその取材。どの街でも廃棄物の仮置き場を決め、運搬を開始した。大船渡では１１日からという。

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人口約４万人の釜石市では、４万７千トンのガレキの山を抱える。４月１日から稼働予定だった新設の焼却炉は稼働せずに被災した。未だに電力が普及しない中、市ではこのガレキの処理に追われている。地域では最も大きな釜石市。この焼却炉で近隣の大槌、陸前高田、住田、大船渡の廃棄物も引き取る予定。

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釜石市の新設焼却炉のキャパは２４時間で１４７トン。通常の一般家庭廃棄物は１２０トンと推定しているので、津波で押し寄せられた廃棄物の処理能力はほんの２７トンしかない。それが５市町併せた廃棄物を処理するキャパ。これでは早期処理は夢のまた夢。政府の指示は３～５年でガレキを撤去すること。

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釜石の廃棄物仮置き場は新日鉄の敷地内と市外にある処理場。３０分いる間に大型トラックが７～８台、金属も布団も紙も木片もコンクリも混在した流出物を運んでは捨てた。廃棄物の山の上には２台のシャベルカー。運転手はマスクもなしに作業する。災害を生き延びたのに、ここで目も肺も蝕まれていくのか

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政府、県、市町と協力して廃棄物撤去の準備をしている、と前向きな回答を示してくれた釜石市長。しかし本当は「早く撤去しなくちゃいけないが、処分の明確な最終解決法がない。見当がつかない。今必要なのはどう処分するべきかという判断」懇願するような目をしていた。

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釜石や他の被災地が直面する問題：津波で押し寄せられたすべての廃棄物を埋めるか、時間がかかっても燃やすかの選択肢しかないこと。焼却すると宮城県では２３年、岩手県では１８年かかると報道されている。環境研究者がダイオキシンやアスベストの発生は避けられないといっていたのはこのことなんだ。

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釜石では新日鉄が街のど真ん中に位置することに驚いた。街のはずれには住宅街を縫うようにコンベーヤーベルトのような筒が通る。福島の原発を思い出した。ここも、地元住民はほとんど新日鉄に生活を支えてもらっているのだろうか。（続き）

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大熊町長は「町と東電は共存共栄だった」と言ったが、本当に「共栄」したんだろうか。栄えたのは唯一東電や新日鉄だけで、地元住民は精魂吸い尽くされただけじゃないだろうか。そんなところに住民の「声」はあったんだろうか。「共存」というよりは「依存」の関係でなかったことを願うばかり。

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釜石市長に尋ねられ、これまで回った被災地を列挙すると「他の街はどうでしたか」と。持ち場を離れられないだろう日々が続く中、近隣地域をお見舞いすることもできないんだろう、と察した。特に陸前高田のことをとても心配していたが、説明しようにも言葉にならず首を横に振ることしかできなかった・・

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釜石はすでに道路やガレキに石灰を散布していることに触れ、だいぶ処理が進んでいますねと市長に伝えたら、今度は彼が首を振り、中心地だけで、他はまだ電気も通っていないとうなだれた。励まそうとしたつもりが、逆に落胆させてしまった。これも言っちゃいけないことだったのか。知らなかった・・