耳のいいエレキ・ギタリストが実はいちばん純正律を理解できているかもしれないのです。

体に悪い音を避ける例として、エレキ・ギターの話をしましょう。エレキ・ギターは通常、ロックやジャズに使われるので、「純正律」とは無関係だと思われるかも知れませんが、絶対にそんなことはありません。
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玉木宏樹 @tamakihiroki

音楽を作る人は作曲家、演奏するのは演奏家、それを聴くのは聴衆です。食にたとえると、楽譜を書く作曲家はレシピ作成人。バッハもペートーヴェンもレシピ作成人です。ひれ伏す必要なんてありません。それに基づいて料理するシェフが演奏家で、それをありがたく頂くのが聴衆、つまりあなたなのです。

2017-05-22 15:32:57
玉木宏樹 @tamakihiroki

一応有名なシェフ(作曲家)の前ではそれなりのマナーは必要でしょうが、食べるのはお客さまです。クラシック系のコンサートは何か変です。レシピ作成人を「楽聖」といい、それを聴かせてやっているシェフの、客にとってはたいていつまらない演奏を自分の教養の無さだと思って我慢したりします。

2017-05-24 14:13:12
玉木宏樹 @tamakihiroki

若い人は体力があるから大音量のヘビメタで絶叫しますが、あれは野球場での大歓声にも似ていて、音楽自体の美しさを味わうというより、やる人と聴く人のバワー比べのような所があります。料理でいうなら体力任せのヴァイキングみたいなものです。

2017-05-26 15:28:39
玉木宏樹 @tamakihiroki

いくらいいレシピをもとに、最高のシェフが腕をふるったとしても、食材に手を抜いてはいい料理にはならない。いい「食材」でないと、本当に体にいい音楽にはなりません。料理は味覚で味わいますが、音楽は聴覚で味わいます。そして「おいしい音」=「良い食材」は、音の岩清水「純正律」となります。

2017-05-26 15:29:28
玉木宏樹 @tamakihiroki

添加物等、体に悪い食べ物があります。それと同じように、体に悪い音楽もあります。それの筆頭は音程のよくない、濁っている音楽でしょう。世の中には体に悪そうな音ばかり聴くホームページもあるくらいなので、人それぞれとは言えますが、体に悪そうな音楽、音は、通常人は避けたがるものです。

2017-06-02 15:38:26
玉木宏樹 @tamakihiroki

体に悪い音を避ける例として、エレキ・ギターの話をしましょう。エレキ・ギターは通常、ロックやジャズに使われるので、「純正律」とは無関係だと思われるかも知れませんが、絶対にそんなことはありません。耳のいいエレキ・ギタリストが実はいちばん純正律を理解できているかもしれないのです。

2017-06-05 10:44:13
玉木宏樹 @tamakihiroki

ギターというのは、楽譜に書かれている音の高さとは違い、必ずその1オクターヴ下の音になります。編曲を学ぶにあたり最初に教わるのは、クローズ(密集)のドミソは下の方では使用禁止、ということです。音の濁りが目立つからです。

2017-06-07 13:22:37
玉木宏樹 @tamakihiroki

エレキ・ギターのプレイヤーたちは、そんな編曲の知識がなくても、低い方での「ドミソ」は避け、3度の「ミ」を省いた形の5度「ドソ」と演奏します。エレキで増幅された平均律の濁りの「ドミソ」は体にこたえるからです。そこで無意識に3度の「ミ」を抜いて5度「ドソ」だけで演奏します。

2017-06-07 13:22:56
玉木宏樹 @tamakihiroki

音が嫌だからといって、勝手に3度の「ミ」を抜いて演奏してしまうと、ピアノプレイヤーと衝突してしまいます。ピアノは気にせずそのまま3度の入った「ドミソ」を弾くため、ピアノのあるバンドの場合、ギタープレイヤーとピアノ担当のプレイヤーと衝突が起きてしまうものです。

2017-06-09 14:10:19
玉木宏樹 @tamakihiroki

純正律を調律の一種とみなせば、ピアノに使われている平均律とは全く違う世界であることが分かる。ピアノの「ドミソ」はハモることから見ると、相当狂っている。ピアノでコーラスやブラスの音程訓練しても決してハモれない。

2017-06-30 14:25:27
玉木宏樹 @tamakihiroki

平均律ピアノの「ミ」は自然に純正にハモる「ドミソ」の「ミ」に対して100分の14も高いのだ。ピアノの低音部の「ド」から上に「ソ」「ミ」という10度音程を弾くと、必ずワンワンといういやなうなり(ビート)が生じる。

2017-06-30 14:25:42
玉木宏樹 @tamakihiroki

純正にハモったコーラスやホルンのドミソの美しさは喩えようもなくよく響き、耳に優しい透明感で聴く者を包みこむ。じゃ、ピアノも純正律で調律すればいのだが、これがなかなか一筋縄ではいかない。なぜなら、ピアノの鍵盤は1オクターヴの中に、たったの12しかないという致命的な宿命があるからだ。

2017-07-03 13:39:50
玉木宏樹 @tamakihiroki

きれいにハモる「ドミソ」の「ミ」に対して、ピアノの「ミ」は半音の100分の14高いが、「ソシレ」の「シ」も100分の14高く、「ファラド」の「ラ」も同様である。そして、これを修正して、それぞれを100分の14低くして並べ直したドレミファソラシドが原始的な純正律である。

2017-07-05 13:21:03
玉木宏樹 @tamakihiroki

その結果、「ドミソ」「ドファラ」「シレソ」は理想的、完全無欠にハモるが、それ以外の、例えば、かなり頻繁に使用される和音「レファラ」はものすごいひずみを生じ、全く使い物にならない。

2017-07-05 13:21:19
玉木宏樹 @tamakihiroki

主要3和音の第三音が常に100分の14高く狂わせてある平均律は、最悪の響きを生み、逆に最良の結果として、どの和音でも同じ響きがするから、どんな転調でもできるという利点も生む。一方12個の鍵盤の中だけで純正律に調律すると、主要三和音は天国的に美しく響くが、ほとんど転調ができなくなる

2017-07-07 13:39:17
玉木宏樹 @tamakihiroki

最初からピアノの調律が平均律であったのではない。なんとか、純正律とも折り合いの取れるいろんな工夫された調律の歴史があり、ドビュッシーらによって平均律という人工的な調律がプロにまで認知されるようになってから、まだ100年くらいしか経っていない。

2017-07-10 13:41:28
玉木宏樹 @tamakihiroki

ピアノに、工場出荷の段階で平均律を搭載し始めたのが1842年、ショパンの末期、前期ロマン派の絶頂期であり、この頃の作曲家の全ては平均律では作曲していない。バッハの時代には、平均律こそが絵に描いた餅で、理論上でしか存在せず、実践しても、ハモらない平均律は有効性が無いとされていた。

2017-07-10 13:41:48
玉木宏樹 @tamakihiroki

12の鍵盤しかないピアノに純正律は不向きである。それにひきかえ、平均律はたしかに便利で、即座に何調にでも転調できる。しかし、常に均一の、しかも唯一の音程間隔しかないから、平均律ピアノでの音楽は色彩感に乏しく、かなり平板である。

2017-07-19 11:13:37
玉木宏樹 @tamakihiroki

コーラスやブラスバンドは大勢によるアンサンブルであり、協和の響きがしないとワンワンという「うなり」を生じるので、自然の摂理として、うまい演奏ほどよくハモる。この音程の取り方が結果的に純正律なのであり、初めに純正律があったわけではない。初めに文法ありきではないのと同様である。

2017-07-21 13:20:28
玉木宏樹 @tamakihiroki

ピアノのような固定された鍵盤に縛られている楽器以外は、自分である程度音程が調整できるので、できるだけ純正律にハモるクセをつけたほうが良い。そのためには、ピアノを使わず、みんなの耳でハモる訓練をすることをお勧めする。

2017-07-24 11:53:02
玉木宏樹 @tamakihiroki

私は最近、ヴァイオリンの4弦を同時に演奏できる弓を特注した。引き伸ばしの和音を、自分一人で純正に取れるようにするためである。結果、音程をよく演奏すれば、自分でも驚くほどキレイにハモった神秘感が味わえる。日頃の平均律音楽から解き放たれた、深い協和の快感。これは実に神秘的である。

2017-07-26 11:41:46
玉木宏樹 @tamakihiroki

音楽はハモることだけが全てではない。強弱のメリハリ、クレッシェンド、ディミヌエンドの効果、びっくりするようなフレーズの速奏き、アタックやヴィヴラートの効果、スタッカートやレガートの表情、その他、もちろん、音の美しさ等々、音楽はいろんなファクターの積み重ねで成り立っている。

2017-07-28 14:05:50
玉木宏樹 @tamakihiroki

ハモる事を捨てた平均律がプロに認知された途端、新たな楽器が多数現れた。まずハープが、ペダルの改良により平均律化した。その他、マリンバ、ヴィヴラフォン、グロッケンシュピール、チェレスタ等の鍵盤打楽器、アコーディオン、バンドネオン、ハーモニカ、最近では電子オルガンやシンセサイザー等

2017-07-31 14:41:33
玉木宏樹 @tamakihiroki

ヴァイオリンだけの二重奏というのは、作曲や編曲にものすごい制約があり、大変厳しいものがある。なぜなら、ヴァイオリンの一番低音の「ソ」はベースラインとしては音が高すぎる。それでもなんとか音楽の形にしなければならないので、猛烈にハードだけど、やりがいのある作業とは言える。

2017-10-23 14:10:22
玉木宏樹 @tamakihiroki

ヴァイオリニストの宿命。ピアノやオルガンと違い、ヴァイオリンは自分で音程を作らなければならない。その音程をとる根拠にしているのが、下から「ソレラミ」と言う五度調弦であり、この4本を完全五度にとると、ピアノよりもそれぞれ100分の2だけ音程が広くなり、絶対に平均律にはなり得ない。

2017-10-25 13:54:59