ざっくり学ぶ日本史 第02回 旧石器時代と縄文文化

マンモス、喰ってみてぇ。
14
前へ 1 2 ・・ 5 次へ
Michael Byrne @YT1093

やがて、途方もない時間をかけた「いのちのたび」を経て、日本列島にも人類がたどり着きます。かつてわたしたちの学んだ教科書には、大陸と地続きになった日本列島が載っていたのではないでしょうか? pic.twitter.com/T9ToEvqn9l

2018-08-03 00:22:44
拡大
Michael Byrne @YT1093

従来、日本列島は更新世の終わり(最終氷期)の海退によってユーラシア大陸と地続きになり、シベリアや朝鮮を経由して移動した大型獣を追いかけて、人類も日本列島にやってきたのだと教わってきました。 pic.twitter.com/sjIZjCgskx

2018-08-03 00:45:04
拡大
Michael Byrne @YT1093

ところが、現在の研究ではこの「大陸と列島の地続き論」は部分的に否定されています。対馬海峡や津軽海峡は、一時的に陸橋をかけた(地続きになった)痕跡が残されている一方で、更新世の前に陸橋が閉じたと考えられているのです。

2018-08-03 00:45:27
Michael Byrne @YT1093

現実的に考えると、更新世の終わり(最終氷期)までの長い時間をかけて海面の変動(海水準変動)をくり返すなかで、断続的にヒトや動物が移動した、と推定できるのではないでしょうか。また、一部の人類は進化の過程で渡洋能力(船をつくり海を渡る技術)を有していたと考える研究者もいます。

2018-08-03 00:50:20
Michael Byrne @YT1093

人類のグレートジャーニーと日本人のルーツを辿る旅、興味深いですね。 pic.twitter.com/aCAFN2Cmwq

2018-08-03 00:50:36
拡大
Michael Byrne @YT1093

旧石器時代の遺跡は必ずしも少なくはないのですが、旧石器時代を前期、中期、後期に分けたとき、日本列島で確認されているのは「後期」以降の歴史となっています。後述しますが、考古学界に起きたトラブルによって、旧石器時代の人間活動を確定できない、悲しい事情があるのです。

2018-08-03 00:55:19
Michael Byrne @YT1093

そう、藤村新一によるゴッドハンド事件である。 pic.twitter.com/XKQIoZVhZt

2018-08-03 00:55:42
拡大
Michael Byrne @YT1093

現在の、ひからびたピグモンみたいな立花隆ではなく、当時まだ辛うじてキレを保っていた「知の巨人」時代の立花隆は、旧石器時代の発掘捏造を評して「藤村を刑事罰に問いたい」とまで述べている。 pic.twitter.com/4rvxTcmKlu

2018-08-03 01:07:06
拡大
Michael Byrne @YT1093

学問を志す者は、ただ知的誠実(Intellectual honesty)を心がけてもらいたい。これは藤村氏に対する批判ではない、あえかな願いである。

2018-08-03 01:10:36
Michael Byrne @YT1093

ところで、現実の「日本史」にはデニソワ人などの影響が否定できない。従来の地続き論では更新世の終わり(最終氷期)を経て、約3万年前に移住した人類が「日本人のはじまり」とされている。以降は、この前提にもとづいて記述する。

2018-08-03 01:16:44
Michael Byrne @YT1093

旧石器時代(後期旧石器時代:およそ3万年前)、大陸から渡ってきた大型獣を追って、日本列島に人類が到達します。当時の人々は狩猟と採集、ときに漁労によって食料を得ていました。また、住まいは自然に存在する洞窟や岩陰に暮らしたと考えられています。後に、簡単なテント様の小屋を用いました。 pic.twitter.com/nULzqmA3uy

2018-08-03 01:32:09
拡大
Michael Byrne @YT1093

旧石器時代の石器は石と石をぶつけて打ち欠いた簡素なもので、種類には主に、握斧(あくふ)、ナイフ型石器、尖頭器、細石器がありました。

2018-08-03 01:36:34
Michael Byrne @YT1093

握斧は万能の道具で、獲物の肉を切り取り革を割く、木を切り倒して加工する、動物の骨を削る、武器にするなど多くの用途に用いられていました。 pic.twitter.com/h4ME2bWUYe

2018-08-03 01:38:23
拡大
Michael Byrne @YT1093

ナイフ型石器(石刃)も広い用途に用いられたと考えられています。主に切開や加工、調理などの用途がありますが、細石器を加工する細かい剥離作業でも役に立った道具のひとつです。 pic.twitter.com/EkdDhot0bE

2018-08-03 01:46:51
拡大
Michael Byrne @YT1093

尖頭器はこれ単体で用いる石器ではなく、長い木の棒の先に結わえつけて投槍として用いたと考えられています。旧石器時代には、南方からナウマン象、オオツノジカなどが北上したため、人々はこれを狩猟して食料を得ていました。 pic.twitter.com/S0KNYTnetR

2018-08-03 01:57:57
拡大
拡大
Michael Byrne @YT1093

細石器は小さく鋭利な刃を持っていて、石片に、石や動物の骨を圧しつけながら削るように剥離したものです。旧石器時代では木の槍先に埋め込み、鋭利な槍として用いたり、動物の骨と組み合わせて用いていました。 pic.twitter.com/yUNb9gr1b4

2018-08-03 02:11:04
拡大
Michael Byrne @YT1093

もっとも、槍や投槍が用いられるようになったのは旧石器時代の終わりに近い、後期からと考えられています。旧石器時代はおよそ3万年前から、1万5000年前まで、1万年以上に渡って続きました。

2018-08-03 02:13:34
Michael Byrne @YT1093

かつて、この国では火山活動や地殻変動を理由に、日本列島に旧石器文化は存在しなかったと考える風潮がありました。また、日本列島には酸性の土壌が多いため、旧石器時代の遺物が残りにくいという現実的な理由も手伝い、考古学会では旧石器文化の存在には懐疑的でした。

2018-08-03 02:19:11
Michael Byrne @YT1093

ところが、こうした暗黙の常識を打ち破ったのが在野の考古学愛好家、相沢忠洋でした。相沢は尋常小学校を卒業した後、奉公人として働きながらも青年学校(勤労者向け教育機関)に通いましたが、高等教育機関に進学することはなく、海兵団(海軍の補助機関)を経て出征しています。 pic.twitter.com/qXTTcoy60J

2018-08-03 02:28:55
拡大
Michael Byrne @YT1093

復員後、考古学への憧れはやみがたく、自由に研究時間を得られる行商人として商品を売り歩きながら地層の観察を続けていました。翌年、地層のなかに小さな石片を見つけましたが、石片が石器であるという確信までは至りませんでした。その後も独学で研究と調査を続けて、三年が経ちます。 pic.twitter.com/JfLwyHbDJE

2018-08-03 02:34:30
拡大
Michael Byrne @YT1093

1949年の夏、相沢は地層のなかに黒い石片を見出します。掘り出した石は鋭利で丁寧に剥離された黒曜石の尖頭器であり、人工的加工物として、ようやく確信に足りるものでした。ところが、学位や人脈を持たず、行商人としてささやかな生活を営む相沢の発見を認める識者はいなかったのです。 pic.twitter.com/eCRdEGODPt

2018-08-03 02:42:45
拡大
Michael Byrne @YT1093

それでも、相沢の情熱が失われることはありませんでした。その秋、明治大学の大学院生であった芹沢長介と知己になり、岩宿で発見した「石器」を見せます。芹沢は、所属する明治大学で助教授をしていた杉原荘介に相談して、同年9月に予備調査として相沢、芹沢、杉原を含む6人で岩宿を調査しています。

2018-08-03 02:52:59
Michael Byrne @YT1093

このとき、相沢は群馬県桐生市から都内に暮らす芹沢の下をしばしば訪れては、考古学上の助言を求めていました。片道125kmの距離を自転車で日参するなど、学問に対する熱意と努力には人並み外れたものがありました。

2018-08-03 02:55:42
Michael Byrne @YT1093

同年10月、明治大学の杉原荘介助教授を隊長とした調査隊が岩宿の本格的調査を行い、予備調査に続く発見から、日本における旧石器時代の存在を確実なものとしました。ところが、学会は相沢忠洋の貢献を認めず、発見は杉原の功績となります。帰京後の会見でも、杉原は相沢の名を出しませんでした。

2018-08-03 03:02:12
Michael Byrne @YT1093

相沢夫人は杉原のこの態度に失望したのか、杉原の発見を後世まで評価しませんでした。他方で、相沢と芹沢の友情は生涯にわたる確かなもので、89年に相沢が亡くなるまでの四十有余年間、親交をあたためたと言われています。 pic.twitter.com/fBq8p8eDGK

2018-08-03 03:06:03
拡大
前へ 1 2 ・・ 5 次へ