teru_enotoによる中性子星レビュー

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Teruaki Enoto | 榎戸輝揚 🧲⭐️🛰⚡️ @teru_enoto

最近忙しくてツイッター呟いていないので、単なる趣味でだけど、知られている中性子星 #NeutronStar をひとつずつ紹介していく。単なる趣味である。中性子星は大質量星が爆発した後に残る、半径 12 km くらいで、質量が太陽の 1.4~2.0 倍くらいのコンパクトな天体。内部の状態方程式が未解明。

2018-09-14 06:30:02
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かにパルサー (Crab pulsar): 1054年の超新星で誕生した全波長で明るいパルサー。自転周期 33 ミリ秒で高速回転している。基本的には光度が安定しているので、標準光源として使われている(が最近はいろいろ変動も見える)。調べれば調べるほど、新しいことがわかってくる中性子星の代表 #NeutronStar

2018-09-14 06:31:00
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4U 0142+61 : 宇宙最強の磁石星「マグネター」の代表選手。X線で明るい。普通のパルサーは自転が遅くなるときの回転エネルギーの減少が放射やパルサー風になると考えられているが、この天体はX線の放出エネルギーが回転エネルギーでは説明できず、磁気エネルギーを解放しているようだ。#NeutronStar

2018-09-15 06:30:19
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Cir X-1: 謎天体のひとつ。Type-I バーストで中性子星であることはわかっている。2000年代まですっごい明るかったが、それ以降暗くなり、最近、それを囲む超新星残骸が見つかって、一番若いX線連星であることが判明した。いま論文を書いてるる天体でもある。ゲテモノ天体で楽しい。#NeutronStar

2018-09-16 06:30:13
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PSR B1919+21: いっちばん最初に見つかった電波パルサー。発見は1967年。確かX線はまだ見つかってなかったんじゃなかったかな。X線パルス見つけたいよね。見つかった当初は、宇宙人からの信号かと話題になったとか。自転周期は 1.3 秒。#NeutronStar

2018-09-17 06:30:12
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RX J1856.5-3754: 400光年にあるX線で輝く中性子星。これを含む7個のゆっくり自転(数秒)するX線放射が卓越する孤立中性子星を X-ray Dim Isolated Neutron Stars (XDINS) などと呼び、有名な映画になぞらえて "The Magnificent Seven (荒野の七人)" とも言われる。J1856 はその代表格。#NeutronStar

2018-09-18 06:30:07
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SGR 1806-20: 超強磁場の中性子星マグネターには、歴史的に軟ガンマ線リピーター(Soft Gamma Repeater; SGR) と特異X線パルサー(Anomalous X-ray Pulsar; AXP) の2種類が同一種族としてまとめられてきた。SGR 1806-20 は前者の代表格で、2004年12月27日に巨大フレアを起こした有名天体。

2018-09-19 06:30:06
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PSR J1614-2230: Demorest et al. Nature (2010) で、電波パルスのシャピロ遅れを利用し~2太陽質量の中性子星が見つかって大騒ぎになった天体。高密度の原子核状態方程式のいくつかは最大質量がこんなに大きくないので、いくつかの理論モデルを棄却した(復活したのもあるだろうが)観測。#NeutronStar

2018-09-20 06:30:20
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Her X-1: ウフル衛星によって見つかった明るいX線パルサー。連星をなし、相手の星からのロッシュローブを満たした物質が中性子星に向けて質量降着して、降着円筒が明るくX線を放射していると考えられている。自転周期 1.2 秒。電子サイクロトロン共鳴が見つかって磁場が測定された天体。#NeutronStar

2018-09-21 06:30:11
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PSR B0540-69: 大マゼラン雲にあるパルサーで、我々の銀河系の有名天体「カニパルサー (Crab Pulsar)」にパルス周期やその変化率が似ているので、Crab Twin (かにパルサーの双子)とも呼ばれる。でもパルス波形は結構違う。パルサー星雲を伴っている。回転駆動型パルサー。#NeutronStar

2018-09-22 06:30:11
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M82 X-2: NuSTAR 衛星が発見した最初の ULX パルサー(Bachetti et al. 2014)。ULX は銀河系外にある明るいX線源で、これまではブラックホールであると思われていたが、パルスが見つかって大騒ぎ。ULX のいくつかは中性子星であることがわかってきた。最近の研究上の流行のひとつ。#NeutronStar

2018-09-23 06:30:03

10個。

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竜の卵(Dragon's Egg): 地球から50光年の距離にある中性子星で、表面に知的生命体チーラが住んでいる。重力場が強いのでチーラは扁平。作者 Robert L. Forward のハードSFに出てくる仮想の星である。Forward の指導教官は重力波天文学の創世記の Joseph Weber さんらしい。 #NeutronStar

2018-09-24 06:30:05
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SGR 0501+4516: 2008年に突発増光して見つかったマグネター。博士学生として緊急観測に参加してレター論文とか書いた懐かしい天体。銀河中心とは反対方向にある。ショートバーストを繰り返し、徐々に暗くなって、いまは静穏期に戻っているようだ。銀河には隠れたマグネターがいっぱい?#NeutronStar

2018-09-25 06:30:25
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Calvera パルサー: 1RXS J141256.0+792204 が本名。熱的放射のみを示す自転の遅い孤立中性子星7天体 "The Magnificent Seven (荒野の七人)" に似ているので、この映画に登場する別キャラクターの名前から "Calvera" と呼ばれる。その後の研究でも分類の難しい特異天体である。#NeutronStar

2018-09-26 06:30:00
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PSR B0656+14: 軟X線で明るい3つのパルサー(Geminga, PSR B0656+14, and PSR B1055-52) は「三銃士 (The Three Musketeers)」と呼ばれている。この有名パルサーは電波、可視光、X線、ガンマ線で観測され、表面の熱放射や磁気圏から星に叩き込まれる荷電粒子による熱放射が見える。#NeutronStar

2018-09-27 06:30:04
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RRAT J1819-1458: 電波パルサーの中には時折すっごく明るい電波パルスを突発的に(多くは観測的には単発で)出す天体がいて Rotation Radio Transient (RRAT) と呼ばれている。RRAT J1819-1458 はその代表格な天体と言われて、X線でも観測できる珍しい天体である。#NeutronStar

2018-09-28 06:30:00
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PSR J0250+5854: ごく最近に LOFAR 電波望遠鏡が見つけた 23.5秒で自転する!電波パルサー (Tan et al. 2018 buff.ly/2QVnjdR)。電波パルサーなのにこんなに長い自転周期って不思議!XDINS か、他にも似た天体があるのか絶対ホットになる分野!もちろん某プロジェクトでも注目! #NeutronStar

2018-09-29 06:30:23
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Sco X-1: 全天で一番明るいX線源のひとつ。パルスは見つかっていないが、連星で相手の星から質量降着して輝く中性子星。定常重力波源の候補で、超小型衛星を使ってそれをX線でサポートしようというのが僕のいま進めている科研費(挑戦的研究・新学術)ですbuff.ly/2zqOGG2#NeutronStar

2018-09-30 06:30:06
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PSR B1509-58: 先輩の @psr1509 さんが twitter account で使っていることで有名な、回転駆動型パルサー。「神の手」みたいなX線パルサー星雲の構造も観測される。他のX線パルサーに比べて明るく、150 ms ほどの自転周期で使いやすいので calibration source としても使われることも。#NeutronStar

2018-10-01 06:30:02
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IGR J17062–6143: 降着型のミリ秒X線パルサーで、NICER 望遠鏡で自転周期が約38分と求まった(Strohmayer et al., 2018 buff.ly/2xNhpD6)。中性子星の相手の星は質量が太陽の 1.5% くらいしかなく、パルサーから 3000 km くらいを回って中性子星をわずかに揺らしている。#NeutronStar

2018-10-02 06:30:01
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上の記述、自転周期ではなくて連星の軌道周期です。すみません、書き間違いました。訂正いれます。#NeutronStar

2018-10-02 19:14:39
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GW170817: 2017年8月17日に LIGO が捉えた連星中性子星の合体の重力波。これも中性子星!電磁波観測でパルスが捉えられる中性子星は近傍銀河までだから、 40 Mpc も遠くのこの2つの中性子星は我々が知っている最遠方の中性子星になる。残ったのが中性子星かブラックホールかは不明。#NeutronStar

2018-10-03 06:30:08

20個。

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PSR B1913+16: 重力波といえば、連星中性子星の電波観測により、ハルスとテーラーが間接的に重力波を証明したのがこの2つの中性子星。Weisberg と Taylor (2010) によると、この2つの中性子星の質量は 0.013%ほどの精度で決まる。電波観測のすごい精度。この子たちは約1.4 太陽質量。 #NeutronStar

2018-10-04 06:30:12