山姥切国広と本作長義、刀工国広関連の話

つるぎの屋@日本刀買取専門店 ‏ @tsuruginoyaさんが山姥切国広と本作長義とその関連のあるお話をしたまとめ
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つるぎの屋@日本刀買取専門店 @tsuruginoya

堀川国広の天正打ちは現存数も少なく、特に短刀よりも刀は数える程しかありませんのでなかなか比較検討するのは難しくもあります。

2017-10-05 00:06:18
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その数少ない天正打ちの刀なかでも「山姥切国広」はいかに本歌:本作長義(山姥切長義)の写しとはいえ、堀川国広の作風としてはかなり異なったものと言えます。 もう少し強い口調でいえば異端であり、他に作風においても類例がありません。

2017-10-05 00:06:24
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この刀は「山姥切国広」と同じ室町時代後期に製作された 大和国金房派の代表的な刀工である政次の作です。 どうでしょう?少し「山姥切国広」に似ていませんか? 刀剣というのは同時代であれば国や流派が異なっていても作風が似通う傾向があります。 pic.twitter.com/3qfy9Jkls2

2017-10-05 00:12:32
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「山姥切国広」と金房政次の刀の共通点は、 複雑に変則的に様々な方向に乱れた刃文。 刃中に焼きが抜け空洞化した箇所。 多く入った足・葉。 派縁の小さな飛焼。 そして、もっとも似ている点は匂口が極めてよく締まっていることです。

2017-10-05 00:16:05
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以前に「山姥切国広」に堀川国広の弟子のなかでは古参の阿波守在吉のこの作品がもっとも近似するのではないかとツイートしました。 twitter.com/tsuruginoya/st…

2017-10-05 00:20:20
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刀 阿波守藤原在吉 慶長二年九月吉日 刃長 2尺4寸2分(73.3cm) 天正17年(1589)より8年後の慶長2年(1597) 国広には他に長義写しの作例は見あたらずに、弟子の阿波守在吉のこの作品がもっとも山姥切国広の作風が近いといわれています。 阿波守在吉も作品は少ないです pic.twitter.com/6dclRNymfa

2017-03-02 21:22:40
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実は、現代刀匠の方の作品でこの阿波守在吉にとてもよく似た刀を作られた方がいらっしゃいます。 その方の焼き入れは少し特殊な方法をとられています。 私は阿波守在吉、金房政次の刀も同じ焼き入れ方法であると思います。

2017-10-05 00:27:13
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通常、刀鍛冶が焼き入れを行う際には刀身に焼刃土を塗ります。 しかし「ズブ焼き」といって焼刃土を刀身に塗らないで焼き入れを行う方法があります。 現代刀匠の方、阿波守在吉、金房政次の共通点はこの「ズブ焼き」なのですね。(全ての作品がそうではありませんが。)

2017-10-05 00:30:53
つるぎの屋@日本刀買取専門店 @tsuruginoya

堀川国広が焼刃土を塗らない「ズブ焼き」を行っていたのかは定かではありませんが、弟子の阿波守在吉には「ズブ焼き」と思われる作品が残されています。 「山姥切国広」の作風が堀川国広のなかでも類例が無いところをみると、もしかしたら特殊な焼き入れ方法を用いた可能性があるのかもしれません。

2017-10-05 00:38:19
つるぎの屋@日本刀買取専門店 @tsuruginoya

「山姥切国広」の刃文は、焼きが高く華やかであり、様々な形をした刃が交じって複雑に乱れています。 そして、刃の形や向きが次の刃文が予測できないくらいにとても不規則でもあります。

2017-10-05 20:53:32
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私は刃文をみていてこの不規則さや不安定さから(初めは気のせいかとも思ったのですが)少し酔ったような感覚がしました。 ズブ焼き(裸焼き)の可能性は複雑すぎる乱れと、不規則さから考えました。

2017-10-05 20:54:11
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もっと複雑に乱れたり、皆焼きとなった刃文をながめても酔うような感覚はないのですが。 ただ、いままでも複雑で不規則な刃文をみると酔うような時が稀にあるのですが、それらの多くはズブ焼き(裸焼き)の刃文だったような気がします。

2017-10-05 20:54:39
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刃文にもリズムや律動というものがあるのですが、それらの刀はリズムが不規則で不安定なのですね。 酔うというか、何か精神にクるものがあるというか。

2017-10-05 20:54:48
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私は以前に刀の刃文ではなく絵画で酔ったことがあります。 それは晩年に精神を病んだゴッホの絵でしたが渦巻きがいくつも描かれていました。 画家の精神の不安定さが描かれているそうですが。 「山姥切国広」の複雑で不規則な刃文をみていると同じような感覚がありました。

2017-10-05 20:55:25
つるぎの屋@日本刀買取専門店 @tsuruginoya

もしも刀身の複雑で不規則・不安定な刃文が、「山姥切国広」の精神の不安定さをあらわしているとしたら、とてもとても素敵ですよね!

2017-10-05 20:56:41

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ふと「山姥切国広」に想いを馳せると。 足利での展示の状況、特にハロゲンが光源となる展示だと映りが飛んでしまってよく確認できませんでした。 ただ、刃文の焼頭に堅めの小さい飛焼がいくつもあったのが印象的でしたので、あの手の刀はやはり映りが少しばかりでも映りがあったのではないかと思います

2017-11-29 23:27:26
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明治期に「山姥切国広」を一時的に保管されていた滋賀県彦根市長曽弥のご商家は同じ生業のご商売を数年前まで続けていらっしゃったのですね。 まさか、ご子孫の方からご連絡をいただくとは夢にも思いませんでした!

2018-01-19 13:42:01
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一応、彦根市のご商家の方には当時の「山姥切国広」に関する資料が出てきたらご連絡いただけるようにお願いしておきました。 ただ、一時的に保管されていただけでしょうから可能性は低いかもしれません。

2018-01-20 20:12:28

古刀裏表

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「大倶利伽羅」の裏側が展示されるそうですが、 刀剣は表側が華やか、特に上部の物打ちが華やかになるといわれています。 大倶利伽羅の場合は、元来が大太刀なので佩表(刀裏)、つまり倶利伽羅のある方ですね。 なので裏側の方が少し表側よりもおとなしくなっているかもしれません。

2018-02-23 22:57:00
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古刀でも、南北朝時代より以前のものは表裏の刃文が異なるのが特徴です。 特に出入りの激しい相州伝は大きく異なっています。 例えば、「亀甲貞宗」や「宗三左文字」、「江雪左文字」などですね。 逆に室町期に入り「千子村正」などは表裏の刃文が揃う傾向にあります。

2018-02-23 22:59:29
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「山姥切国広」の本歌である「本作長義(山姥切長義)」は南北朝時代の長船長義作で華やかに乱れているので表裏も異なっています。 「山姥切国広」は堀川国広の室町時代後期の作となり、時代的には表裏が揃うものが多いですが、本歌のように表裏が複雑に異なって乱れていたのが印象的でした。

2018-02-23 23:04:24

堀川国広とその弟子

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昭和37年当時、関東大震災で行方不明になったと思われていた「山姥切国広」がひょっこり出てきたら、刀剣界では戦後(昭和20年以降)最大の朗報だったらしいです(語彙力) 「堀川国広とその弟子」より pic.twitter.com/zx0noDghgK

2018-04-19 23:24:05
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現在、東京国立博物館に展示されている堀川国広の高弟:出羽大掾国路の刀が1振展示されています。 寄贈者の伊勢松江氏は「山姥切国広」を所蔵していた伊勢寅彦翁の奥様です。 美濃伝の作風ですが、乱れがやや山型であったり矢筈刃などを交え「山姥切国広」や長義を想わせるものがありました。 pic.twitter.com/lYUcdsQ72Q

2018-04-19 23:35:40
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