通貨、中央銀行、国債、統合政府に関する対話

天祐虎之助さんとの議論が長くなってきたので、藤巻氏とのやりとりのまとめ https://togetter.com/li/1278599 からこちらに移動。
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望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

@TenyuToranosuke 政府が発行した(あるいは、政府が発行を中央銀行に委託した)紙切れ(ないし電子データ)が決済手段として流通するのは、政府がそれを納税手段として認めているからに他ならない。これにより、納税者は当該納税手段と取得・貯蓄する誘因がありますし、そうした納税者から通貨を提出して購入を行える。

2018-10-21 04:59:49
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

@TenyuToranosuke 上記をTax-Driven Monetary View(租税貨幣論)といいます。 ひょっとしたら、こちらの翻訳記事econdays.net/?p=9414、あるいはその紹介記事ameblo.jp/shingekinosyom…の方が分かりやすいかもしれません。 というわけで、中央銀行を単体で考えるのはナンセンスで、本質的に財政と一体なのです。

2018-10-21 05:03:05
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

@TenyuToranosuke そして国債というのは、繰り返しになりますが、財政と一体となって通貨発行を行っている中央銀行に対して、財務省が提供している金融政策手段(金利を調節するための資産)に過ぎません。何度も言いましたが、国債は資金調達手段として存在しているのではなくて、金融政策のために用意されている代物。

2018-10-21 05:05:24
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

@TenyuToranosuke このような、財政と本質的に一体的な中央銀行の実態があってはじめて、中央銀行は国債以外の資産も売買可能であり、それによってメインの金融政策手段≡国債の価格変動のリスクヘッジを行っているわけです。

2018-10-21 05:07:44
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

@TenyuToranosuke もちろん、中央銀行が金利調節を放棄して、市中資産をメインで購入したり、市中企業への直接投融資を行うことも原理的に不可能ではありません。 しかし、それは結局のところ、財政で投融資を行っていることとほとんど変わらないです。「中央銀行の財政政策」に過ぎないと言えばいいですかね。

2018-10-21 05:09:26
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

@TenyuToranosuke 繰り返しになるのですが、別に国債を廃止して、統合政府負債を通貨に一本化して、財政支出の際に一切国債発行をしない(財政支出の際に必然的に発行される通貨を、国債によって吸収しない)ということにしても別に構わないんですよ。 短期金利操作がしたければ準備預金付利をすれば良いですし。

2018-10-21 05:56:09
天祐虎之助 @TenyuToranosuke

@motidukinoyoru もともとの命題「国債残高0は、政府事業は店じまいか?」の議論に、統合政府の「仮説」を持ち出すことは、不適切です。もし、持ち出すならば、国・日銀のBSはあるのですから、どのようにBSを統合すると、統合政府のBSが得られるかぐらいは説明して頂きたい(というか、これがないと理解できない)。

2018-10-21 17:54:42
天祐虎之助 @TenyuToranosuke

@motidukinoyoru サウジアラビアは、2014年は国債発行GDP2%以下。実質、無借金経営で、債務ではなく、資産がGDPの50%ありました。原油高で国が潤って国債発行が少なくなった方が、行政サービスが縮小し、国債発行0となると、行政サービスができない(政府事業は店じまい)という論理は、理解困難です。

2018-10-21 17:54:53
天祐虎之助 @TenyuToranosuke

@motidukinoyoru さて、その上で確認したいのですが、最後のツイートは、①国債0はOK、②日銀の通貨発行はOK、③短期金利操作は準備預金付利で可能※、という理解でよいですか?つまり、国債発行0でも政府事業は店じまいにならない、といってよいですよね? ※:公開市場操作もあると思います。

2018-10-21 17:55:17
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

@TenyuToranosuke 統合政府は「仮説」ではなくて「現実」ですよ。 中央銀行は、中央銀行単体で機能しないのです。中央銀行券が流動性を持つのは、そこに財政的裏付けがあるからです。この意味で、中央銀行と財務省は本質的に分離不能です。 このことは既に紹介した記事の通りです。

2018-10-21 19:00:25
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

@TenyuToranosuke 統合政府バランスシートはどのような形になるか? というと、端的に言えば、資産面は中央銀行保有資産+財務省(中央政府)保有資産、負債面は民間の保有する国債+準備預金となります。 中央銀行が保有する国債と、財務省が保有する政府預金は、統合政府レベルでは相殺勘定になります。

2018-10-21 19:01:58
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

@TenyuToranosuke 通貨、準備預金、国債は、統合政府レベルで見た方が理解しやすいはずです(統合政府で見ることがより”現実の本質”に近いので) 統合政府レベルで見れば、財政支出は通貨発行と同義で、租税によって通貨は回収される。 通貨を発行したままにすると短期金利が低下するので、国債売却で適宜吸収。

2018-10-21 19:04:57
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

@TenyuToranosuke この意味で国債は、資金調達手段としてではなくて、財政支出≡通貨発行による短期金利低下を抑制し、政策金利に誘導するための金融政策手段として存在しているわけです。(ここらへんの話についてはビル・ミッチェルの赤字財政支出101シリーズ econ101.jp/%e3%83%93%e3%8… の通読をお勧めします。)

2018-10-21 19:08:36
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

@TenyuToranosuke こうした「現実の」金融システムを理解するにあたって、「準備預金≒当座預金、国債≒定期預金or金融債」というアナロジーを用いるのが分かりやすいですよと申し上げたわけです。 (民間保有の)準備預金と国債は、どちらも(統合)政府負債であり、類似物、兄弟みたいな存在です。

2018-10-21 19:10:06
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

@TenyuToranosuke あと、勘違いしないでほしいんですけど、政府負債を「完済」する(清算する)ということが国家の「店仕舞い」になるのだと言っているのであって、ある特定の期間において国債残高が減ることが「店仕舞い」だ、と言っているわけではないですよ。

2018-10-21 19:21:01
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

@TenyuToranosuke サウジアラビアは2000年代に財政黒字を計上していますが、その一方でもう一つの(統合)政府負債である通貨は減らしていない、むしろ増やしているのでceicdata.com/en/saudi-arabi…、政府を「清算」する気はなさそうです。

2018-10-21 19:27:25
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

@TenyuToranosuke ある期間の財政黒字が問題になるとすれば、それによる民間の貯蓄手段の減少ですが(財政黒字で減った分のベースマネーは既発国債の買いオペで補填することは出来ますが、財政黒字によるマネーサプライの減少は補填できないので)、それでは何がサウジアラビアの財政黒字を支えていたのかというと、

2018-10-21 19:30:00
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

@TenyuToranosuke それは経常収支黒字 ecodb.net/country/SA/imf…、つまり「海外部門の赤字」です。これは海外の負債発行(この負債には通貨、貨幣を含む)に依存しているわけで、日本の経済規模でサウジアラビアの真似をするのは困難ですし、(赤字計上国が必要なので)当然だが世界各国が同時に採用できる方針ではない。

2018-10-21 19:32:35
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

@TenyuToranosuke この点についてまとめますと ①財政黒字をある期間計上することは、政府を清算することを意味するわけではない。実際サウジアラビアは、通貨発行高を見ても分かるように、政府の清算を目指していたわけではない。 ②サウジアラビアの財政黒字は海外部門の赤字に依存していて日本にはまねできない。

2018-10-21 19:34:59
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

@TenyuToranosuke 最後のツイートに関してですが、私の言った「国債を発行しない」というのは、「(統合)政府負債を通貨に一本化する」という意味であって、これまで国債として計上されてきた政府負債が、通貨に”変換”されるというだけです。 要するに、国債の完全通貨変換ですね。金利調節したければ付利で十分と。

2018-10-21 19:37:30
天祐虎之助 @TenyuToranosuke

@motidukinoyoru やっと、話が食い違う原因が理解できました。 望月さんは、藤巻さんの最初のリプで「国債を完済するという発想自体が極めてナンセンス。負債を完済するということは、...店じまいすることになるからです」と書いています。この文脈で解すれば、国債=負債と読めますので、私はそう解釈しました。

2018-10-21 22:37:16
天祐虎之助 @TenyuToranosuke

@motidukinoyoru そこで私は何回となく、「国債残高0=店じまい、でない」「負債を完済すれば(国債残高0であれば)...」と、「国債残高0」について議論してきたつもりです。なぜなら、国債は国が勝手に発行するもの、日銀が買う買わないは日銀の勝手だからです(日銀は独立機関という立場)。

2018-10-21 22:37:30
天祐虎之助 @TenyuToranosuke

@motidukinoyoru 一方、望月さんは、統合政府負債について議論しているので、かみ合わないわけです。政府統合論の立場であれば、国債も、準備預金、通貨も同じ負債。(そして、民間の国債を全部買い上げれば、その後、必要な費用を国債で調達する必要はなく、直接、通貨を発行すればよい)

2018-10-21 22:37:43
天祐虎之助 @TenyuToranosuke

@motidukinoyoru 「負債(=国債+準備預金+発行銀行券)が0であれば、店じまい」には合意します。「国債残高0は、店じまいではない」に、望月さんも合意ですよね? 合意なら、議論は一旦終了できるかと思いますが、如何でしょうか?(論点が残っているので、この議論を一旦終了した後、再開するかもしれません)

2018-10-21 22:38:22
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

@TenyuToranosuke 「国債残高を0にするというのは、この場合、国債を全て通貨(別の統合政府負債)に変換するということである」という重要な注釈を忘れずつけるなら同意です。 残った論点や疑問点についてはいつでも気軽にお尋ねください。

2018-10-21 23:31:18