放射線と市民の健康講座 放射線の基礎から社会病理まで:医療生協わたり病院 齋藤紀医師の講演
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DSB = double strand breakage, DNA二本鎖切断
@waremokou528 @kazooooya DSB修復には、大きく分けて相同組換(HR)と非相同末端結合(NHEJ)の二通りがあります。 HRは、増殖中の細胞が遺伝情報を複製した後で使うことができる正確な修復なのですが、増殖細胞のうち、限られた時期にしか使えません。
2018-10-28 18:39:39HR = homologous recombination, 相同組換え
NHEJ = non-homologous end joining, 非相同末端結合
@waremokou528 @kazooooya NHEJは細胞の状態に関係なく使われますが、修復の為にDNA末端を成型する過程で遺伝情報の欠失や付加が起こり、不正確な修復になり易いです。体細胞の多くは増殖していないのでNHEJが優位です。なのでDSBが生じると不正確な修復になり勝ちです。放射線の危険を煽る研究者はこの点のみを強調します。
2018-10-28 18:40:33@waremokou528 @kazooooya DSBが放射線被曝だけで起きるのなら確かに危ないのですが、DSBは被曝に関係なく日常的に起こります。増殖している細胞ならば一日40個くらい、増殖していない細胞でも数個は起きると考えられています。つまり人の体細胞には、加齢による突然変異が自然に蓄積します。
2018-10-28 18:41:03@waremokou528 @kazooooya 被曝による影響は、この自然に生じる突然変異に加え放射線による上乗せ分をみることになります。自然に生じる分も様々な理由でバラつきがあるでしょうから、放射線による上乗せの影響について、線量の低いところは小さくて疫学的な検出が難しい(ない、という表現をする人もいる)と考えられます。
2018-10-28 18:41:57@F1_ABS @kazooooya 丁寧な解説ありがとうございます。確かに次第に老化するのですね。それでも私たちは生きてます。それが事実かな〜と。 私は高校生物の知識レベルです。DNAの塩基は全てが遺伝子として働いているわけではなく、かなり「あるだけ」のようですが、その部分は修復失敗しても遺伝に関係ない訳ですか?
2018-10-28 21:28:40@waremokou528 @kazooooya 「次第に老化」的確な表現と思います。 タンパク質の暗号や機能RNAなどの従来から知られている重要な領域はゲノムDNAの数パーセントです。それ以外の部分がどのくらい無駄なのか、は近年大きな関心が集まっていますが、全部が明らかになるのはまだまだ先。ただし、他人同士では0.1%のDNA配列が異なる
2018-10-29 10:07:28@waremokou528 @kazooooya (多型)ことを考えると、どの場所にどのような突然変異が入るのかが重要なのでしょう。 新規にできる大部分の突然変異は、人体の機能には関係ない中立の変異と考える人が多いと思います。ヒトゲノム解析の結果をみると、生命機能に重要でない場所の方が「多型」が沢山あります。
2018-10-29 10:08:18@waremokou528 @kazooooya DSB修復の失敗にはいくつかパターンがあり、末端が結合しない場合には細胞が死んだり老化したりです(高線量放射線により生じやすい)。末端が本来の相手と結合しない場合は、染色体異常と呼ばれる構造異常が生じます。転座の場合は稀に「がん遺伝子」が生じます(白血病のBCR/ABLが有名)。
2018-10-29 10:08:54@waremokou528 @kazooooya 染色体の一部が逆向きに入れ替わる「逆位」で有名なのは、甲状腺がんのRET/PTC。転座も逆位も細胞分裂の際に娘細胞へと受け継がれることが多く、がん化の原因となる場合もあります。あと二動原体とか環状染色体もありますが、正常細胞では排除され易いです。
2018-10-29 10:09:31ヒトの染色体の形を蝶結びのリボンに例えると、中央の結び目にあたるのが動原体です。細胞分裂の際、ここに動原体微小管(繊維状のタンパク質複合体)が結合して2つの染色分体を核のあっち端とこっち端に引き離す重要な構造です。
http://www.biological-j.net/blog/細胞分裂010.jpg
動原体を境にして、1つの染色分体は長腕と短腕の2つの部分に分かれます(長腕と短腕の長さのバランスは、ほとんど同じものから目で見てあきらかに差があるまでさまざまです)。2個の染色体が腕の端どうしで結合すると、動原体が2つある異常な形の染色体が顕微鏡で観察されます。これが二動原体染色体で、転座(染色体の一部がちぎれた断片、あるいは全体が別の染色体と結合することhttp://bit.ly/1eLEB6C )と呼ばれる染色体異常の一種です。二動原体の中でも残っている染色体の腕の部分が非常に短くて、ぱっと見ではリング状に見える場合が環状染色体です。
こうした異常な形の染色体は、正常な染色体なら1個しかない動原体が2個あることになるため、細胞分裂が繰り返されるにつれて消失して行き、不安定型染色体異常に分類されます。染色体の切断と再結合により生じるさまざまな異常について、次のまとめの最初のページに詳しい解説をのせましたので是非ご一読ください。
@waremokou528 @kazooooya 染色体異常は少なくとも2か所のDSBの結果生じますから、低線量域では起こりにくい現象。NHEJによる配列の変化は「修復の失敗」ではないですが、突然変異が入るという点では厄介。このあたりの全体像は、もう少しゲノムレベルの解析結果の蓄積が必要であろうと思います。
2018-10-29 10:16:38@F1_ABS @kazooooya 何度も丁寧な解説ありがとうございます。 細胞は私たちの思惑を超えて、かなり賢く機能しているのでしょうね。 自然な老化も悪いものとは思いません。穏やかな死への準備です。以前、99歳の方が「もう十分生きました。疲れました」と仰って亡くなりました。 寿命を全うできる生き方をしたいものです。
2018-10-29 10:51:17@F1_ABS さんによる補講2:被爆二世への遺伝的影響
TLに原爆被爆者の遺伝影響について殴り合うtweetsが流れて行ったが、「独自研究」と思われる内容に苛立った。 被爆者の子供で、被爆時に胎内にいなかった方が被爆二世です。 親の被爆線量を指標にします。 残留放射線を話題にする方がいますが、被爆二世への影響は一切考慮しません。
2018-10-25 23:47:16残留放射線については、大部分の方への影響は小さいのでは、という放影研の見解が出ています。 rerf.or.jp/programs/roadm… 但し、初期の短半減期の誘導放射能の影響、もちろん被爆者に対してですが、を考慮している研究者もいますね。
2018-10-26 00:02:16「残留放射線」とは、原爆炸裂の瞬間に浴びた「初期放射線(直接放射線)」(主に中性子線とγ線からなる)に対して核爆発に伴って生成された放射性物質から発生する二次的放射線をさし、a) 「初期放射線」中の中性子線によって地上の建物や土壌などの物質を構成する原子が一時的に放射化されて発生する「誘導放射線」とb) 大気中に拡散した放射性微粒子からの放射線の2種類からなっています(いわゆる「黒い雨」はbに該当)。
被爆二世とは、両親又はどちらかが被爆者で1946年6月1日(広島被爆)か6月4日(長崎被爆)以降に生まれた人のことを言います。 もう被爆五世がいてもおかしくない状況なんですよ。
2018-08-06 08:45:56(↑これは原爆投下から300日目以降に出生した人を意味します)
伝える時はstandardを。 放影研の遺伝影響に関するウェブサイトです。 rerf.or.jp/programs/roadm… 被爆二世の調査では、これまで親の放射線被ばくによる子供の影響は検出されておらず、すでに多くの方が成人病や癌を発症する年齢に達していますが、疾病の増加は認められません。
2018-10-25 23:55:30