「英語で講義」の科学教育への弊害

大学の講義を英語で行うように。そうしなければ予算を減らす、という圧力を受けている。それによる科学教育の劣化を憂う。
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shinshinohara @ShinShinohara

大学の講義を英語で、という圧力が文科省からかけられている。それを飲まないと予算がもらえず、教員の生首を飛ばさねばならなくなるから、泣く泣く承知し、達成目標を課される。このために恐ろしく教育の劣化が起きている。

2018-11-01 23:43:52
shinshinohara @ShinShinohara

考えてみよう。進化論の説明で「キリンはなぜ首が長くなったか」を英語で話せと言われて、あなたは話せるだろうか?哺乳類の説明でカモノハシは卵生で授乳すると英語で説明できるか?そしてそれを聞く側も、正確な英語で説明されたとしても、キリンやカモノハシのことだと気づけるだろうか?

2018-11-01 23:47:27
shinshinohara @ShinShinohara

日本はアジアでおそらく唯一、科学を日本語で説明できる国だ。この恩恵は計り知れない。幼児の絵本、アニメ、漫画にも、科学の知識をちりばめることができ、楽しみながら科学的知識を広げることができるからだ。

2018-11-01 23:50:37
shinshinohara @ShinShinohara

科学的訓練を受けていなくても、キリンを日本の子どもは幼稚園に入る前から知っている。アフリカの生物で、日本にはいないのに。カモノハシも、中学生になると知ってる子が多い。「ああ、カモのくちばしみたいだからカモノハシね」と、母国語だからこそ、スッと理解できる。予備知識が、日本は広い。

2018-11-01 23:54:34
shinshinohara @ShinShinohara

これを英語でやろうとしたら大変。日常で英語を使っていないのだから、乳鉢と言えば、理科がキライな人でもどんな形のものかイメージできる人は多いのに、英語だと何というのかも分からない。

2018-11-01 23:56:42
shinshinohara @ShinShinohara

実は、英語に堪能に見える留学生も、キリンとかカモノハシとか乳鉢の英語が分からないことが多い。お勉強として身につけた英語は、体験済みのものしか単語を知らず、それを使わずに済んだ単語は、英語でなんと言うのか知らないのだ。

2018-11-01 23:59:12
shinshinohara @ShinShinohara

それに実は、日本語ならではの強みもある。乳鉢という字面が分かれば、「乳白色の器のことだな」と察しがつく。ところが英語で「mortar」と聞いても、英語圏の人間でさえ乳鉢のこととは気づかず、モルタル(セメント)のことしか思い浮かばない。単語を知らないと思い浮かびさえしない。

2018-11-02 00:14:46
shinshinohara @ShinShinohara

乳鉢をmortarと表現しても、英語圏の人間さえ乳鉢のことだと分かってもらえないことが多い。ましてや、日本の教員が学生にmortarとしか言わなかったら、もう誤解に次ぐ誤解が起きて、実に無駄な時間を浪費する。乳鉢なら、すりつぶすためだな、と次のステップまでニュアンスが伝わるのに。

2018-11-02 00:18:07
shinshinohara @ShinShinohara

小さい頃から日本語で科学用語とも思わずにビタミンだとか放射冷却だとか皮膚だとか、日常的に言葉に触れているという蓄積を持って、大学に進学してくる。その分厚い予備知識があるのに、英語の授業になったとたん、幼児に戻ってしまう。研究どころじゃない。

2018-11-02 00:23:18
shinshinohara @ShinShinohara

日本語ですべて科学教育ができるということは、裾野が広くなるということ。裾野が広いということは、頂も高くなるということ。英語がろくにできなくてもノーベル賞がとれる。このメリットを、果たして大学行政の担当者は分かっているのだろうか。

2018-11-02 00:25:42
shinshinohara @ShinShinohara

もちろん、英語は話せた方がよいし、読み書きもできた方がよい。しかし英語を重視するあまり、科学教育が幼稚化することの弊害は計り知れない。早急に、対応を改めるべきだ。

2018-11-02 00:27:31