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400年前の三世ものスピンオフ三国志小説! 江戸時代から日本各地で読まれ続けた三国志演義続編の日本語翻訳に関する話。

三国志演義の続編として、中国の明代に書かれて刊行された書物に「三国志後伝」というものがあります。日本に渡り、「通俗続三國志」・「通俗続後三国志」として翻訳され、現在でも古書やネットにおいて読むことができます。中国では三国志後伝は長い間、忘れ去られていましたが、「通俗続三國志」・「通俗続後三国志」は日本における江戸時代の三国志ブームの中で、何百年もの間、昭和に至るまで刊行されてきました。その変遷と流通を日本における三国志演義の受容とともに語るものです。こちらのまとめの姉妹編となります。https://togetter.com/li/1247279
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## 9 最後に

まめ@史記人物大好きクリエイター @mamesiba195

これで、私の今回の調査結果の発表は終わりです。 pic.twitter.com/WcfVqdUR8C

2018-11-16 23:17:25
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まめ@史記人物大好きクリエイター @mamesiba195

当初は、水野年方挿絵を添付して、「通俗続三国志」序盤の簡略な内容紹介を行いたいと考えていましたが、長くなりましたので、またの機会に行いたいと思います。

2018-11-16 23:18:04
まめ@史記人物大好きクリエイター @mamesiba195

今回のまとめで、日本の江戸時代における三国志演義の長い受容と浸透の歴史とともに、その派生作品である三国志後伝がいかに日本において受容され、「通俗続三国志」・「通俗続後三国志」として出版されて後、長期間にわたって読まれ、また、地方にまで普及していったか、ご理解いただければ幸いです。

2018-11-16 23:18:22
まめ@史記人物大好きクリエイター @mamesiba195

江戸時代以降も「通俗続三国志」・「通俗続後三国志」は細々と命脈を保ちますが、昭和に入って、ほとんど忘れ去られてしまいますが、今回は調査で名は広く知れ渡らなくても、翻訳・出版・普及の経緯について、調べ上げる機会と発表する場を、私に与えられたことは素晴らしいことと感じています。

2018-11-16 23:20:09
まめ@史記人物大好きクリエイター @mamesiba195

今後の課題としては、①「通俗続三国志」を翻訳した中村昂然は、別の筆名の作家と同一人物ではないのか、それを調査する方法は存在するのか、②「通俗続三国志」・「通俗続後三国志」のデータでの調査を、より詳細で正確な調査で実施すること、などでしょうか。

2018-11-16 23:21:11
まめ@史記人物大好きクリエイター @mamesiba195

どちらも可能だとしても、相当に困難なものですので、この取組みには、今のところは、かかる予定はありません。

2018-11-16 23:21:32
まめ@史記人物大好きクリエイター @mamesiba195

最後に「通俗続三国志」・「通俗続後三国志」とその原作の「三国志後伝」の小説作品としの、私の個人的評価をします。

2018-11-16 23:22:01
まめ@史記人物大好きクリエイター @mamesiba195

内容と面白さは、「三国志演義」に比べ、かなり劣ります。「通俗続三国志」では、中村昂然が面白くなるように色々と工夫した形跡がみられますが、三国志演義と違い、作品の構造に大きな問題を抱えており、大きな改善にまでは至っていません。

2018-11-16 23:22:22
まめ@史記人物大好きクリエイター @mamesiba195

他の中国文学の作品にたとえると、水滸伝の「征四寇」(遼・田虎・王慶・方臘討伐)のひたすら戦闘を行う部分に似ています。その中では評価の高い方臘討伐レベルの質は保っているとは思いますが、読者にはおなじみの水滸伝の人物が活躍とするのとしないのでは面白さは違います。

2018-11-16 23:22:56
まめ@史記人物大好きクリエイター @mamesiba195

また、三国志演義の諸葛亮死後の姜維を中心とした部分の余りなじみがなく、個性が薄い人物が、三国志演義の中盤よりもレベルが落ちる戦闘や謀略を繰り広げた展開に近いかもしれません。

2018-11-16 23:23:16
まめ@史記人物大好きクリエイター @mamesiba195

それが三国志演義や水滸伝より長い分量で繰り返して、続くものと考えていただければ、イメージしやすいかなと考えています。当然、途中でパターン化され、単調になるのは否めません。

2018-11-16 23:23:40
まめ@史記人物大好きクリエイター @mamesiba195

ただし、この2作品は、中国明代の作品と選りすぐりの作品で、その中では劣る部分に匹敵するとすれば、当時としては「三国志後伝」は、完成度の高い作品と言っていいでしょう。

2018-11-16 23:24:04
まめ@史記人物大好きクリエイター @mamesiba195

私個人としても「通俗二十一史」を全体的に読んでみて、「通俗続三国志」・「通俗続後三国志」は面白さとしては、上位に入る作品だと感じます。三国志演義や水滸伝の原典の翻訳がお好きな方には読んでいただきたい作品だとは考えています。

2018-11-16 23:24:26
まめ@史記人物大好きクリエイター @mamesiba195

また、「三国演義や正史三国志を知り、三国志の後を知りたいなら、wikipediaや概説書、資治通鑑の翻訳から知るのと、「通俗続三国志」・「通俗続後三国志」どちらを先に読んだ方が分かりやすいか」と質問でしたら、「通俗続三国志」・「通俗続後三国志」の方を先に読むことをお勧めします。

2018-11-16 23:24:51
まめ@史記人物大好きクリエイター @mamesiba195

ただ、序盤に登場人物が多くでてくるところは読み飛ばして、全ておぼえようとせず、主要人物以外は姓から推測して、面倒なところは気にせず、読み進めていくのが正しい読み方であると思います。

2018-11-16 23:25:12
まめ@史記人物大好きクリエイター @mamesiba195

「三国志演義」や「水滸伝」との戦闘における大きな違いは、一騎打ちにおいて、合数が多く、なかなか決着がつかないことです。「三国志演義」・「水滸伝」ではよほどの実力者同士しかならないことが、それなりの実力差があっても起こります。

2018-11-16 23:25:33
まめ@史記人物大好きクリエイター @mamesiba195

また、主人公である劉淵率いる漢軍の計略がうまくいかず、敵軍の策略が決まることも中国文学にしては、比較的多いことは特徴としてあげられるでしょう。

2018-11-16 23:26:02
まめ@史記人物大好きクリエイター @mamesiba195

さらには、登場人物が三国志演義や水滸伝に比べても、圧倒的に多いです。名前だけの人物や、倒されるために登場したような史実にない人物名も多く、人物名の羅列も多用されます。これは、現代から見ても特色あるものでしょう。

2018-11-16 23:26:26
まめ@史記人物大好きクリエイター @mamesiba195

史実と違うオリジナルの内容としては、劉淵や史実の晋王朝に敵対した人物の多くが蜀漢の人物の子孫となっていること、また、作品の途中で劉淵率いる漢軍と晋王朝の軍、そのほぼ全軍が大会戦を行うというオリジナルの戦闘があることが挙げられます。

2018-11-16 23:26:48
まめ@史記人物大好きクリエイター @mamesiba195

大会戦時の人物名とその役職の羅列と会戦の連続は、小説としての是非はともかく、尖った意味の小説としての試みとして、目を惹くものです。架空戦記を先取りしたような部分も多く見ることができます。私はこれを「中国文学史上最大の大決戦」とみなしています。

2018-11-16 23:27:07
まめ@史記人物大好きクリエイター @mamesiba195

とにかく、試しにお読みになっていただければ幸いです。上で述べました通り、カクヨムで河東竹緒さんが翻訳されています。

2018-11-16 23:27:33
リンク カクヨム - 「書ける、読める、伝えられる」新しい小説投稿サイト 通俗續三國志(通俗続三国志)β(河東竹緒) - カクヨム 明代に書かれた三國志演義の續編を超訳 1 user
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