【三国志後伝】 三国志演義の続編として刊行され、日本で翻案されて独自に発展しつつ、各国を渡り続け生き残り、中国で復活を遂げた数奇な書物の話
- mamesiba195
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三国志演義の続編(筆者は別)として、中国明代に刊行された「三国志後伝」とその原書について、調べた内容について、発表したいと思います。今回は学者の方々のなされた具体的な活動まで言及するため、敬称は省略していません。#三国志後伝 #三国志演義
2018-07-16 02:10:00なお、サムネ画像は「イラストやさん」サイトからダウンロードさせていただいた三国志後伝の主人公・劉淵の祖父である劉備です。子孫関係は小説における創作ですが、劉備の後継者を名乗った劉淵は史実上の人物です。 pic.twitter.com/tLgFXuQrMT
2018-07-16 08:52:28## 1 概略と目的
このまとめの内容は、「三国志後伝」という書籍の原本の写しが日本国内にあることをあることを知り、三国志後伝の内容と写しの内容を調査した結果となります。三国志後伝の原本は世界に二冊しか発見されておらず、写しだとしても、三冊目が見つかれば大変な発見でした。
2018-07-16 02:11:09調査結果として、その写しはいままでに発見されていた原本の写しであり、三冊目ではないことが判明したのですが、同時に学会の論文でも「日本には無い」とされていたマイクロフィルム・複製本が日本に保存され、公開されていることが分かりましたので、ここで発表するものです。
2018-07-16 02:11:54三国志後伝は、中国において近年まで知られていなかったにも関わらず、日本において、江戸時代に世界最古の翻案がされ、日本とは縁深い講談です。三国志後伝とその書籍の歴史を紹介しつつ、我が国にその貴重な翻案がされ、その原書の発見と復活について知らしめることを目的としています。
2018-07-16 02:14:33あわせて、「書誌学」というもの全く携わっていなかった私が、この書籍を調査する過程で、様々な事実を知ることができた喜びや驚きを共感していただけるなら幸いです。
2018-07-16 02:15:27なお、論文や書籍、資料の読解や引用については、全て、私の責任ですので、ご了承ください。誤り等がありましたら、ご指摘いただけると助かります。なお、この順で語りますので、参考にされてください。 pic.twitter.com/n9npa2VB5Z
2018-07-16 18:48:55三国志後伝の説明を行うため、基本として参考とした主な論文は、徳田武「『新刻続編三国誌後伝』と『通俗続三国志』」(1987年)(以下、言及する時は「徳田論文」)と、 ci.nii.ac.jp/naid/400033867…
2018-07-16 02:18:15陈年希「《三国志后传》考论」(1990年)(以下、言及する時は「陳論文」※陈は陳の簡体字)です。間違いがありましたら、ご指摘お願いします。 baike.baidu.com/item/%E7%BB%AD…
2018-07-16 02:19:03また、「三国志後伝」は、表記法により、「新刻續編三國志後傳」や「新刻続編三国誌後伝」などと呼ばれていますが、全て同一ですので、お気をつけください。
2018-07-16 02:19:43## 2 三国志後伝について
三国志後伝は、初めに説明しました通り、三国志演義の続編として、明代に刊行された講談小説です。前述した通り、著者は三国志演義の著者とされる羅貫中とは別人です。
2018-07-16 02:20:28三国志後伝の多くは三国志演義の設定を受け継ぎ、三国志演義の終盤を補足しつつ、晋時代を舞台として、劉備の孫である劉淵を主人公として、劉淵が匈奴に逃れて、その主となり、漢を復興する次第を語ります。(劉淵が劉備の孫とするのは、あくまで小説上の設定です)
2018-07-16 02:21:33この劉淵を劉備の孫(外孫)として匈奴に入り、漢を復興する内容は、元代に刊行された三国志平話の設定にあるものと同一です。三国志後伝が先行の三国志関連の講談の設定を受け継いでいることが分かります。元の至治年間(1321~1323)に刊行されています。
2018-07-16 02:23:22また、三国志演義もまた、明代に刊行されています。その最古のものは、明の嘉靖元年(1522年)「嘉靖本」であり、その後、明代において三国志演義ブームが起きています。
2018-07-16 02:24:28