バーナード・スーツ『キリギリスの哲学』レジュメ的な、そうでもないような何か-後編

ちょっとした面白い話が訊けたので、これの後に番外編を用意します 14・15章はまだちょっと待って!
2
難題の預言者、悉若無@いりやらさんどるあはれなり @L_O_Nihilum

逆捻りとはたとえば、ここでは、 「ままごと」は、本来作業であるところの「ままごと」、つまり生活を継続する手段でもある「家事」を、そのまま「プレイの目的」に仕立て上げる事だろう。同じように徒競走も「対象を追い越す」行為が手段ではなく目的になる、といったようなもの。

2018-11-26 20:33:48
難題の預言者、悉若無@いりやらさんどるあはれなり @L_O_Nihilum

ゲームプレイが、手段と目的の逆転によって成立するというのがSkpの言い分。 10章、11章では、たとえ話を通して、この新案を退けるキリギリスの反撃が書かれる。

2018-11-26 20:33:48

【第10章】ポーフィリョ・スニークの驚くべき経歴

難題の預言者、悉若無@いりやらさんどるあはれなり @L_O_Nihilum

【9】Skpのたとえ話。 スパイ活動をしているポーフィリョ・スニーク氏がいた。彼は凄腕スパイだが、それは演技する事が楽しくてスパイしてたのであって、生計を立てる為等ではなかった。国際情勢が正常化すると自分が演技できなくなるので、巧妙にいろいろな国のスパイを引き受けて動乱を調整してた。

2018-11-26 20:47:03

【訂正】【第10章】。

難題の預言者、悉若無@いりやらさんどるあはれなり @L_O_Nihilum

キリギリスがここに話を付け加える。 ところがこのスニークは、以来を受け過ぎて、自分ひとりで複数のスパイをやらなきゃいけなくなって、病気になったので精神病院入りになった。 彼の担当はドクター・ホイシュレッケ。彼によれば、スニークが倒れたのは臨床的な精神病などではなく、単なる疲労らしい

2018-11-26 20:47:04
難題の預言者、悉若無@いりやらさんどるあはれなり @L_O_Nihilum

何故スニークはこんなことになったのか?ホイシュレッケはカウンセリングの最中で、スニークに別の人のカルテを読ませる。 このカルテの中身が、11章になる。バーソロミュー・ドラッグと言う人の症状である。

2018-11-26 20:47:04

【第11章】バーソロミュー・ドラッグの病歴

難題の預言者、悉若無@いりやらさんどるあはれなり @L_O_Nihilum

【11】ドラッグは、ボーイスカウト育ちなので、人の役に立つ事を好み、嘘を嫌っていたが、自身の善行が感謝されなくなると癇癪を起す奴だった。その為彼の暮らす街では、住民がドラッグの気を損ねないように上手く彼に合わせて反応し喜んだ振りとかをするようになった。

2018-11-26 20:52:16
難題の預言者、悉若無@いりやらさんどるあはれなり @L_O_Nihilum

そのうちこうした住民がやってる、自分をうまくレールに乗せて機嫌取りをしているって事がドラッグにもわかるようになってきて、彼はその後自分の役割が何の役にも立ってないんじゃないかみたいな失意に呑まれ、ホイシュレッケのいる病院に入院した。

2018-11-26 20:52:17
難題の預言者、悉若無@いりやらさんどるあはれなり @L_O_Nihilum

ホイシュレッケはスニークに説明し、理解させる。つまり、スニークは国際情勢を相手にして演技の反応を求めていて、ドラッグは善行の見返りを反応として求めていた。それがなくなってしまえば自分がそれを続ける事が出来なくなってしまうと言う事を一番に怖れていたので、よく似た症状だった、と。

2018-11-26 20:52:17
難題の預言者、悉若無@いりやらさんどるあはれなり @L_O_Nihilum

その後、スニークとドラッグは面会。 そしたらあら不思議。2人は自分で役割を作って、お互いに演技をしながら元気に退院する。 ホイシュレッケ「予後は良好どころじゃない、素晴らしい!」

2018-11-26 20:52:17
難題の預言者、悉若無@いりやらさんどるあはれなり @L_O_Nihilum

スニークはスパイをする事を目的ではなく手段として(つまり逆ひねりして)いた例であるが、ドラッグは善行をするというボーイスカウトの活動の延長線上に居る為、それ自体が目的であり、逆ひねりをしていない。つまり、ごっこ的行為がゲームだと証明する為に、Skpの言う逆ひねりが必要ない事がわかる。

2018-11-26 21:01:57
難題の預言者、悉若無@いりやらさんどるあはれなり @L_O_Nihilum

スニークとドラッグ、2人の患者に共通していたのは「演技をして、その反応を求める」事であった。つまり、相手も自分に合わせて演技を返してくれれば、ずっと演技を続けることができるため、この2人が同じ症状ならば会わせてしまえば2人とも疲れも失意も要らなくなるわけである。

2018-11-26 21:01:58
難題の預言者、悉若無@いりやらさんどるあはれなり @L_O_Nihilum

スニークとドラッグがごっこ遊びに目覚めれば、 スニークは「自分と羽根つき」する必要がなくなり、 ドラッグは「周りの人に感謝してほしいと我儘を言う」必要がなくなる。

2018-11-26 21:01:58
難題の預言者、悉若無@いりやらさんどるあはれなり @L_O_Nihilum

ドラッグからわかる事は、「何かの役割を行うに当り、それを遊びにする為には、その役割自体を演技の手段にする事は、必ずしも必要ない。役割自体をプレイし続ける事も可能である」って事であろう。随ってここで「逆ひねり」が斥けられる。

2018-11-26 21:01:58

【第12章】オープンゲーム

難題の預言者、悉若無@いりやらさんどるあはれなり @L_O_Nihilum

【12】これらを通して、キリギリスは自身の定義の内部を詳細化する事で、9章の問題にケリをつける。 つまり、「勝ち負けや損得によって決着がある」ゲームをクローズドゲームと呼ぶなら、今紹介したような演技のゲーム、ごっこ遊びなどは、 『オープンゲーム』と呼ぶ事が出来ると言う。

2018-11-26 21:09:11
難題の預言者、悉若無@いりやらさんどるあはれなり @L_O_Nihilum

オープンゲームは、達成すべき事態が、継続的にゲームを続けさせるための目標になっている。例えばつまり、ごっこ遊びであれば、ごっこ中のある役がある行動をしたときに、相手が反応を返して、ごっこ遊びが継続する事である。ゲーム前提的目標が終了条件じゃないだけで、存在しなくなった訳ではない。

2018-11-26 21:09:11
難題の預言者、悉若無@いりやらさんどるあはれなり @L_O_Nihilum

この手のゲームは他にもキャッチボールや、テニスのラリーと言った形のものが当てはまる。 その為に自分が出来るだけ上手に、相手が打ち返せるボールを打つというルールが設定されてるのである。

2018-11-26 21:09:12
難題の預言者、悉若無@いりやらさんどるあはれなり @L_O_Nihilum

【私見】 Q:内部的目標は?クローズドだと勝つことだよね? A:勿論、ゲームを続けるようにプレイし続ける事だ。それ自体が内部的目標。従って、オープンゲームでは、前提的目標と内部的目標が同じところで重なってるケースなのだと思う。

2018-11-26 21:18:08
難題の預言者、悉若無@いりやらさんどるあはれなり @L_O_Nihilum

ついでに。たぶん、4章の「制度」を、目標にも組み込んでるんだと思う。 前提的目標=ゲームの外部から記述出来る目標=Type 内部的目標=ゲームの内部でしか記述出来ない=Token そう見れば、オープンゲームは、この2目標=タイプとトークンが「一致している」種のゲームだとは言えないだろうか。

2018-11-26 21:18:08
難題の預言者、悉若無@いりやらさんどるあはれなり @L_O_Nihilum

こう読むと、9章で語られ、12章で再び語られる「オープンゲームが嫌われてクローズドゲームに取って代わる」現象は、実は 「オープンゲームとクローズドゲームの混同」以上に 「タイプとトークンがゲームに於いて乖離する」現象なのではあるまいか。

2018-11-26 21:18:08
難題の預言者、悉若無@いりやらさんどるあはれなり @L_O_Nihilum

3章のP17で既にそれっぽい類例が。ゴルフでスコアを偽ってトロフィーを貰う事はゲームで勝った事にはならない、と言ってたくだりだが 「スコアを高く取って1位を取る」内部的目標=Token勝利 「トロフィーを受け取る」前提的目標=Type勝利 これ、いんちき屋くんが強引に引き剥がしたケースだよね。

2018-11-26 21:18:08
難題の預言者、悉若無@いりやらさんどるあはれなり @L_O_Nihilum

役立ってる自分に喜びたいドラッグは、住民がそれを利用してドラッグの迷惑を避けようとしていた事が分かった結果ドラッグを卒倒させたが、 スニークの場合は国家動乱を起こし続ける為に演じるスパイ役の数が増えすぎ、演じきれないまま会議とかやろうとしてムリゲーで卒倒した。

2018-11-26 21:25:09