ベーシック・インカムのような労働なき所得再分配の限界

人間社会の根本構造などから見て、やはり労働による(再)分配による拡充を目指す方が合理的なのではないかという趣旨。
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望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

「ベーシック・インカムか、Job Guaranteeか」の議論に繋がる話なのだが、労働無き所得の(再)分配というのが、現実の社会制度で許容可能なのか、並びに社会制度として望ましいのか、について考察すると、双方の点においてやはり所得ではなく労働の分配の方が好ましいのではないかと思えてくる。

2018-11-20 08:38:47
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

第一に、俗な観点ではあるが、やはり「働いてもいないのに金を貰うのか」という非難は、互酬が根本にある社会制度において、”自然な感情”であることは否定できず、(再)分配に際して、形式的であっても労働という形を取るのは、そうした社会制度の基礎的部分との整合性が取りやすい筈。

2018-11-20 08:42:12
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

これは以前に安田洋祐氏がbusiness.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15…などで指摘している部分とも被りそう。 上記記事を端的にまとめると、競争的な市場均衡は、生産-消費マッチングの数量を最小化してしまい、再分配がない場合、アンマッチによって不利益を被る主体の数が最大化してしまうとの由。

2018-11-20 09:15:02
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

ここでもし、労働のような社会参加を通じて、「互酬」という社会の根本原理にコミットしなければ、分配が与えられないといった規範が広範に共有されている場合は、効率的な市場均衡ではなく、安田氏が記事で紹介しているような、均衡から乖離し得るマッチングシステムの導入が相対的に好ましくなる。

2018-11-20 09:19:29
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

第二に、互酬を根本規範とする社会自体が好ましいかどうか、というところ。 この根本規範は、ベーシック・インカム的な再分配が最適水準になるのを明らかに妨害するわけだが、かといって、互酬という規範が、社会的、ないし「生態的」に望ましくない共有規範かというと、そうとも言えないだろう。

2018-11-20 09:21:45
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

というのは、構成員が皆、虎視眈々とフリーライダーになるチャンスを伺っている社会より、互酬を共有規範として、社会貢献が社会からの恩恵を受ける前提となっている社会の方が、社会全体の生産力や成長性は明確に高まる筈。その意味で、フリーライダーを排除したい性向を根本的に否定するのは難しい。

2018-11-20 09:24:43
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

互酬を根本規範とする社会の場合、適応的に互酬、ないし他者への貢献に対して何らかの正の効用(達成感であったり、名誉感であったり)を持つ人々も多くなる筈。そうした人々が、労働等の社会参加から「排除」されると、所得と同等に疎外感に苦しむことになる。「関係の再分配」にも絡んでくる話。

2018-11-20 09:35:16
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

まとめると、従来の社会構造、社会に通底してきた規範や、そうした社会や規範を形成してきた人類の生態それ自体とのシナジーを取るなら、ベーシック・インカムのような所得単体の保障よりも、Job Guarantee型の(少なくとも形式的には)労働を通じた分配の方が適合的ではないかと考える次第。

2018-11-20 09:38:07
みなみぞうあざらし🦭(PPMPPMP💉) @Brother_chang

この議論、自分の意識として、どうしてもこの間で揺らぐ。というのはやはり、職に不適合であったりする人を考えてしまうことのよるのかなとも。 twitter.com/motidukinoyoru…

2018-11-20 10:04:48
みなみぞうあざらし🦭(PPMPPMP💉) @Brother_chang

これは極端にどちらにしなければならないというわけではなく、その間のどこらへんに落ち着かせるかという議論にもなるのかなと思うけれども。

2018-11-20 10:07:56
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

@Brother_chang 考えているのは、「労働する」、「社会に貢献する」という尺度を大きく緩める必要があるのではないかと。 例えば、単に栄養を得て、生き長らえるということだけを本質的活動だとしてしまうと、その尺度で見た「本質的労働・生産」には、この世のほとんどの労働・生産が当てはまらないですよね。

2018-11-20 10:15:49
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

@Brother_chang プロスポーツ選手の中には途轍もない金額を稼ぐ人々も居ますが、彼らの足元にも及ばない所得である各種ショップ店員の皆さんの方が、明らかに我々の実生活における「必要度」は高いです。 私は、「プロスポーツ選手は実質的に穀潰しだからプロスポーツを廃止しろ」なんてことを言いたいわけでは無く、

2018-11-20 10:21:56
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

@Brother_chang 社会に参加している、社会に貢献している、社会において(何らかの)生産を行っている、という評価は、(よほど困窮した社会でもなければ)可能な限り広く取って、様々な形で労働・生産・所得が発生するような社会である方が良いではないか、と言いたいわけです。

2018-11-20 10:23:31
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

@Brother_chang ここらへんの議論と関係があるのが以下二つの拙コラムかと存じます。 「脱市場、脱成長が齎す文化的退廃 その裏にある市場の本当の恐怖」 ameblo.jp/shingekinosyom… 「イノベーション、分配、経済成長」 ameblo.jp/shingekinosyom…

2018-11-20 10:54:36
宮島正 @yasuokajihei

AI・ロボット化でどんどん雇用は減りますが。技術革新は止めれません。 twitter.com/motidukinoyoru…

2018-11-28 13:39:10
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

「ベーシック・インカムのような労働なき所得再分配の限界」をトゥギャりました。 togetter.com/li/1292911

2018-11-28 13:19:46
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

@yasuokajihei 自動化が進行するより前に、労働待遇が低下するという形で、雇用がキープされるというのが実情だと思います。 レン=ルイスが指摘するように、不況による失業圧力の増加の中で、労働集約化シフトが進み、イノベーション利用は停滞し、これらによって生産性成長は抑制されました。

2018-11-28 14:16:26
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

@yasuokajihei これはある種当然で、生産手段(資本)から人々が隔離された現代経済では、是が非でも雇用されなければ生きていくことが出来ない。したがって、自動化されるまでもなく、人が低賃金で雇えるようになってしまう。 ちょうど『イノベーションの本当の源は高賃金』とは全く逆のことが起きてしまう。

2018-11-28 14:18:15
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

@yasuokajihei こうした問題を解消するキーが再分配による労働供給の抑制なのですが、twitter.com/motidukinoyoru…で指摘したように、ベーシック・インカム型には社会的限界があり、したがって雇用創出という形を取るのが結局妥当なのではないか、と考えているわけです。

2018-11-28 14:20:08
宮島正 @yasuokajihei

労働者を雇った資本家が全自動化した敗北したらどうなるんでしょうか? twitter.com/motidukinoyoru…

2018-11-28 16:27:37
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

@yasuokajihei 労働者は、労働をしないと生きていけないので、自動化のコストに勝てるようになるまで賃金は低下するでしょう。結果、自動化は停滞し、生産性成長は低迷します。 これは実際に起きていることにかなり近いです。だからこそ、再分配が必要になってくるわけなのですが、

2018-11-28 19:19:34
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

@yasuokajihei twitter.com/motidukinoyoru…で論じたような人間社会の根本構造から、再分配も、何かしらの労働の形を取らざるを得ないのではないかと考えています。 労働という名分のついていない再分配は、極めて小さく、不十分なものに終わってしまうのではないかという危惧です。

2018-11-28 19:21:15
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

ベーシック・インカムのような労働なき所得再分配の限界 - Togetter togetter.com/li/1292911 @togetter_jpさんから ここで議論してて思ったのは、では「働けない人々」への社会的庇護の源泉はどこなのだろう?ということ。

2018-11-30 13:57:35
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

「基本的人権!」と言明するのは簡単ですが、基本的人権は別に天から降ってくるものではないので、その根源まで迫りたいわけです。 山極寿一氏著「「サル化」する人間社会 」amazon.co.jp/%E3%80%8C%E3%8… によると人間社会は「えこひいき原理の家族」と「平等・互酬性原理の共同体」を両立させたもの。

2018-11-30 14:33:31
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

つまり、病人や赤子といった「働けない人」への社会的補助は、家族的なえこひいき原理の中から出てきて、(平等・互酬性原理の)共同体の論理とのせめぎ合いの中で表出するものであるわけです。 人間社会は、決して国家・社会レベルでの素朴な個人単位の再分配を保障してくれるものではないと。

2018-11-30 14:37:37
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

逆に、家族的なえこひいき原理の力が薄れてくると、「サル社会」的な個人(個体)レベルのエゴが強くなって来る。 ともすれば、相模原事件 ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9B%B8… も、個人のアトム化(原子化)が進む中での、一種の「サル化」現象の顕れだったのかもしれません。

2018-11-30 14:40:21