尾上先生の勉強風景 (11) 『ヒトの変異』

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尾上正人 @9w9w9w92

「ライディッヒ細胞は精巣内の細胞で、哺乳類をオス化するホルモンを分泌する。だがSRYがなければ、ライディッヒ細胞もほかの精巣内の細胞も存在しない」203頁

2019-01-02 18:27:49
尾上正人 @9w9w9w92

「テストステロンを産生するには4つの酵素が必要だが…このうちの3つの酵素をコード化する遺伝子について、変異が発見された。…変異のせいで完全な性反転が起きるわけではないが、中途半端な状態、つまり半陰陽を引き起こす。もっと正確に言えば、精巣はあるが機能していない、男性仮性半陰陽」203

2019-01-02 18:30:07
尾上正人 @9w9w9w92

「アロマターゼは、SRYの次に、ヒトの性を決定する最も重要なものと言えるだろう。テストステロンとエストロゲンの交差点にいて、交通整理の役割をするからだ」208頁

2019-01-02 18:37:25
尾上正人 @9w9w9w92

「メスのブチハイエナには膣がないので、クリトリスで交尾し、出産もする。…初めて出産するときには、クリトリスの管は狭いので分娩には時間がかかる。その間に60%の胎児が窒息死し、9%の母親が死亡する」209-10頁

2019-01-02 18:41:12
尾上正人 @9w9w9w92

「多くの医師や人類学者たち…の考えでは、性的志向は社会的影響を受けやすく、特にごく幼いころに、どのように育てられたかで決まる。…性に対するこのような社会構築主義的な考えは急速に根拠を失い、性行動の分子遺伝学的研究に道を譲りつつある」212頁

2019-01-02 18:45:35
尾上正人 @9w9w9w92

「『ホモ・サピエンス』は、もう少しで別の名前になるところだった…彼[リンネ]のノートを見ると、サピエンスとするかディウルヌス[昼]とするかを長いこと決めかねていた…人類の名付け親たる彼は、私たちのほかにも人類はいると…世界の果てには私たち以外のヒト科の種が住んでいると」214-5頁

2019-01-02 21:33:30
尾上正人 @9w9w9w92

「アフリカのアルビノで最もよく見られるのは、P遺伝子の2.7キロベースにわたる欠損の同型結合だ。同じ変異はカリブ諸島でも、アメリカ合衆国の黒人の間にも見られる。両者とも奴隷貿易でアフリカから連れて来られた人たちだ」220-1頁

2019-01-03 04:46:39
尾上正人 @9w9w9w92

「ヨーロッパでは36000人に約1人がアルビノで生まれる。アフリカでは1万人に1人だ。だがズールー族になると4500人に1人と急増し、ナイジェリアのイボ人にいたっては1100人に1人の割合だ。…アリゾナに住むホピ族も、アルビノが生まれる割合が高い(200人に1人)」221-2頁

2019-01-03 04:50:03
尾上正人 @9w9w9w92

「MC1R遺伝子は少なくとも30個の多型があり、その多くはアイルランドで発見された。このうちの6個から10個くらいの多型が多様に組み合わさって、赤褐色、真紅、オレンジ、赤みがかったブロンドなどの赤毛を作り出す。逆にアフリカ人はみな、同じ1種類のMC1R遺伝子をもっている」233頁

2019-01-03 05:04:40
尾上正人 @9w9w9w92

「ダーウィンは、人間の皮膚の色がさまざまなのは、性選択、つまりそれぞれが何世代にもわたって美しい伴侶を求めて自由に選んできた結果だと考えた。これはおもしろい説だが、証明不可能だ」233-4頁

2019-01-03 05:07:06
尾上正人 @9w9w9w92

「清朝の人類学者たちは毛深いか、毛深くないかで世界の人々を分類する地図を作った。とくに…毛深いアイヌ民族に興味を持ち、小人のような猿人として描いた。…ヨーロッパ人のことを、福建語で『赤毛のサル』…と呼ぶこの愉快な習慣は、シンガポールでまだ生きつづけている」234-5頁

2019-01-03 05:14:11
尾上正人 @9w9w9w92

「少なくともここ100年、アメリカ人は頭髪の薄い男性を大統領には選びたくなかったようだ。…ジェラルド・フォードを除くと、最後の薄毛の大統領はドワイト・D・アイゼンハワーだ。ヨーロッパ人は薄毛の政治家に対してもっと寛大だ」246頁

2019-01-03 05:31:53
尾上正人 @9w9w9w92

「頭髪が薄くなるにはテストステロンが、それも大量に必要…アリストテレスは『動物誌』で、去勢された男は背が高いと語ったが、はげることもないと…彼の観察の正しさは、1913年オスマン帝国の最後の宦官たちの研究で証明…テストステロンの血中濃度が高い女性は…頭髪が薄くなりやすい」248-9頁

2019-01-03 05:45:07
尾上正人 @9w9w9w92

「若いマウスに大量のソニックヘッジホッグを分泌させるウイルスを投与すると、休んでいる毛嚢は毛をつくるようになる。過剰なソニックヘッジホッグが毛嚢の膨らみの中にある幹細胞の増殖を促すのだろう」249頁

2019-01-03 05:48:57
尾上正人 @9w9w9w92

「ヒトの歯、毛嚢、汗腺を形成するのに同じ分子[エクトジスプラシン]が使われるのは、これらの器官が共有する進化の歴史の名残なのだ。進化的隔りの度はそれぞれ違うが、鳥の羽毛、魚や爬虫類のうろこも同様である証拠が確認されている」253頁

2019-01-03 05:57:12
尾上正人 @9w9w9w92

「人口の2%から10%の人が、余分な乳首を少なくとも1つ持っている。ヨーロッパではたいてい本来の乳房の下に、腹部へとまっすぐ降りた線上に並んでいることが多いが、不思議なことに日本の女性の場合、本来の乳房より上の、脇の下が多いようだ」254-5頁

2019-01-03 06:01:28
尾上正人 @9w9w9w92

「ハンチントン病には奇妙な特徴…世代が後になるほど症状がひどくなる…『表現促進現象』…J. B. S. ホールデンは…ほとんどの疾患と違って、ハンチントン病の症状は中年になってから現れるのが普通だからだ、と指摘した…自然選択は中年にまでは及ばないのだ」259-61頁

2019-01-03 06:30:53
尾上正人 @9w9w9w92

「老化とは1つの遺伝子疾患、と言うより遺伝子疾患の集まりであり、それらの疾患の中には私たち全員が苦しむものもあれば、一部の人しか苦しまないものもある」261頁

2019-01-03 06:32:47
尾上正人 @9w9w9w92

「昔から医学界では『正常な老化』…と、『年齢とともに発症する病気』…を区別して考えている。だがこの区別は幻想であり、医学界の作り話だ。…老化とはーー正しく理解すればーー私たちの目に映るとおりのもの、容赦のない、普遍的な病気のようなものだ」261頁

2019-01-03 06:35:34
尾上正人 @9w9w9w92

「有害な変異に対する自然選択の力は年齢とともに弱まるのだ。これを最初に一般化して、肉体が年齢とともに壊れていく様子の多様さを説明したのは、ノーベル生理学医学賞を受賞したイギリス人科学者サー・ピーター・メダワーだ。…弱点が1つある。偶然に頼りすぎていることだ」263-4頁

2019-01-03 06:42:08
尾上正人 @9w9w9w92

「1957年、アメリカの進化生物学者ジョージ・ウィリアムズは1つの決定論的な説を唱えた。老化を引き起こす変異は偶然に広がるのではなく、なんらかの利益をもたらすーー恩恵を受けるのは若者だけに限られるがーーから広がるのだと主張した」264頁

2019-01-03 06:45:11
尾上正人 @9w9w9w92

「今日では、ヨーロッパ人の場合、長寿の遺伝率は20%から50%と推定されている」266頁

2019-01-03 06:52:57
尾上正人 @9w9w9w92

「20世紀前半の科学者たち同様、[電話の発明者]ベルも優生学に熱中した。だが1920年代に流行した『否定的』な優生学ーー知的障害者や反社会的な人々を国家レベルで強制的に不妊にするーーとは違った。…彼の優生学はもっと『肯定的』で…優生学を婚活市場における道具とみなしたのだ」266-7頁

2019-01-03 06:53:09
尾上正人 @9w9w9w92

繁殖と長寿の逆相関的関係…紀元740年まで英国貴族の系図を遡れる『バーク貴族名鑑』によれば、90歳まで生きた「長寿の妻が生んだ子どもは平均1.8人だが、これはあくまで平均値で実際は長寿の妻のほぼ半数が1人も子どもを産んでいない」270頁 「少子化」と「高齢化」が因果関係でつながってる可能性

2019-01-03 07:05:31
尾上正人 @9w9w9w92

「カロリー制限したショウジョウバエ…生殖に関係する遺伝子のスイッチがほとんどオフになっているうえに、感染症への抵抗(ハエの免疫組織)に関係する遺伝子のスイッチがオンになっていて、免疫タンパク質が平常よりも大量に産生…カロリー制限した動物が長寿である原因が少なくとも2つ」274頁

2019-01-03 07:46:55