- eguchi2018
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「フリーラジカルは明らかに有害だが、だからといって、老化の一部や全部の原因になっているのだろうか? どうもそうらしい…動物細胞にはフリーラジカルに対する一連の対抗手段がもうけられており、なかでも『SOD』という酵素のグループは、フリーラジカルの駆除を担当する」276頁
2019-01-03 07:51:17上記のフリーラジカルを駆除する酵素SOD(スーパーオキシド・ジスムターゼ)の長寿型をコードする変異遺伝子SOD1はALSやダウン症も同時に引き起こして寿命を縮めるので、どうやら長寿の特効薬にはなりそうにないという話。277-80頁
2019-01-03 08:01:38「1994年に目を見張るようなことが起きた。スウェーデンの8歳の少女の死亡者数が、ゼロだったのだ。1人もインフルエンザで死なず、1人もバスに轢かれて死ななかったのだ」290頁
2019-01-03 08:17:55「[電話の発明者アレグザンダー・グラハム]ベルはもともと父親と共に聾唖教育に携わっており、妻メーベルは耳が不自由だった。アン・サリヴァンをヘレン・ケラー家に紹介したのもベル」292頁 今日では十把一絡げに非難される傾向の優生主義者も、人数がとてつもなく多かった分だけ頗る多様だったと
2019-01-03 08:29:43「遺伝子多型の約85%は…どんな国やどんな集団でも見られ、約8%が…国ごとに見られ、残りのたった7%だけが大陸ーー『人種』を大雑把に解釈したものーーごとに見られた。…7%というとほんのわずかに思えるが…多型の存在をほのめかすには十分な量…『先祖の遺伝子マーカー』…つまり『AIMs』」295-6頁
2019-01-03 10:10:19「すでに多くのAIMsが発見された。…AIMsのどこかに、漢民族の子どもの目尻を釣り上げ、ソロモン諸島の人々の肌を紫がかった黒にする遺伝子があるのだろう。なかには私たちの頭蓋骨の形に影響を与える遺伝子もあるだろう」297頁
2019-01-03 10:12:39「ボアズは間違っていた。近年、彼の[米国生まれの子どもの頭蓋骨]データが、現代の統計的手法で再分析された。…アメリカ生まれがもたらした頭骨の変化は…比較的些細だとわかった。先祖や家族による相違の名残、つまり早い話が、遺伝子による相違とくらべたらたいしたことはなかったのだ」301-2頁
2019-01-03 10:17:13「人間の多様性の原因が解明されずにいる限りーー世界のさまざまな地域の人たちを区別する7%の遺伝子の多型が解明されずにいる限り、そのあいまいな部分を悪用して社会不正を促すような理論を展開する人は、跡を絶たないだろう。…社会不正は私たちの無知という知識の裂け目につけ込むのだ」303-4頁
2019-01-03 10:22:29『饗宴』の巫女ディオティーマ(ソクラテスに答えて)「愛の目的は子をもうけ、美を生み出すことだ」306頁 こんなこと書いてたっけな? 読み返すべし
2019-01-03 10:29:16「美を研究する科学者たちの間では…ダーウィンの『十人十色』説はやや風変わりだとみなされている。今日ではこの問題に関する研究のほとんどが、美の基準は普遍であり、美はどこにでも見られ、意味がないどころか語るべきことは山ほどある、という認識から出発している」308頁
2019-01-03 10:35:30「私たちの顔は変異に非常に影響されやすいようだ。さもなければ、私たちは変異の影響を顔から読み取るのがしてもうまいのだろう。いずれにしろ、変異の結果は、障害のある人たちに限らず、私たちすべての顔に表れるようだ」311頁
2019-01-03 10:42:14「美しいということは、遺伝的な変異が比較的少ないことを意味するのではないだろうか?…美しい顔、あるいは完璧な曲線を描いている手足は、目に映るものではなく、むしろ映らないものについてのイメージなのだ。…変異からうまく逃れたように見える人に出会うと…感嘆せずにはいられないのだ」312頁
2019-01-03 10:48:34読了。原題 Mutants は「変異」ではなく「変異者」つまり奇形者のことだが、語り口が軽妙なためか重苦しくはなく正月の読み物としても楽しめた。今日、レイシズムや優生主義に真に対抗できるのは社会構築主義などのポンコツ思潮ではなく、遺伝学の知識だという著者の主張は本当にその通りだと思うね!
2019-01-03 10:57:43