#hijituzai #非実在 #hijitsuzai @mametanuki22 氏、都条例を法律論的に再構成してみる。

 表題の通り。
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まめたぬき @mametanuki22

ちょっと暇だから、都条例問題を法律論的に再構成してみる。

2011-05-03 09:44:28
まめたぬき @mametanuki22

(1)まず、この手の青少年保護条例に関する有害図書指定とそれに伴う規制の判例のリーディングケースとして岐阜県青少年保護条例事件(最判平成元年9月19日)がある。リンクhttp://www.cc.kyoto-su.ac.jp/~suga/hanrei/34-3.html

2011-05-03 09:46:16
まめたぬき @mametanuki22

(2)岐阜県条例事件を分かりやすく説明してるのがここhttp://www.jicl.jp/now/date/map/21_01.html 

2011-05-03 09:49:15
まめたぬき @mametanuki22

(3)で、判決は青少年保護条例の有害図書指定と販売規制は合憲と認めたんだけど、その判断の方法として、青少年の知る権利と青少年の性に対する悪影響の比較考量をやってるんですよね。ちなみに知る権利は法21条表現の自由保障される。

2011-05-03 09:52:17
まめたぬき @mametanuki22

(4)で、この判決なんだけど、悪影響について、「有害図書が一般に思慮分別の未熟な青少年の性に関する価値観に悪い影響を及ぼし、性的な逸脱行為や残虐な行為を容認する風潮の助長につながるものであって、青少年の健全な育成に有害であることは、既に社会共通認識になっている」としてる。

2011-05-03 09:55:22
まめたぬき @mametanuki22

(5)判決文だけを見てると、いきなりこれが出てきて…って感じなんだけど、伊藤正己裁判官補足意見を読むと、分かりやすいように思う。以下伊藤補足意見の引用。

2011-05-03 09:58:36
まめたぬき @mametanuki22

(6)(引用)「青少年保護のための有害図書の規制について、それを支持するための立法事実として、それが青少年非行を誘発するおそれがあるとか青少年の精神的成熟を害するおそれのあることがあげられるが、そのような事実について科学的証明がされていないといわれることが多い。(続く)」

2011-05-03 09:59:25
まめたぬき @mametanuki22

(7)(引用)「たしかに青少年が有害図書に接することから、非行を生ずる明白かつ現在の危険があるといえないことはもとより、科学的にその関係が論証されているとはいえないかもしれない。(続く)」

2011-05-03 10:00:18
まめたぬき @mametanuki22

(8)(引用)「しかし、青少年保護のための有害図書の規制が合憲であるためには、青少年非行などの害悪を生ずる相当の蓋然性のあることをもって足りると解してよいと思われる。(続く)」

2011-05-03 10:01:12
まめたぬき @mametanuki22

(9)(引用)「もっとも、青少年の保護という立法目的が一般に是認され、規制の必要制が重視されているために、その規制の手段方法についても、容易に肯認される可能性があるが、(続く)」

2011-05-03 10:02:27
まめたぬき @mametanuki22

(10)(引用)「……もとより表現の自由の制限を伴うものである以上、安易に相当の蓋然性があると考えるべきでなく、必要限度をこえることは許されない。(続く)」

2011-05-03 10:02:51
まめたぬき @mametanuki22

(11)(引用)「しかし、有害図書が青少年の非行を誘発したり、その他の害悪を生ずることの厳密な科学的証明を欠くからといって、その制約が直ちに知る自由への制限として違憲なものとなるとすることは相当でない。(引用終わり)」

2011-05-03 10:08:40
まめたぬき @mametanuki22

(12)簡単に言っちゃえば、最高裁判例ですら、実のところ有害図書とその青少年に対する悪影響についての因果性は「相当程度然性」でいい、って言ってるんだよね。しかも科学的証明欠くから違憲とは言わないわけだ。

2011-05-03 10:12:42
まめたぬき @mametanuki22

(13)じゃあ、相当程度蓋然性の程度かというと、これは具体的には判決文には書いてないんだけど、「科学的証明を欠」いても違憲にならない、ということは、統計的なデータ要求してないのは明らかだと思う。

2011-05-03 10:15:05
まめたぬき @mametanuki22

(14)大体、この手の性表現・暴力表現と犯罪の因果性って、まだ因果性の有無が議論されてる状態で、諸説いろいろあって固まってないのは渡邊先生辺りのツイートを見るとわかる。 http://togetter.com/li/76112

2011-05-03 10:22:04
まめたぬき @mametanuki22

(15)じゃあ、この判例でいう「相当程度蓋然性」とは何か、というと、結局のところ「性犯罪などにおいて、表現理由付け使うようなケースがあったか否か」なんだと思う。そしておそらく1件でもそういう理由付けしたケースがあれば「相当程度蓋然性」ありとみなしてるのではないかと思う。

2011-05-03 10:25:53
まめたぬき @mametanuki22

(16)最高裁がそういう判断をしているとなると、実は統計的に「性表現規制すると性犯罪増える」とかという反論無意味で、それを理由とする犯罪があった時点反論のしようがないんだよね…

2011-05-03 10:30:46
まめたぬき @mametanuki22

(17)岐阜県条例事件の話に戻ると、最高裁は青少年の知る権利と青少年への悪影響利益衡量して、このときは有害図書自販機販売是非だったんだけど、そこでの販売は必要性がありかつ合理的であるとしている。

2011-05-03 10:36:14
まめたぬき @mametanuki22

(18)さらに、「に対する関係においても、有害図書の流通を幾分制約することにはなるものの、青少年の健全な育成を阻害する有害環境浄化するための規制に伴うやむをえない制約」であるとして、憲法21条1項反しない、って言ってるんだよね。

2011-05-03 10:38:50
まめたぬき @mametanuki22

(19)有害図書指定に関しては、実のところこの判例があるから、まあ違憲判断を取りに行くのは難しいだろうな…ってのが私の推察。有害図書指定検閲同視する人が多いけど、販売制約がかかるとはいえ完全に販売できないわけじゃないから、検閲の要件該当しないんだよね。

2011-05-03 10:46:45
まめたぬき @mametanuki22

(20)そうなると仮に都条例規制で何らかの裁判になったときの戦い方って、1.規制目的そのものを否定する2.規制目的を是認した上で規制に対する手段で争う、という二つのパターンになると思うけど、勝ち目あるのは後者なんだよな…

2011-05-03 10:51:48
まめたぬき @mametanuki22

(21)1.規制目的の否定というのは、まあ要するに性表現が青少年に悪影響を与えないという、オタク筋では主流の戦い方だけど、表現規制に関わらず過去の最高裁の裁判事例を見ても、この部分で否定するような判断って出たことがない。それを考えるとまあ無理だと思う

2011-05-03 10:53:54
まめたぬき @mametanuki22

(22)そうなると、.規制手段問題になるけど、まあマンガ家なら規制範囲あいまい広範だとか、販売店なら店頭販売ですら制約受けるのは問題だ、ってことになるんだと思うが…果たしてそこまで裁判する気がどっちにもあるか微妙なところ。

2011-05-03 10:56:44
まめたぬき @mametanuki22

(23)そして、実は表現の受け手であるオタに関しては、訴訟をやる手段ないんだよね。というのは、彼らが直接に行政から処分を受けているとかそういうわけではないし、一方で単純所持を規制されているわけでもないから。

2011-05-03 10:58:55
まめたぬき @mametanuki22

(24)表現規制反対派オタの一部が訴訟どうたら言ってたケースあるけど(実際訴訟やったケースもあるようだけど)、まあ、門前払いだよね。具体的争訟を欠いてるから。

2011-05-03 11:01:12