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荻:このバナナ本から新しい「……支え合うのか」の本の話にゆるやかに移っていきたいと思うのですが、鹿野さんをはじめとして、自立生活を営んでいらっしゃる障害者の方がたくさんいますよね。あるいは、ある時期から自立生活をどんどんやっていこうよと声を上げていく運動も、
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実は静かにありましたよね。静かにというのは、別に大らかに街中で「自立生活をします」と言うのではなくて、それぞれの物件を借りて、ボランティアを募って生きていくということ自体が画期的であったのと同時に、それが実は社会へのメッセージになるし、そこでちゃんとわがままを言わないと、
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ボランティアや介助者たちが成長する機会をむしろ奪ってしまうことになるので、ちゃんと生きていこう、そしてちゃんと望みを言っていこうということがずっと続いてきましたよね。
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渡:だから結局鹿野さんのわがままが、今振り返ると私たちにとって素晴らしい贈与というかギフトだったわけですけど、それに気づいたのはかなり後になってからなのですけれども、自立生活で彼らの大切なメッセージというのは、「自立」という考え方を広げてくれたというか、
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荻:稼いでご飯作ってみたいな。 渡:まあそれは経済的にもそうですけど、ひとまずADL、日常生活動作といって、自分でご飯を食べられるかどうか、排泄は自分でできるか、それは介護保険の要介護認定の事情でもあるんですね。
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ただ、他人の助けを借りずに自分で何でもできるのが自立というわけじゃなく、鹿野さんのような自分では何もできない人たちにとっての自立は、まず「自分がどう生きたいか」というのを自分で決めること、そしてそのために自分のできないことは堂々と他人とか社会に助けを求めてもいいんだと。
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それも自立の一つのあり方なんだっていうことを、常に社会に対して訴えかけていったというところが、僕は実はすごく大切だと思う。特に今の時代ね、日本の社会というのは「人に迷惑をかけてはいけない」「人に迷惑をかけるな」と言う。
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渡:鹿野さんとか重度の障害がありながら自立生活をしている人たちっていうのは、それでは自立できないし生きていけないわけで、だから彼らのいう「自立」に込めた主張というのは「他人に助けを求めてもいいんだ」っていう、それも自立の一つのあり方なんだと。
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やっぱりそれは「人に迷惑をかけない」「他人の手を借りずに何でも自分でできること」が自立だとしたら、人って切り離されたままですよね。 荻:はい。 南:確かに。 渡:一人一人が自分のことを自分でやっているだけですよね。 荻:それは孤立じゃないか、って。
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渡:孤立に至る自立観だと僕は思うんですけど、でも彼らが打ち出した自立観というのは、自分がどう生きたいかというのは自分で決めるけれども、自分のできないことは人にどんどん助けを求めていいっていう自立観。で、もちろん人に助けを求められたら、自分のできる範囲で助けてあげる。
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そういうことを子どもに教えた方がね、よほど子供がのびのびと育つような気もするんですけど。それは人と人とをつなぎ合わせるような自立観だと思うんですよね。
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だから現に鹿野さんの筋ジスという障害を核にして、ボランティアとかいろいろな職業の人たちが、やっぱり障害とか病気は人を結びつける力があるんだなあって思って。鹿野さんは亡くなってしまうんですが、その後も鹿野さんの身体を介助していた者同士っていうのはなぜか不思議な、
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肉親ではないですけど、同じ一人の人を介助していたっていうことによるつながりなのかなと僕は思うんですけど、未だに月1回ぐらいのペースで集まっていますし、本当に何でも言えるような。 南:共通体験があるわけですもんね。
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渡:そうですね。「あの時鹿野さんにこんな無理を言われて」とかそういう話で未だに盛り上がるような、そんな感じの関係というのが、その後の私の人間関係を本当に豊かにしてくれたというか。
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荻:そしてそれは渡辺さん個人だけではなくて、もちろん渡辺さんが本にしたということもありますけれども、実は社会に対してつながりとか、あるいは自立とか豊かさというのは、今までの想定とは違ったんじゃないのかという提起がそこになされているということになるのですよね。
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(CM後) 荻:今では障害学という学問もあり、また依存症などの様々な問題を語っていく中で、「自立」の反対が「依存」だと今まではされていたのだけれども、「自立」というのは「いい依存をするもの」だと。つまり、依存を特定の人にしてしまうのではなくて、
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上手に分散していくことによって自分を保っていくのだ、そういったコントロールができる意思というのが自立には欠かせないという話があって、鹿野さんは当時、そうしたことをまさに先駆的に実践していらっしゃったと。
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渡:そうです。さっきの話とつなげると、何か起こったときに鹿野さんは依存できる人たちをたくさん持っていたんですよね。逆に健常者の方は何か苦しいことや悩みがあったときに、なかなか人に打ち明けられないとか。 荻:自分の心と体に依存し過ぎです、皆さん。
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渡:人に頼れないがために孤立してしまっている。そういう人たちこそ、鹿野さんの一見わがままに見える「自分のできないことは人にやってもらえばいいんだ」っていう自立観というのが、とても依存しているようで、実は非常に自立しているという逆説的な考え方だと思うんですよね。
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荻:そうですね。だからそれこそ母子介助みたいなものが当たり前とされた状況の中で、それだけたくさんのボランティアの方に分散していくことによって、むしろ親から自立することに成功しているわけじゃないですか。そういったものが一見わがままだとされてしまうことというのは、
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