2019-03-10のまとめ
以上より、長期的な観点から見て、やはり労働分配率の安定が重要と考えられる。そうしたなか、労働分配率が安定的に推移し、賃金上昇率、生産性上昇率がともに高めを維持しているがスウェーデンである。
2019-03-10 22:28:28つまり、同国では、労働分配率を一定レベルに維持することで低生産性部門の存続を防ぎ、生産性向上を実現し、それが持続的な賃金上昇につながるという、望ましい構図がみられるのである
2019-03-10 22:28:28OECD加盟諸国の平均実質賃金(2007-17年・年率伸び率) pic.twitter.com/rXk2SSCg7S
2019-03-10 22:28:29過去10年(2007→17年)の実質賃金上昇率をOECD諸国で比較すると、東欧諸国やチリといった比較的所得水準の低い国を除けば、ノルウェー(+1.3%)に次いで高く、ドイツと同率(+1.2%)になっている
2019-03-10 22:28:29労働分配率(雇用分配率)をみると、2000年以降横ばいからやや上昇傾向をたどっており、それは賃金上昇率が労働生産性上昇率とほぼ連動して推移している
2019-03-10 22:28:30(・д・)ホォー 「パターンセッター(トレンドセッター)」として最初に労使交渉を行う労働組合は、具体的には「輸出産業組合連合(Facken inom industrin;The Swedish Unions within Industry)」と呼ばれているものである。
2019-03-10 22:28:30それは、林業・グラフィック産業組合、食品産業組合、金属産業組合、エンジニア組合、ホワイトカラー組合の5つの労働組合の連合組織であり、最初の3つがブルーカラーの組合、残りの2つはホワイトカラーの組合である8。この組合組織のパンフレットは、
2019-03-10 22:28:30その設立目的を「参加組合の共通利益を増進するのみならず、すべての組合員が労働市場において強い立場を獲得し、ダイナミックで競争力のある鉱工業において発展していくこと」としており9、「スウェーデンは小国で国際経済への依存度が高い。
2019-03-10 22:28:30その福祉水準はスウェーデンの工業製品が国際競争市場で価値あるものとなるか大きく左右される。(中略)国際競争にさらされているセクターにとって、鉱工業はコアであり、当該産業における労使(ソーシャルパートナー)は、新たな合意を得る最初の存在であるべきだ10」とする。
2019-03-10 22:28:31そこに強い社会的責任意識が窺われる点が印象的だが、その背景には、組合組織率が7割を誇り、最低賃金制度もなく、労使交渉によって賃金が決まり、その労働協約が85%の労働者の労働条件を決めることになる11という、スウェーデンにおける労働組合の影響力の大きさがある。
2019-03-10 22:28:31「パターンセッター」としての輸出産業での賃金決定の仕組みであるが、その直接傘下にある労働者数は、スウェーデンの全雇用者の15%に過ぎない。
2019-03-10 22:28:32ここで注目されるのは、パターンセッターの賃上げ率の「ベンチマーク」に、各産業の協約賃金上昇率、ひいては実績の平均賃上げ率が収束する傾向がみられる
2019-03-10 22:28:32ほぼすべての雇用者がベンチマークに追随する形になっている(図表4)。こうしたベンチマークの社会全体への波及を促進するにあたり、重要な役割を担っているのが「中央調停局(Swedish National Mediation Office)」である。
2019-03-10 22:28:33スウェーデンの労働組合は、伝統的に事業構造転換の必要性に理解を示し、そのための労働移動を前向きにとらえてきた。「事業は守らず個人を守る」との発想で、積極的労働市場政策や非営利再就職支援組織など、企業・政府と密に連携しながら、
2019-03-10 22:33:18企業間移動・職種転換を伴う労働移動に取り組んできた19。この結果、25~54歳の働き盛り世代の勤続年数10年以上の雇用者割合が、近年明確な低下傾向にあり、転職が活発化している
2019-03-10 22:33:19フランスの労働組合も賃金交渉において厳しく、労働分配率(雇用分配率)も近年緩やかな上昇傾向を辿っている。しかし、解雇規制が厳しく、組合も既存雇用の維持に強くこだわる結果、労働力の流動性が低く、産業構造転換がスムーズに進んでいない。
2019-03-10 22:33:19スウェーデン経済が好調を続けるなかで、リクスバンクが金融緩和姿勢を強めていた時期に公表された同行「金融政策レポート(2014年6月)」において、「金融政策はインフレ期待を2%近辺で安定化させて賃金交渉を進めるという点で、賃金交渉において中心的な役割を果たす。
2019-03-10 22:33:21(中略)最近のリクスバンクの拡張的な金融政策の背景にある一つの理由は、長期のインフレ期待を2%に安定化させることにある」と述べている21。つまり、このときのリクスバンクの決定の背景には、実際のインフレ率が大幅に低下するなか、景気が好調で金融緩和の副作用が懸念されるといって
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