ア㊙️イさんのお尻と学ぶ海賊の世界(全14回)

ア㊙️イさんのお尻 @bot99795157

テロ組織が有する「資源」に関しては、1) 組織の規模(人員数)、2) 領土を統治しているか否か、3) 他のテロ組織とどれぐらいコネクションを結んでいるか、で測定されたのだ。1)と2)は組織そのものの強さを、3)は海で必要になるノウハウの伝達のされ具合を測定しているのだ。 (10/16)

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注釈を入れておくと、この研究は最初に示したように、無差別攻撃から人質事件までを総称して「海上でのテロ」としているのだ。これまで紹介してきたような、政治的意図を持たない(主に金銭が目的)「海賊」のイメージとはちょっとズレがあることに注意なのだ。 (11/16)

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また、海上に進出するテロ組織はかなり「レア」なことにも注意が必要なのだ。この期間に海でテロを起こしたグループは366のうちのたったの15なのだ(組織名はリスト参照)。 (12/16) pic.twitter.com/7j29PWK7xF

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統計分析の結果、 ・組織の規模(人員)が大きい ・一定の領土を統治している ・他のテロ組織とのコネクションの数が多い という特徴を持つテロ組織は、海上でテロ行為を働く可能性が高かったことがわかったのだ。でももう２つ、有意にその確率を上昇させる要因があることがわかったのだ。 (13/16)

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その１つが「麻薬取引」なのだ。これは、麻薬を資金源とするテロ組織は海上の麻薬密輸ルートを維持する必要があるからなのかもしれないのだ。例えばコロンビアの左翼ゲリラ(FARC)はアメリカに麻薬を密輸するために潜水艇を使っていたりするほどの気合いの入れ用なのだ。 (14/16) pic.twitter.com/spKS5ztB7N

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もう一つが「イスラム主義イデオロギー」なのだ。筆者によればこれはイデオロギーそのものが問題なのではなく、アルカイダを中心としたイスラム主義テロ組織のネットワーク内で知識や技術、情報が共有されていることがその背景にあるのでは、ということなのだ。 (15/16) pic.twitter.com/03HRqBOuCK

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今回の話は doi.org/10.1080/095465… からなのだ 「普通の」海賊達がテロ組織と連携を取るのか(取っているのか)はこの分析からわからないし、かなりざっくりとした分析で記述よりの研究だけど、誰も目をつけなかったトピックに先鞭をつけるという意味で良い研究だと思うのだ！ (16/16)

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人質をとって身代金を得たり、石油タンカーから石油をパクったりする海賊行為はテロ組織や反政府武装勢力の資金源になるかもしれないのだ。アフリカと東南アジア諸国を分析した研究によると、海賊行為が増えると内戦が激化するということが明らかになっているのだ。 (1/12) pic.twitter.com/usfINxzATg

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テロ組織や武装勢力が海賊行為に手を染めることがあるというのは前回紹介した通りなのだ。 それに、あくまで報道レベルの話がほとんどだけど、武装勢力と海賊の間で「協定」が結ばれることもあるみたいなのだ(例えばソマリアのアル・シャバブ) twitter.com/bot99795157/st… (2/12)

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海賊行為の犯人はいわゆる「海賊」に限られたものでは無く、例えば陸に拠点を置くテロリストが海賊ビジネスに手を出すことがあるのだ。じゃあ一体どんなテロ組織が海賊化(海上進出)するのか？その問いに300以上のテログループを分析することで切り込んだ研究があるのだ。 (1/16) pic.twitter.com/7MctQzzU70

2019-08-27 12:22:15

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で、以前紹介したように、海賊行為から得られる利益は天然資源に似たところがあるんだけど、天然資源は経済成長の停滞以外の問題、すなわち内戦にも影響を与えることはよく知られているのだ。 twitter.com/bot99795157/st… (3/12)

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乗組員を人質にして海賊が得た身代金はどこへいくのか？身代金という外貨の流入は地域経済にどんな影響を及ぼすのか？海賊のメッカであるソマリアを事例とした分析によれば、多額の身代金の流入は海賊に依存した経済を形成してしまう可能性が示唆されているのだ。 (1/23) pic.twitter.com/8kC1U0RzNa

2019-08-26 12:08:49

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政府と戦う武装勢力はとにかくカネが必要なのだ。そのカネはどこからやってくるか？例えば彼らは紛争地で採掘された鉱物(いわゆる「紛争ダイヤモンド」が有名)や石油の違法採掘から得られた利益を使い、内戦を戦う武装組織はその勢力を増していくのだ。 (4/12) pic.twitter.com/aP6O1Awtdx

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つまり、天然資源を活用することで武装勢力はより強くなり、それだけ政府との間での戦闘が激しくなることが予想されるのだ。 それに、武装勢力にとって海賊行為はとっても「おトク」な金稼ぎの手段でもあると考えられるのだ。 (5/12)

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天然資源を採掘するには労働力が必要で、その多くは武装勢力が支配している地域の住民をこき使うことで賄われるのだ。でもそんな酷いことをしていたら長期的には武装勢力が拠点を置く地域の住民からの支持を失うことになるのだ。 (6/12) pic.twitter.com/1rvlasW036

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その点、海賊行為で損をするのはだいたいが外国人で、武装勢力の「地元」の人たちとは無関係なのだ。だからいくら激しく海で暴れ回ろうとも地元民の支持を失うことはないのだ。 ということで実証なのだ！ (7/12)

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この研究では、沿岸部をもつアフリカ(38か国)と東南アジア(7か国)の国々の海域で1993-2010年の間に発生した海賊行為と戦闘行為(1人以上が死亡した政府vs武装勢力の戦闘)の月ごとの発生件数データを用いて統計分析を行ったのだ。 (8/12) pic.twitter.com/mAMy55swVF

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ただ、データの制約上仕方のないことなんだけど、この海賊行為は犯人が武装勢力かどうかはわからないのだ。そこがこの分析の最大の弱点といえば弱点だと思うのだ。 (9/12)

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統計分析の結果、海賊行為が発生した翌月には政府と武装勢力の間での戦闘がより多く発生していることがわかったのだ。これは、1) 海賊のターゲットを限定、2) 沿岸部から内陸50km以内で発生した戦闘に限定しても結果は一貫していたのだ。 (10/12)

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分析でちょっと気になるのは、内戦が激化することで海賊が増加するという逆の因果の可能性への対処が甘いところなのだ。とはいえ、海賊と内戦のつながりを実証的に示した良い研究だと思うのだ！ (11/12)

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今回の話は doi.org/10.1177%2F0022… からなのだ。 この論文が扱ったように、内戦はその激しさ自体が問題なんだけど、もう一つ重要な側面はその「長さ」だと思うのだ。 ということで次回は海賊と内戦の長期化についての研究を紹介するのだ〜。 (12/12)

ア㊙️イさんのお尻 @bot99795157

海賊と内戦はどんな関係にあるのか？果たして海賊は内戦を助長するのか？反政府武装勢力の「強さ」に着目した研究から見えてくるのは、海賊ビジネスで儲けたいが為に武力紛争を継続する「強欲な」武装勢力の存在なのだ。 (1/19) pic.twitter.com/s9ixyoWJQ4

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前回紹介したように、天然資源を有する武装勢力は資源から得た資金を元手に武器や燃料を買ってその勢力を増すと考えられるんだけど、天然資源が内戦の継続期間(つまり内戦がいつ終わるか)に与える影響は、理論的にはどちらの方向も考えられるのだ。 twitter.com/bot99795157/st… (2/19)

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勢力を増した武装勢力は、その武力を背景にして、政府に対して有利な立場で和平交渉に着くことができると考えられるのだ。もし交渉で自分たちが求めるもの(政治的権利や独立)が得られる可能性が高いと武装勢力が見込むなら、彼らは内戦を早期に終結させたいと望むはずなのだ。 (3/19) pic.twitter.com/JBxDk0cqQo

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その一方で、天然資源からめちゃくちゃ利益が得られるなら、内戦を終わらせるのではなく、むしろ長期化させることで資源の権益を維持するインセンティブもあるはずなのだ。事実、そうした「強欲な」武装組織はよく見られるのだ。 (4/19) pic.twitter.com/9n2NrOgxwu

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