ぱすイカ二次創作④

今回なんか誤字多くない? 書いたもの:https://togetter.com/id/pascal_syan
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ぱすかる❄ @pascal_syan

「地獄へ落ちな!」 サキの予想通り、ボールド7は金網を降りて強襲をしかけようとする。手には巨大な、ハンマーのようなブキ。ボールド7のスペシャルウェポン、ウルトラハンコだ!

2019-09-07 10:56:41
ぱすかる❄ @pascal_syan

ウルトラハンコ。巨大な「ハンコ」を高速で打ち付けながら前進する、何とも豪快なスペシャルだ。あれを正面から迎え撃つのは無謀そのもの。背後ががら空きなので、そこを突くのがセオリー。だが、そんな余裕はない!サキはあえて飛び込んだ。

2019-09-07 11:02:51
ぱすかる❄ @pascal_syan

銀モデだって、接近して銃口を突きつければ、相手を倒すことができる。 ハンコが振り下ろされたと同時、サキとお相手は相討ちになった。 「うおおおおおおおおあああああ!!!!」 「覚えてろよおおおおおおお!!!!!」 ダブル大声で非常に……うるさい。

2019-09-07 11:02:52
ぱすかる❄ @pascal_syan

「ねーちゃ、あ゛っ……!」 赤ザップもご退場。中央エリアに残ったのはシグルイただひとり。 「なかなかの度胸だな」 一瞬で散っていった三人へ、一言でまとめて称賛を。正直、三人ともものすごく無謀だったが、それはあえて言わない。シグルイも先ほどの場面で「あえて」無謀を晒したのだから。

2019-09-07 11:06:56
ぱすかる❄ @pascal_syan

隙を晒すことで、サキがどのような行動を取るかを観察しようとしていたのだ。もしサキが仕損じても、対策は立ててあったが。今のは的確な判断だ。行動への迷いもなし。普段からデスし慣れているせいだろうか。

2019-09-07 11:13:51
ぱすかる❄ @pascal_syan

一方、敵陣では。 「ねーちゃん、悪ぃ、迷惑かけた」 「ドアホ!突っ込むなっつったべ!?相手はあのシグルイだろうが!」 「いててててっ!で、でも、もう中央にいると思わなくて!それにねーちゃんだって突っ込んできたじゃんか!」 「グダグダ言ってないではよぅミサイル貯めてこいや!」

2019-09-07 11:16:55
ぱすかる❄ @pascal_syan

バシン!と尻を叩く音。気圧されるようにして、赤ザップこと弟がリスポーン地点から飛び出していく。続くようにして、ボールド7こと姉が飛び降りる。きょうだいでナワバリバトルをするのは、珍しい話ではない。

2019-09-07 11:18:26
ぱすかる❄ @pascal_syan

「イカ使いの荒いねーちゃんだよ……!」 「なんか言ったァ!?」 「げ、ついてきてたのかよ……!」 「ケツシバくぞオラァ!?」 「あーもう、ちくしょう……やりづれえ~……」 仲睦まじい姉弟の間に割り込んだのは……あの怪物だ!

2019-09-07 11:30:19
ぱすかる❄ @pascal_syan

「取り込み中か。出直してやろうか?」 怪物は挑発するように、インクを二人の前方の床に撃ち出す。 そのインクの先へ踏み込むということは、あの怪物へ挑戦状を叩きつけるのと同義だ。 射程も火力も実力も、あちらのほうが上。二人がかりでも、やられてしまう可能性が高いだろう。なので……

2019-09-07 11:38:34
ぱすかる❄ @pascal_syan

「あばよ!おととい来やがれ!」 姉は逃げることを選択した。弟もそれに続く。 「で、でもねーちゃん、これからどうすんのさ?」 「カモン!」 姉は他二人の味方に向けて、シグナルを放つ。増援を呼んで、みんなで対処しようというわけだ。

2019-09-07 11:40:34
ぱすかる❄ @pascal_syan

ひとり、こちらへスーパージャンプで駆けつけてくれた。持ちブキはカーボンローラー。ベレー帽を被った小柄な少年だ。 「あと一人は?」 「さっきスプスピにやられたよ、もうすぐリスポーンする」 「オッケー。左からバケモンが来るよ、手伝いな!」

2019-09-07 11:56:09
ぱすかる❄ @pascal_syan

カーボンローラー。ローラー種の中で、最も軽量なブキ。振りと塗り転がしの速度と引き換えに、火力と攻撃範囲は控えめだ。相手の油断を突くのが得意。 「オッケー」 彼はイカ形態になり、インクの中に隠れた。待ち伏せだ。

2019-09-07 11:57:18
ぱすかる❄ @pascal_syan

「あたいが引っ張ってくる。あんたは後ろから援護し……」 「その必要はないぞ」 「!?」 右方向から、弾丸のご挨拶だ。 「俺はここにいる」 「野郎……いつの間に!?」 「ねーちゃん、あぶねえ!」 弟がなにかを投げ込む。赤ザップのサブウェポン、ロボットボムだ。

2019-09-07 15:27:12
ぱすかる❄ @pascal_syan

敵を感知すると、自動で追尾して爆発する。起爆までが遅いので容易に避けられるが、そのために一旦攻撃の手を休めなければならない。ロボットボムの真の価値はそこにある。 それを。 怪物は。 顔面の前で掴んでみせた。 「は!?」 シグルイにとってこの反応は、親の顔よりよく見た光景だ。

2019-09-07 15:31:02
ぱすかる❄ @pascal_syan

ジタバタとロボットの足が動く。起爆する前に、遠くへ放り投げる。 「……ビビるんじゃねえ!行くぞ!」 驚愕と恐怖を叫びで誤魔化して、姉は突撃しようとする。 「う、うわああああっ……!」 弟もそれに続く。

2019-09-07 15:38:01
ぱすかる❄ @pascal_syan

「姉弟は似るものだな」 シグルイは片手でタンサンボムを振り、姉弟のほうではなく、彼の真上へと、天高く放り投げた。 「どちらが先にやられるか、賭けでもしてみようか」 その様は、まるでコイントス。 「……弟だ」 前方へスライドして、やや右へ照準を向ける。

2019-09-07 15:42:23
ぱすかる❄ @pascal_syan

「ぐあああっ!?」 なんで。どうして。イカ形態で走行しているときは、姿なんて見えないはずだ。 だが、玄人までなると、泳いでいるときの飛沫で、位置を悟ることだってできる。そのことを知らない弟は、まだまだ「素人」。所詮、シグルイの敵ですらないのだ。

2019-09-07 15:44:21
ぱすかる❄ @pascal_syan

「野郎ーーーッ!!」 姉はシグルイのインクを塗り返しながら突撃する。だが、闇雲に真っ直ぐ攻めてくるわけではなかった。左右に稲妻を描くように、少し撃っては潜り、少し撃っては潜りを繰り返す。 人呼んで、「雷神ステップ」。ボールド使いなら知っていて当たり前のテクニックだ。

2019-09-07 15:49:36
ぱすかる❄ @pascal_syan

左右に激しく動くため、相手は照準をつけにくくなる。塗り能力がダントツなボールドだからこそできる芸当だ。 だが。そんな小細工を使ったところで、あの怪物を倒せるわけがないのだ。 雷神ステップの軌道を読むなど、造作もないこと。後方にスライドして、遠くから一方的に姉を仕留める。

2019-09-07 15:53:36
ぱすかる❄ @pascal_syan

「ちっ……くしょう……!」 だが、切り札がある。もう一人の味方が。音も飛沫も立てず、怪物の背後に忍び寄り、姿を現わした! 「もらった!」 カーボンローラーを振り上げる。 だが。 こん、と、彼の足元に、何かが落ちて。 「あっ……」

2019-09-07 19:14:13
ぱすかる❄ @pascal_syan

タンサンボム。 そういえば、最初に放り投げてーーー 三度の炸裂が、思考もろとも木っ端微塵にした。 「何か後ろにいたか?」 静寂。答える者は、誰もいない。 「幽霊かもしれんな。さて……」 敵陣のリスポーン地点を見上げるシグルイ。 「お前はどうする?」

2019-09-07 19:17:30
ぱすかる❄ @pascal_syan

「ひ、あ、あっ……」 そこには、四人目。シャープマーカーを抱えた少女。 「いやあああああ!」 シグルイから目を背け、一目散に逃げ出した。 「……臆病者に用はない」 闘志なき者は敵ではない。あえて追わなかった。追わずとも、結果は分かっていた。

2019-09-07 19:19:17
ぱすかる❄ @pascal_syan

少女の行く先には……絶望的なまでに、オレンジの、海、海、海。 そこに待ち受ける、怪物の取り巻きの皆様。待ってましたとばかりに襲いかかる。 「いやーーーーっ……!」 「三人に勝てるわけないでしょ!」 戦闘苦手なサキでも余裕でした。

2019-09-07 19:21:34
ぱすかる❄ @pascal_syan

こうしてそうして、シグルイを筆頭に、無慈悲な殺戮を繰り返した結果は……言う間でもないだろう。 こてんぱんとはこのこと。あまりにあまりすぎて、サキは敵に同情すら抱いた。うちのチームメンバーがすみません……と声をかけたくなった。かけなかったけど。

2019-09-07 19:24:27
ぱすかる❄ @pascal_syan

「……完敗すね」 カーボンローラーの少年が呟く。 「だから言ったじゃない!無理だってぇ!」 逃げ出しシャープマーカーが喚く。 「俺じゃなくてねーちゃんに言えよ!」 「やっっかましいわ!ぎゃーぎゃー言ってないでとっとと反省会するよ!」 三人の首根っこを掴んで、引きずるように退場。

2019-09-07 19:27:00