ぱすイカ二次創作④

今回なんか誤字多くない? 書いたもの:https://togetter.com/id/pascal_syan
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ぱすかる❄ @pascal_syan

「……うわ」 一方サキは、試合のリザルトを見ていた。 0デス、15キル。 誰のリザルトかは、あえて言わないことにしよう。 15。15回も相手を倒したのか、この人。見たことのない数字だ。悪夢だ。 「勝てる気がしないよ、こんなの……」

2019-09-07 19:31:01
ぱすかる❄ @pascal_syan

「だが、生き残ることはできるかもしれないだろう?」 「ウワァッッッ!?聞こえてたんですか!?」 「俺は地獄耳だぞ?気をつけておけ」 「は、は、はい……」 「さて。……腹が減ったな」 気がつけばもう、お昼時だ。

2019-09-07 19:32:50
ぱすかる❄ @pascal_syan

「あ、あの……!今日、クツ買ってもらいましたし、お礼に、お昼ごはん、奢らせてもらっても……いいですか?」 最後まで言い切れた自分を褒めてやりたくなった。 「……言ったな?」 「えっ」 「高くつくぞ?」 もしかして、高級レストランとか?

2019-09-07 19:35:26
ぱすかる❄ @pascal_syan

怯みそうになったが、……いや。バイトで稼いだ金がある。高級レストランに行っても、二人分を余裕でカバーできるほどの額が、サキの財布にはある。いける。大丈夫。だめだったらよろしくね、分割払い。 「……任せてくださいッ」 「では、お言葉に甘えて」

2019-09-07 19:37:50
ぱすかる❄ @pascal_syan

一時間後。 「…………ヒッ…………」 会計の額を見て、彼女の膝が震えた。彼女の人生で、誰かと食事をして、奢ったことは数多い。だが、この数字は見たことがない。見たことがない…… そして、彼女は、もうひとつのことに恐怖していた。 この人、 ……めちゃくちゃよく食べる……!

2019-09-07 19:43:41
ぱすかる❄ @pascal_syan

彼女の背後のテーブルに、山のように重なった、皿。10人以上で回転寿司を食べたあとのような、山。いや、壁だ。皿で壁ができている。ちなみにここ、リーズナブルなお値段がウリの洋食屋さんだ。一皿の価格はそれほどでもないのだが…… 会計をするアルバイトの方も、笑顔が引きつっている。

2019-09-07 19:46:54
ぱすかる❄ @pascal_syan

「……出すか?」 ちら、と、懐から……うわっ、すごく高そうな財布!! 「いいえェッッッッ大丈夫ですッッッッ!!!」 奇跡か偶然か。なんと、サキは……現金だけでこれを払い切ってみせた。 あと一皿多かったら、分割払いのお世話になっていただろう。

2019-09-07 19:49:01
ぱすかる❄ @pascal_syan

この細い(細くないけど)身体に、どうやったらあんな量が収まるのだろう?インクリングは謎多き種族だが、彼らにさえ分からない謎もある。だが、彼が大食いである理由は、何となく察しはつく。 ……だから、育ちがいいのかな。

2019-09-07 20:12:02
ぱすかる❄ @pascal_syan

「ご馳走さまでした……」 「俺の台詞だが……」 今日、このあと、バイトがあってよかった。それに、報酬が即日払いで、……本当によかった。 バイト。あっ、そうだ! 「あの、」 「時間だろう?」 「はい、時間です、バイトの!」 「行くんだな」 「はい!行きます!今日はこの辺で……!」

2019-09-07 20:24:45
ぱすかる❄ @pascal_syan

失礼します、と続けようとして気づいた。 あれ、私、ヨーコ以外にバイトしてること、話したことないじゃん? 「……まさか……」 「研修だけは受けたことがある」 「ど、ど、どこで知ったんですか、それ!?」 「さあな。オクトーにでも聞いてみるといい」 オクトーさん、何者なんだ?

2019-09-07 20:30:51
ぱすかる❄ @pascal_syan

「もう始まっているようだな」 遅刻という概念のない職場だが、歩合制なので、早めに行った方がいい。サキの職場は、緩いようでいて厳しい。 「改めまして、今日はこの辺で……」 「なかなか楽しかったぞ」 「わ、私もです!ありがとうございました!」

2019-09-07 20:33:59
ぱすかる❄ @pascal_syan

「……ふう」 彼らから少し離れたところ。建物の陰から、彼らを見守る瞳。自分の主と、つい昨日仲間に加わった、少女のやりとりの一部始終。何事もなく、つつがなく終わったことに、安堵した。 この後、雑誌のインタビューが待っている。そろそろ現場へ行かなければならない。

2019-09-07 21:51:37
ぱすかる❄ @pascal_syan

となれば、次に主君がとる行動はひとつ。自分に迎えの車を寄越せと電話をしてくるはずだ。 マナーモードに設定した端末が、ぶるぶると震える。建物の陰に身を隠して、静かに歩きながら通話に出る。行く先は、近くの駐車場だ。 「もしもし」 「手は空いているか?」 「はい。いかがされましたか?」

2019-09-07 21:53:40
ぱすかる❄ @pascal_syan

「そろそろ予定の時間だろう?車を出してくれ。スクエアで落ち合おう」 「かしこまりました。15分ほどお待ちください」 「それじゃあ」 通話が切れる。ほどなくして、駐車場に着く。運転席に乗り込むために、ドアノブを握り、違和感に気づく。 誰か。 いる。 窓に映る、黒い人影……

2019-09-07 21:58:13
ぱすかる❄ @pascal_syan

「15分かかるというのは……」 恐る恐る、背後を振り返るオクトー。 「エンジンをかけるのに手間取る、ということかな?」 「な、な、なっ……なぜここに!?どうして!?」 「たまたま近くで見かけたからな。そう、とても、近くで」 「……!!!」 やはりこの人には、何もかもお見通しなのだ。

2019-09-07 22:02:09
ぱすかる❄ @pascal_syan

「……完敗、です」 「ふふ、修行が足りんな。次はもう少し遠くにしろ」 「いつから気づいていたのですか……?」 「さあな?お前はどこからだと思う?」 「まさか最初から……」 「さ、早く行くぞ。こちらは遅刻が許されん」 「は、はい、ただいま……!」

2019-09-07 22:05:04
ぱすかる❄ @pascal_syan

一方、サキは。 「お疲れさまでーす!」 どたばたと職場の更衣室に駆け込む。専用の「制服」に着替えるために、エプロンを脱いで、……ポケットから何かが落ちた。紙?薄っぺらくて小さい。おかしい。普段、エプロンのポケットには何も入れないのに…… 「なにこれ?」 拾い上げる。 ポチ袋?

2019-09-07 22:09:21
ぱすかる❄ @pascal_syan

シンプルな無地の水色。開けると、折り畳まれたお札が数枚。この金額、どこかで見覚えが…… 「ああっ!」 シグルイに奢った分だ! お札の間から、小さなメモ用紙。 「御馳走様」 なんて綺麗な字だろう。名前は書いてないが、誰がこんなことをしたのか見当はついている。 「か、か、神~~っ!!」

2019-09-07 22:14:12
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