哲学院生のアライさんによる性・出生の哲学話

哲学院生のアライさんによる哲学話 - Togetter https://togetter.com/li/1416702 からの抜粋なのだ!
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哲学院生のアライさん(哲ライさん) @tetsugaku_arai

⑫【典型】 とはいえ、これに当てはまらない女性のアスリートや肉体労働従事者がいるのだ。そのため、ここでの「女らしさ」は女性の典型的な在り方であって、女性全員を意味しているわけではないのだ。女性の野球選手も女の子投げする男性もいるのだ。

2020-02-19 10:21:45
哲学院生のアライさん(哲ライさん) @tetsugaku_arai

⑬【社会的構造】 女の子は、運動ではなく女の子らしい遊びをし、体を大きく動かさないように促されるのだ。周囲の大人やテレビなどから、外見や態度で判断される社会・文化を内面化して、女性は全力が出せないでいるのだ。しかもこれは生物学的特徴とは関係ない社会的・歴史的構造によるものなのだ。 pic.twitter.com/rlUKuQMWjo

2020-02-19 10:21:47
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⑭【覇権的な男らしさ】 では、男性の方はどうなのだ?コンネルは男らしさには「覇権的な男らしさ」(ホワイトカラー・異性愛・既婚者)と「従属的な男らしさ」(ブルーカラー・非正規雇用・ゲイ・未婚者)があると述べているのだ。覇権的な男らしさには「自律・自立」という特徴があるのだ。

2020-02-19 10:21:48
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⑮【自己欺瞞1】 しかし、覇権的な男らしさをもつ男が一見自立しているように見えても、実は母・妻・事務職員といった女性たちに依存し、お膳立てされているのだ。にもかかわらず男が自立していると思うことは、自身の依存に対し見てみぬふりをする「自己欺瞞」なのだ。

2020-02-19 10:21:48
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⑯【自己欺瞞2-1】 小手川氏は一対一ではなく、第三者が見ているときには、自分が「男らしい」態度を取ってしまうことを取り上げているのだ。田中俊之やフックスも男性は男らしくあるべき、恐れられるべしといった周りの圧力がそうさせていると考えているのだ。 pic.twitter.com/Mbx00s643j

2020-02-19 10:21:50
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⑰【自己欺瞞2-2】 しかし、小手川氏は、男性をこの圧力の被害者とは捉えないのだ。本来男性が自分で男らしさを求めているのにも関わらず、「周りが男らしくあるよう求めているんだ」と第三者にその価値観を投影して思い込むことで、強いられているよう思い込んでいるのだ。

2020-02-19 10:21:50
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⑱【自己欺瞞2-3】 たとえば、ハゲを理由に嫌われたことがないのに、ハゲは女性にもてないと気にする男たちもこれに当てはまるのだ。ボーヴォワールも同じように男性が「自分の分身の奴隷なのである」と述べているのだ。

2020-02-19 10:21:51
哲学院生のアライさん(哲ライさん) @tetsugaku_arai

⑲【自己欺瞞2-4】 男性も「男らしさ」によるつらさを抱えているが、同時に第三者がそれを自分強いていると思うことで、責任を回避しようとするのだ。でも、それは家父長的な男らしさを求める社会構造によって得た特権や地位を捨てきれないでいることの現れでもあるのだ。

2020-02-19 10:21:51
哲学院生のアライさん(哲ライさん) @tetsugaku_arai

⑳【フェミニズム的な男らしさ】 以上、「依存をなかったことにする自己欺瞞」と「社会・制度が男らしさを求めているとする自己欺瞞」を解決するためには、新たな男らしさ(フェミニズム的な男らしさ)を目指すほかないのだ。そこで大事なのは、慣習や制度の改革なのだ。

2020-02-19 10:21:51
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㉑【制度改革】 たとえば女性枠等のアファーマティブ・アクションを推進して、実質的な機会平等を目指したり、男性たちが依存している女性たちの家庭内の仕事を評価したりすることが、男性が自分の地位・立場に課された「責任」をとる「フェミニズム的な男らしさ」の具体的な姿なのだ。 pic.twitter.com/wmkPBIVit4

2020-02-19 10:21:53
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哲学院生のアライさん(哲ライさん) @tetsugaku_arai

㉒【特権性の自覚】 次に、ロクサーヌ・ゲイは男性が自分を卑下したり努力を否定したりすることよりも、誰でも持っているなんらかの「特権性」を自覚することが重要だと述べているのだ。

2020-02-19 10:21:54
哲学院生のアライさん(哲ライさん) @tetsugaku_arai

㉓【目線の特権性】 たとえばイ・ミンギョンが、女性は男性目線も理解して社会を生きなければならないのに、男性は男性目線だけ過ごしても問題ない、ということを指摘しているのだ。男性は自分の視点が特権的であることに気づき、他の観点・目線があることを意識する必要があるのだ。

2020-02-19 10:21:54
哲学院生のアライさん(哲ライさん) @tetsugaku_arai

㉔【傾聴】 もちろん、別の観点に対して「自分の立場を変える必要がないなら聴く」といった態度では、まだ特権を相対化できていないのだ。むしろ他者の声を「自分の声よりも重いもの」と捉え、すぐに反論するのではなく耳を傾け、自分の立場を問い直していくことが重要なのだ。 pic.twitter.com/Kb3vE5ioI8

2020-02-19 10:21:57
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㉕【まとめ】 フェミニズム・フェミニズム現象学・男性学の成果を踏まえた、現象学的な男性性の研究を踏まえると、男らしさには二つの自己欺瞞があり、これを解決するには、制度の改革による性差別的社会構造の変革と、自分の特権性を自覚し、他の観点を持つ人の意見を傾聴することが必要なのだ!

2020-02-19 10:21:57
哲学院生のアライさん(哲ライさん) @tetsugaku_arai

哲学話㉚【フェミニズム現象学って何?】を追加したのだ! ※訂正⑪「躊躇や自身のなさ」→「躊躇や自信のなさ」 哲学院生のアライさんによる哲学話 - Togetter togetter.com/li/1416702 @togetter_jpさんから

2020-02-19 17:33:25
哲学院生のアライさん(哲ライさん) @tetsugaku_arai

@togetter_jp 「フェミニズム現象学」と書いていたけど、「フェミニスト現象学」が正しい表現だったのだ。Togetterのタイトルを「哲学話㉚【フェミニスト現象学って何?―「男らしさ」の現象学―】」に変えたのだ。

2020-02-20 18:09:21
哲学院生のアライさん(哲ライさん) @tetsugaku_arai

哲学院生のアライさんなのだ…。ソクラテスによれば哲学は死の練習なのだ…。でもソクラテスじゃなくてプラトンの言ったことなのかもしれないのだ…。 アイコンはでんきえんざんき(@lolllolllllolll)さん、ヘッダーは煮ライさん(@VZ9ITucnocJs3J3)に作ってもらったのだ!

peing.net/ja/tetsugaku_a…

哲学院生のアライさん(哲ライさん) @tetsugaku_arai

哲学話㉛ ①【フェミニズム現象学ってなに?―月経と身体論―】 前回に引き続きフェミニズム現象学に関する論文を紹介するのだ!女性の月経について語ることの難しさと、それに対するフェミニズム現象学や身体論の応用を展開した論文なのだ!メルロ=ポンティが出てくるのだ。 pic.twitter.com/zxKYhzimCD

2020-02-20 10:44:52
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哲学院生のアライさん(哲ライさん) @tetsugaku_arai

②【文献・目次】 <文献> 宮原優「月経について語ることの困難 : 身体についての通念が女性の社会参画にもたらす問題点」 、『理想』(695)、理想社、2015年、91-102頁 amazon.co.jp/dp/4650006953/… <目次> ③-④ 排除される月経 ⑤-⑨ コミュニケーションと月経 ⑩―⑭ 現象学・身体論と月経

2020-02-20 10:44:53
哲学院生のアライさん(哲ライさん) @tetsugaku_arai

③【不適切なもの】 あるインスタグラムの女性の写真で、経血の染みがちょっとついてただけで投稿が削除されたことがあるのだ。このように月経は不適切で、隠蔽されるべきで、女性は痛み・不快がないふりをしなければならない、そんな社会構造があるのだ。

2020-02-20 10:44:54
哲学院生のアライさん(哲ライさん) @tetsugaku_arai

④【労働】 もし小指をした状態で、しかもばれないように仕事をしなくてはならないとすれば、それはばかげているのだ。そんな月経を排除する社会は日本にもあるのだ。生理休暇も名ばかりで、むしろこれは「労働の場に女の体を持ち込むな」といったメッセージにも聞こえるのだ。 pic.twitter.com/RTArIiTQKW

2020-02-20 10:44:55
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哲学院生のアライさん(哲ライさん) @tetsugaku_arai

⑤【コミュニケーション】 身体器官のうち、たとえば胃は食事を楽しむといった広い語りと結びついているけど、月経はそうじゃないのだ。月経は「妊娠・出産のための準備の機能」と理解され、「個人」の「体内」の問題として隠されているのだ。でも別に月経があるから妊娠可能というわけでもないのだ。 pic.twitter.com/r3fo2bcmFb

2020-02-20 10:44:57
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哲学院生のアライさん(哲ライさん) @tetsugaku_arai

⑥【エロ】 月経を妊娠・出産と結び付けることで、それがエロティックなものとなり、さらに女性の身体そのものが性的なものと理解され、弱く傷つきやすいものにさせられるのだ。そしてもっと言えば性的羞恥を課すスティグマとみなされてしまうのだ。そしてそうした弱さを人は普通隠そうとするのだ。

2020-02-20 10:44:57
哲学院生のアライさん(哲ライさん) @tetsugaku_arai

⑦【不快・痛み】 また、社会において苦痛・不快は排除され「治療」される対象なのだ。しかし月経は治療して取り除くことなどできないため、ただただ無視されるだけなのだ。そのため、本来は出勤時間や姿勢を変えれば改善できる症状であったとしても、沈黙して耐えるほかないのだ。 pic.twitter.com/nXeZDqEvcU

2020-02-20 10:44:59
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哲学院生のアライさん(哲ライさん) @tetsugaku_arai

⑧【労働する身体】 こうした痛み・不快を排除する労働の場の在り方は「労働する身体」が不調・老い・疲れ・病・痛みを排除して想定されてことによるのだ。「女性の身体」はそうした男性の身体ですらない「労働する身体」から排除されてしまうのだ。

2020-02-20 10:44:59