哲学院生のアライさんによる#新型コロナウイルスの哲学話(全3回)

哲学院生のアライさんによる哲学話 - Togetter https://togetter.com/li/1416702 からの抜粋なのだ!
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哲学院生のアライさん(哲ライさん) @tetsugaku_arai

⑧【交流の権利3】 また、この交流の権利とは商業的な物流のことを指しているのだ。さらにバードやルシュカは『法論』と『平和論』は立場が変わっていると考えているけど、『法論』の中でも、私法に位置する諸国民の法・権利と、万人のもつ訪問権は区別されているので、それは誤りなのだ。

2020-03-24 15:57:54
哲学院生のアライさん(哲ライさん) @tetsugaku_arai

⑨【世界市民体制】 『法論』では、「他人に対して汝を単なる手段とすることなく、彼らにとって同時に目的でもあれ」という定言命法の裏返しが述べられるのだ。外国でもこうした「人間性の権利」を主張するものが「訪問権」なのだけど、この訪問権は「世界市民体制」があってはじめて保障されるのだ。

2020-03-24 15:57:54
哲学院生のアライさん(哲ライさん) @tetsugaku_arai

⑩【体制2】 『平和論』で述べられる世界市民体制とは社会契約というより、理念的な根源的契約であり、「世界共和国」と言い換えられるのだ。でもいきなりは無理なので、まずは戦争阻止だけを目的とした「連盟」を作ることを唱えるのだ(第二確定条項)。ここで「訪問権」が重要になってくるのだ。 pic.twitter.com/TMj1m0YqHX

2020-03-24 15:57:55
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⑪【体制3】 Kは自然が永遠平和へ人類を導くと考え、戦争状態や世界王国の専制より「連盟」を自然が意志すると考えたのだ。そして自然は専制よりもこの「連盟」つまり、言語・宗教の違い、「競争による力の均衡」を維持したうえでの平和を導くのだ。

2020-03-24 15:57:55
哲学院生のアライさん(哲ライさん) @tetsugaku_arai

⑫【世界共和国】 しかもそのためには、訪問権だけでは足りず、自然は「商業精神」に基づく競争によって諸国民の安全保障・国際平和を具体的に可能にするのだ。さらにKは『宗教論』で「世界共和国」が空想だと笑われる、とまで言っているのだ。 pic.twitter.com/uEPwXozC3d

2020-03-24 15:57:56
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⑬【世界共和国2】 でも『普遍史』では連盟による平和が「見せかけ」のもので、世界共和国に至って初めて「普遍的な世界市民状態」が成立し、「一個の大規模な統治体」が実現されると述べているから、やはり最終目標は専制でも連盟でもない「世界共和国」による「世界市民状態」なのだ。

2020-03-24 15:57:56
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⑭【世界共和国3】 『俗説』によると、こうした「世界市民体制」は倫理的義務である「普遍的博愛」に基づくのだ。つまり、「諸国民」における「客人の権利」や法的義務ではなく、普遍的な人類のもつ「無関心ではない」といった消極的なレベルの義務や「訪問権」につながっているのだ。

2020-03-24 15:57:56
哲学院生のアライさん(哲ライさん) @tetsugaku_arai

⑮【普遍的博愛】 こうした「普遍的博愛」が「倫理的公共体」において成立すること、そして「世界市民体制」が「国際法」の創設を指示することを踏まえると、「世界市民体制」が倫理的公共体と国際法の設立の中間にあることがわかるのだ。

2020-03-24 15:57:57
哲学院生のアライさん(哲ライさん) @tetsugaku_arai

⑯【世界市民的公共体】 戦争を止めるためにはこの⑴世界市民体制かさっきの⑵世界王国のどっちかなのだ。⑴には(ア)「一元首のもとに統括せられた世界市民的公共体」(世界共和国)と(イ)「共同で決めた国際法」の二つがあるのだ。現実的にイを選ぶことになるけどイは国際連盟と同じなのだ。

2020-03-24 15:57:57
哲学院生のアライさん(哲ライさん) @tetsugaku_arai

⑰【元首と臣民】 (ア)の「元首」とは『基礎』や『実理』によれば、人間ではなく、「最高の理性的存在者」つまり「神」なのだ。そして世界市民的公共体は「目的の国」・「人倫の国」を指し、我々は元首ではなく道徳的立法に服従することを意志した「立法する成員」(臣民)なのだ。 pic.twitter.com/TcQXNie0ZE

2020-03-24 15:57:58
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哲学院生のアライさん(哲ライさん) @tetsugaku_arai

⑱【政治的公共体】 『宗教論』によれば政治的公共体がなければ倫理的公共体もありえないから、「世界市民的公共体」は倫理的公共体かつ政治的公共体である「世界共和国」と一致するのだ。よって普遍的博愛に基づくこの公共体によって、世界市民権(訪問権)は成立し、国際法によって保障されるのだ。

2020-03-24 15:57:58
哲学院生のアライさん(哲ライさん) @tetsugaku_arai

⑲【まとめ1】 先行研究の整理を飛ばしちゃうけど、結論から言えば、敵とみなされないための「訪問権」・交流の権利を保障する「商業精神」の二つは補完的な関係にあるのだ。訪問権は総体的占有の理念に基づく「地球市民の権利」、「交流の権利」は商業精神によって保障され、安全保障を促すのだ。

2020-03-24 15:57:59
哲学院生のアライさん(哲ライさん) @tetsugaku_arai

⑳【まとめ2】 訪問権は、生得的権利(基本的人権)とは言え戦争下では実現困難だけど、商業精神によって交流が増えると平和が促進され実現されるのだ。そのため、訪問権が実現できているかどうかによって、平和の程度や基本的人権の普及の程度を推し量ることができるのだ。

2020-03-24 15:57:59
哲学院生のアライさん(哲ライさん) @tetsugaku_arai

哲学話㊱【カントの世界市民権・訪問権とは何か】を追加したのだ! 哲学院生のアライさんによる哲学話 - Togetter togetter.com/li/1416702 @togetter_jpから

2020-03-24 19:18:33