しーなまさんによる拙著『デザインから考える障害者福祉』のランニングコメンタリー

2つの修士号をもつ障害者福祉施設の支援員、しーなまさん(社会福祉士)による拙著『デザインから考える障害者福祉』のランニングコメンタリーです。読者に恵まれるとはまさにこのこと。 『デザインから考える障害者福祉』はラグーナ出版からお求めいただくのが一番早いようです。 (こちから直接お求めいただくか、お問合せフォームにてお問合せいたださい) http://lagunapublishing.co.jp/books/design/ 続きを読む
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しーなま @shiinama

「「作業デザイン」は、Bさんを障害カテゴリーから雇用カテゴリーへ、障害者の特性や抱える困難を包摂しつつ変容させる装置であり、「組織デザイン」はその雇用カテゴリー執行を維持する装置である」p.53

2020-04-19 18:31:29
しーなま @shiinama

作業のやり方の工夫が障害者の仕事を可能にして同僚に働く仲間という意識を生み、その仕事の配置の工夫(その人がいないと困る、いることで他の人の仕事が捗る)がそうした意識を維持する、ということね。

2020-04-19 18:32:54
しーなま @shiinama

第2章 協働実践と道具のデザイン

2020-04-19 18:35:52
しーなま @shiinama

○作業のスライス化 ・作業効率や経済効率が悪い単なる細分化 ・例.「物を取って置く」を「物を取る」+「物を置く」に分割。分けない方が早い。 ○作業の要素化 ・作業が効率よくなされるための機能をモジュール化 ・例.エンジンの内部構造を知らなくてもアクセルを踏めば走れる。

2020-04-19 19:11:44
しーなま @shiinama

この作業のスライス化に関しては、ちょっと耳が痛い。実際、支援の際には、非効率なのはわかっちゃいるけど、作業参加が難しい利用者さんに作業に参加してもらう(体を整える)ために誤魔化してやってしまうことがある。

2020-04-19 19:15:30
しーなま @shiinama

作業の要素化、私の仕事でたとえると、ニラの結束・裁断は①ニラの下を揃えて、②片手でニラを適切な力と角度で握り、③もう片手でテープを巻きつけ、④包丁で適切な位置を切る、という複雑さ。でも、自動結束機があれば、②③④がモジュール化されるから、①だけで簡単かつ素早くできる。

2020-04-19 19:22:21
しーなま @shiinama

あるいは、種まきは、①まっすぐ線に沿って歩き、②適切な間隔を把握し、③種を適切な数持って、④適切な深さにまき、⑤そこに土を適切な量かける、という工程だけど、播種機のごんべえがあれば、②③④⑤がモジュール化されるので、①さえできれば誰でも種まきできる、みたいな。

2020-04-19 19:27:14
しーなま @shiinama

「本章においてもデザインとは、一般企業のなかで障害者が困難を抱えたままでも生産者として位置づけるための「技術ディテール」「機知や良識」「創意工夫」であり、デザインを記述することは、障害者を、困難を抱えたままでも生産者として位置づける方法や配慮を記述することである。」p.69

2020-04-19 19:49:48
Daigoro EBITA @evidai

@shiinama スライス化の話ですが、企業での労働と就労継続支援B型での作業では位置付けが異なりますよね。そのへん、注に書いておけばよかったです。

2020-04-19 20:48:45
しーなま @shiinama

@evidai リプありです。たしかに、ご指摘のとおり、B型の場合は利用者さんの参加それ自体に意義があり、一般企業ほどには経済効率性の優先順位は高くない。また、職場の同僚と施設職員では立場が違います(後者はあくまで作業者ではなく支援者)。ただ、…(続

2020-04-19 21:01:35
しーなま @shiinama

@evidai …私が念頭にあったのは、作業時間に、できる作業が少ない利用者さんに、何もしないでボーッとしていてもらうわけにもいかないからスライス化によって無駄な作業を増やしてやってもらうことがあり、その場合には、利用者さんにもそれがバレてしまって、意欲が低下につながってしまうし、…

2020-04-19 21:06:26
しーなま @shiinama

@evidai 周囲のその利用者さんへの目線も、そういう作業をやらされてる人というものになってしまい、それをまた当人が感じて余計に意欲低下や周囲との関係不全を招く(という組織デザインにもかかわる問題が生じる)という作業所的な課題で、それはここでの一般企業の話と似ているな、と。

2020-04-19 21:09:43
Daigoro EBITA @evidai

@shiinama なるほど。しーなまさんクラスの支援者に読んでいただくと、敷衍のされ方に説得力があります。たしかに作業を割り当てきれず、やらなくてもよいような作業をさせてしまうというのはよくありそうな話です。っていうか、新人支援員や実習生に対してでもよくある話かもしれませんね。

2020-04-19 21:21:02
しーなま @shiinama

@evidai 恐縮です。管見ですが、作業支援に関する本の多くは、「(言われなくても)わかってるよ」と「わかってるけど(どうすればいいの)」に溢れていて、理論と実践との距離を超えるのに困難があります。先生の本は「デザイン」という概念で両者の間を言語化してくれているので、とても勉強になります。

2020-04-19 21:38:31
Daigoro EBITA @evidai

@shiinama こちらこそ恐縮です。昨日からしーなまさんの読書実況をドキドキして読んでおります。引き続きよろしくお願いします。

2020-04-19 21:40:57
しーなま @shiinama

第3章 労働時間のデザイン

2020-04-19 23:04:51
しーなま @shiinama

精神障害者の労働時間調整に関する研究はほとんどないよ。たぶん、当たり前すぎて考察に値しないと考えられているから。でも、そのような当たり前過ぎて説明されない事実を記述することで、わかってるつもりのことをより明晰にわかることができるよ。

2020-04-19 23:11:59
しーなま @shiinama

具体的には、この章では、先行研究として「超短時間雇用モデル」に関するレビューをして、その後に、精神障害者が働くA型作業所のラグーナ出版(この本の版元)における労働時間のデザインを記述するよ、と。

2020-04-19 23:14:36
しーなま @shiinama

私、恥ずかしながら超短時間雇用モデルは知らんかった。一社ごとでは超短時間だけど地域全体で障害者の労働時間を確保する、という視点は面白いけど、企業側は超短時間ですむような仕事しか作らない(これは従来型の特性と仕事のマッチングで、雇用しながら仕事を創出するという観点にならない)。

2020-04-19 23:20:09
しーなま @shiinama

あと、ある程度の大規模の都市じゃないと、こういうのは難しいんじゃないか、という危惧もあるらしい。なるほどなあ。

2020-04-19 23:21:03
しーなま @shiinama

ラグーナ出版の方は、勤務実績表で、労働時間だけでなく、予定されたどおりに出勤できたかどうかが可視化されてることで、その人に最適な労働時間の調整がおこなわれているし、それが精神障害者の雇用支援としての労働時間のデザイン方法だよ、という話。

2020-04-19 23:24:04
しーなま @shiinama

労働時間数そのものよりも、予定されたどおりに勤務できているかこそがある種の精神障害者の支援においては重要だ、というのは確かに支援者としては、自明な感じがする(が、外からはわかりづらいのかもしれないし、内側でも実はよくわかっていない人がいて、説明できるような記述が必要なのかな)。

2020-04-19 23:29:56
しーなま @shiinama

私が面白いと感じたのは、利用者さんが自分で書く日報。自分の体力・気力の安定度・集中力を、仕事後に書く。それをスタッフが見て、相談し、本人に「ゆとり」があるか、「あせり」があるかを確認して、翌月の勤務時間を調整する、という仕組み。

2020-04-19 23:39:13
しーなま @shiinama

この日報調整法は、利用者さんが自分でどのように感じているかを大切にしているし、加えて、今の自分にとって適切な勤務時間のあり方(さらには、今の自分と仕事との適切な関係)を本人自身がモニタリングできて、しかもそれを支援者と共有して調整するために有効だと考えられる。

2020-04-19 23:46:43
しーなま @shiinama

日報(本人が感じている仕事の疲れ具合)と勤務実績表(外からもわかる仕事の状況)を合わせて、その後の勤務時間数や勤務日や時間帯を考える、ということだろう。(他にも、日頃の支援者から見た様子とか、睡眠時間とかももちろんかかわるだろうし、記載されてるように施設の受注量にも左右される)。

2020-04-19 23:54:36
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