第二次世界大戦中にアメリカの図書館司書がやっていた対外情報活動の話

第二次世界大戦中、敵地や敵の占領地域の出版物や新聞を収集するIDCという組織が作られ、そこに多くの司書が関わっていたという話。
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白土晴一 @manetoke

第二次世界大戦中にアメリカの図書館司書たちが行った対外情報活動をあれこれ調べて、個人的にちょっと面白くなってきている。戦後のアメリカの図書館サービスの発展に、こういう情報戦をやっていた司書たちが貢献したのかと思うと、ちょっと感じ入るところがある。

2020-07-01 23:55:01
小太刀右京/Ukyou Kodachi @u_kodachi

@manetoke おおお。具体的にはどういうことをしていたんですか!?

2020-07-01 23:57:07
白土晴一 @manetoke

@u_kodachi まだちゃんと資料を読み込んでいないですが、簡単に言いますと、敵地や敵の占領地域の出版物や新聞を収集するIDCという組織が作られて、そこに多くの司書が関わっていたのです。戦後に彼らがアメリカの図書館サービスの中枢を担っていくのですが。

2020-07-02 00:03:53
小太刀右京/Ukyou Kodachi @u_kodachi

@manetoke こう、いつもながらメリケンの組織力というのはとんでもないものですねえ! なるほど!

2020-07-02 00:04:44
白土晴一 @manetoke

@u_kodachi 150人ほどの組織で、太平洋地域やヨーロッパの中立国なんかに拠点を構えて、マイクロフィルムなどでその地域のオープンソースな情報を本国にずっと送り続ける情報機関だったようで。現地の出版社やライター、学者と太いパイプを築いて活動していたとか。

2020-07-02 00:08:15
崎田薫 @blPgbQFlmN8wyHF

@manetoke @kakhabad @u_kodachi 映画「コンドル」に出てきた「アメリカ文学史協会」みたいですね pic.twitter.com/MXIRCVUQWw

2020-07-02 00:21:21
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あべの古書店(静岡) @Abeno_Old_Books

戦後占領下の静岡にアメリカはCIE図書館を設置する。ここの米人司書は上級の職員で、出入りしていた渡辺茂男をスカウトし、アメリカで図書館学をまなんだ渡辺は戦後日本の図書館活動を担うがその裏にはアメリカの…。というのが当地での伝説。(あべの古書店主人) twitter.com/manetoke/statu…

2020-07-02 16:17:24
みなみP@禁煙中 @gumyojiminami

何故CoCで図書館技能が重視されるのかこれを読んでよく分かった twitter.com/manetoke/statu…

2020-07-02 16:58:35
平良竜次「沖縄まぼろし映画館」発売中 @nextdragon1974

図書館司書とスパイ組織の意外な関係。オシント(OSINT)ってやっぱり何よりも重要だな。面白かった。 twitter.com/manetoke/statu…

2020-07-02 17:04:55
白土晴一 @manetoke

設立して間もないOSS(戦略情報局)は敵国の基礎的な資料もなく、それを扱う経験がある人もいない。そのうえ、枢軸国からの書籍輸入も途絶えている。そこでOSSは全米図書館司書協会(ALA)に協力を求め、その求めに応じた司書たちは戦時下の書籍収集の任務につく。

2020-07-02 15:59:03
白土晴一 @manetoke

これがIDCという組織の始まり。OSSは世界数か所にマイクロフィルムセンターを作り、日本の新聞書籍を集めるために中国、ドイツイタリアのものを集めるためにイギリスにOSSメンバーになった司書を書籍収集の任務のために派遣する。

2020-07-02 16:02:06
白土晴一 @manetoke

しかし、イギリスには1924年に設立された専門書を収集するASLIBという組織があって、すでに敵国の文書を収集する任務についていた。両グループは連携し、ドイツ国内およびドイツ占領下の出版物を集め、それをマイクロフィルム化しアメリカに輸送する体制を構築していく。

2020-07-02 16:06:30
白土晴一 @manetoke

特にリスボンやストックホルムなどの都市は、この戦時図書収集組織の主戦場となっていたらしい。本をめぐる情報戦をやっていたわけである。

2020-07-02 16:10:47
白土晴一 @manetoke

日本の書籍新聞の取集を任務にするIDCの拠点は重慶に置かれ、アメリカ人司書たちを中心に運営されていたらしい。IDCの集めた枢軸国の書籍新聞はアメリカ政府の各部門に供給され、戦略の基礎資料として使用された。

2020-07-02 16:18:52
いーの@なろう573151 @selene_air

@manetoke 「レンズの子ら」に、そういうのが出てきますね。 スミスは、実在の事件を下敷きにしたのでしょうか。

2020-07-02 16:14:55
白土晴一 @manetoke

@selene_air おお、たしかにありました!知っていたのかもしれませんねぇ。

2020-07-02 16:57:50
白土晴一 @manetoke

ちなみに戦場の司書といえば、アメリカ図書館司書協会は第一次世界大戦中に、兵士たちに書籍を提供するボランティアを募っており、千人以上の図書館司書がヨーロッパに派遣されている。 npr.org/sections/npr-h… pic.twitter.com/0G8b3ZXMyo

2020-07-02 16:31:29
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白土晴一 @manetoke

この第一次世界大戦の司書派遣プログラム時には、戦闘で目が見えなくなる兵士を想定して、点字の書籍を大量にアメリカ本国から送ったらしい。アメリカが本気に戦争するときの恐ろしさは、このあたりだと思う。 pic.twitter.com/WpfVBnUYzZ

2020-07-02 16:36:08
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白土晴一 @manetoke

ちなみに今でもCIAは司書の求人募集をしている。資料を分類し整理するのは情報の王道なので、当然と言えば当然なことなんだけどねぇ。情報活動を強くするためには、司書と図書館学は分厚くしましょうね!

2020-07-02 16:42:08
ロバート(ヴァイオレット・エヴァーガーデンは良いぞ @asurokku

ちょっと違うけど、相手国の情勢などを分析する担当官を育成するのに必要なのは、その国の新聞などのオープンメディアを常に読ませることらしいし、優秀な司書は必須なんなんだろうね twitter.com/manetoke/statu…

2020-07-02 16:58:08
白土晴一 @manetoke

ちなみに、じゃあ戦時中に日本の図書館司書は何をやっていたか?という話だが、当たり前だがやっぱり本を巡る情報戦に投入されている。日本軍は占領した地域の図書をかなり大規模に帝国図書館に送っている。兵要地誌としての情報というのが主眼だろう。

2020-07-02 16:53:05
白土晴一 @manetoke

というわけで、図書館と司書と戦争のお話は尽きない!が、これ以上、ツィートを続けると「仕事してください!」と言われそうなので、ここまで!

2020-07-02 16:54:55
白土晴一 @manetoke

戦争と司書という題材ならば、忘れてはいけないのが、1940-67年までアイルランド国立図書館館長だったリチャード・J・ヘイズ。アイルランド史に関わる文書の保全や書誌作成に貢献した優れた司書だったが、もう一つの顔が...。 pic.twitter.com/HRHDKN6Kli

2020-07-07 18:26:36
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白土晴一 @manetoke

戦時中のアイルランドには多くのドイツのスパイが潜入していたが、アイルランド軍情報部G2はこうしたドイツスパイの暗号を入手し、謎の「キャプテン・グレイ」という人物に解読させていた。「キャプテン・グレイ」はスパイの尋問官として捕まったスパイの前に現れており優れた手腕を発揮した。

2020-07-07 18:30:24
白土晴一 @manetoke

しかし、その謎の「キャプテン・グレイ」がまったくの民間人で、図書館司書のヘイズであるとは思わなかったらしい。彼は言語学の専門家で、ドイツ軍の暗号を数々コードブレイクし、MI5やOSSも感嘆する業績を上げている。

2020-07-07 18:33:21
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コメント

F414-GE-400 @F414_GE_400 2020年7月2日
スパイの主な仕事は映画のような工作活動ではなく、こういった合法的に手に入る情報の収集らしい。
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神無月 @sanpai2929sii 2020年7月2日
「日本は当然ながらそういう事はしてませんでした!」と思ったけど、やるにはやっていたのね。
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フロッグ @thefrog1192 2020年7月2日
これ見た後に本好きの下剋上(本マニア司書異世界転生物)見ると、主人公の知識見て血相変えた神殿長の気持ちがよく分かる こういう使い方もあるのか本の知識って
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N.Mizusawa @wtp2005ap 2020年7月3日
今も官邸がテレビで批判的な論調で伝えられる番組を情報収集しているけれど、図書に関しても行なっているんだろうか。
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書物蔵:古本フレンズ @shomotsubugyo 2020年7月3日
鞆谷純一『日本軍接収図書 ―中国占領地で接収した図書の行方』なんか読むと、帝国陸軍の取り組みは多分に場当たり的だったとわかるよ(´・ω・)ノ
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山吹色のかすてーら @sir_manmos 2020年7月3日
F414_GE_400 ブッシュJr.の失敗はCIAが表にでてくる情報を軽視していたため、と言っているCIAのOBがいますね。
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憑かれた大学隠棲:再稼働リプレイスに一俵 @lm700j 2020年7月3日
「お国の役に立つことで司書の社会的地位が高まり、情報機関への就職の道が開けた」という話、今の日本の図書課の司書さんたちは受容出来ることなのかな。
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七七四未満六四以上 @zy773 2020年7月3日
スパイ(諜報)の基本で奥義は公開情報の精査。東大に行くのだって特別な秘術は要らないのを考えると至極当然の事なのだが……。情報分析領域でもアメリカ方式の膨大な[兵站]で押し切るのがセオリーなのよね……。
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大枝瑛一(有事モード@布団帝國幕張領事館)🛡 @hideakioe 2020年7月3日
日本の場合だと満鉄調査部から続くJETROアジ研図書館ですかねぇ。
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silly (蓮實 智久) @sillism 2020年7月3日
スパイ活動の基本は情報の収集・分析なので、図書の知識に長けた司書が協力するのはインターネットがなかった時代では当然の流れ。現代も図書館の絶対的な情報量は依然として存在する訳だから書籍の情報力は侮れない。僕の場合検索してもヒットしない事が多く、マニアックな情報はまだ書籍に頼ることが多い。
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k9cycle @__hage 2020年7月5日
無粋を承知で注釈すると、OSSはCIAの前身です。
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オルクリスト @kamitsukimaru 2020年7月8日
今どきの国家直属スパイ機関の人「今どきはそんなめんどくさいことしなくても、バックドア仕込んだ人気アプリ作って敵国で広めればあとは自動でどんどん情報集まるんで楽勝だぞ。テクトクとかライn…おっとこんな時間に誰か来たようだ」
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オブジェクト@図書館はいいぞ @oixi_soredeiino 2020年7月11日
とても面白いマトメです。軍事力だけでは戦争に勝てない。目立たない情報収集の重要性。
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オブジェクト@図書館はいいぞ @oixi_soredeiino 2020年7月11日
チューリング博士の映画でもありました。暗号解読に参加した人に業績を誇ることなく元の職場に戻る指示。それだけ情報戦が重要だったということの裏返しですね。
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