【走ってきた人】福間健二 #k2fact264

福間健二 @acasaazul

もうタバコ四本目。雨粒のたくさんついた窓から空といくつかの建物、それぞれの上の方。「退屈な風景」ってないという理論。許したらどこまでも内気になって効率を忘れるモデルたち、どう関係するのか。午前十時。何を好きになるためでも、大人になってからの音楽。（走ってきた人１）#k2fact264

福間健二 @acasaazul

見ていい。増える感染者の数。開けない梅雨。どうしますか。二十世紀からずっと子どもの、可愛いブーヤンたちも心配しているが、ぼくは屋上に出た。さわやかな風。つよい日ざし。倒したバケツの水が音をたてている。前に倒れるのは当たり前の、ヒップホップ・メドレー。（走ってきた人２）#k2fact264

福間健二 @acasaazul

目立たない小さな花を見つけるとうれしくて、サークルまわるだけ。質問なければ、石油の匂いしない方へ。ノースリーブ、急に虚と実の、実が足りないと抗議される。そうだ。お父さん鳥、お母さん鳥、姿も声もない。夕方、おいしい桃をおいていった人はだれだかわかるけど。（走ってきた人３）#k2fact264

福間健二 @acasaazul

行くはずだったポルトガル。夜八時以降、アルコールの販売は禁止。静かな夜。猛暑が続き、内陸部では山火事が頻発。救助できなかった保護施設の五十二匹の犬と二匹の猫が死んだ。以上、友人のメールから。子どもたちがやってくる。「わたしのために踊って」と歌いながら。（走ってきた人４）#k2fact264

福間健二 @acasaazul

使えるだけ使って。施設。大雨の中じゃないとしても。一週間、二週間、反省しても柔らかくならないものがゴロゴロ転がる音に「そうか、心配したことがすべて現実になっていく」。でも、新大阪駅。象に会いに行く人たちに会った。踊ろう。望んでくれるならだれのためでも。（走ってきた人５）#k2fact264

福間健二 @acasaazul

もう増やしたくない。言わない文学。言うだけの文学。YouTubeで羊文学を見て聴くことができる。ただの老いた人間だという人が、この世界に人間のものだと言えるものあるだろうかと自販機の前で。鳥が鳴く。人間のいびき声もする。人間じゃなくて悪魔だと言わなくていい。（走ってきた人６）#k2fact264

福間健二 @acasaazul

ある地方。ある地区。書こうと考えていたこと。人類について。できれば最初の最初からだが、手と口でなんとかしないといけない穴があいている。三回に一度くらいは点く発火装置。頼りにしてるんだ。三階の窓に戻る。きみからきみがいなくなって。買物に行けそうな空だ。（走ってきた人７）#k2fact264

福間健二 @acasaazul

ちょっとだけあけた窓からの、消えた自分を探す物語。まだそれをやっている文学。そのための冷静な体力。いつか慣れてしまう音を、雨と乱れる列を、踊る足で跳びこえるんだ。手遅れになっても、片手をついても。空間と場所。空間には行かない。心をおける場所に行く。（走ってきた人８）#k2fact264

福間健二 @acasaazul

独自の情報。セミのいない夏の、雷鳴と赤いオオカミの関係のこと。なんという料理なのかな。ズッキーニの花にハムとチーズを入れて揚げたやつ。走ってきた。語るためだけじゃないけど、語りたいことたくさんあって。走ってきた。頼まれなくても噴出させたいものがあって。（走ってきた人９）#k2fact264

福間健二 @acasaazul

悪魔を出さないとしたら簡単な話にならない途中の事件。だれが、どの色が、ではなく場所として若さを失いつつある西海岸発。整うなあ。蛋白質。でも、スプーンですくえない。走ってきた人の息をまだ感じながら、何人かで聴きたい音楽。そうだ、ぼくには妹がいない。（走ってきた人10）#k2fact264