多世界解釈における確率導出はボルンの規則を前提としており循環論法だが、どうすればよいだろうか?

多世界解釈による確率導出は、ボルンの規則を前提としており循環論法とみなされている。このツイートでは多世界解釈で確率を導出するアイデアを提示する。
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x_seek @x_seek0

多世界解釈を長年支持してきた著者の研究結果をまとめた書籍であり、解釈問題に興味あるすべての物理学徒に勧めたい。 和田純夫著 量子力学の解釈問題 多世界解釈を中心として amazon.co.jp/gp/product/478…

2020-08-29 15:28:03
x_seek @x_seek0

補遺Aでは、多世界解釈への批判が取り上げられている。 ノーベル物理学賞を受賞したワインバーグは多世界解釈を支持しているが、多世界解釈における確率導出はボルンの規則を前提としており循環論法だと批判している。

2020-08-29 15:34:37
x_seek @x_seek0

ワインバーグは多世界解釈を支持しているとツイートしましたが、実際には支持していませんでした。 和田純夫氏の著書※の下記記述の意味を取り違えました。申し訳ありません。訂正いたします。 「ワインバーグは多世界解釈論者と同様に実在主義の立場を取るので……」 ※量子力学の解釈問題 P172 twitter.com/x_seek0/status…

2020-09-01 18:37:31
x_seek @x_seek0

確率導出の考え方の一つに頻度主義がある。 頻度主義では、世界の数を勘定し確率を定義するが、「本書ではそのような立場は取らない」と著者は明言している。

2020-08-29 15:42:39
x_seek @x_seek0

著者が頻度主義の立場を取らない理由は、それが実験結果と一致しないためだと推測する。 本書の7.2節「なぜ二乗か?」で、著者はその理由をヒルベルト空間の基本構造に求めている。

2020-08-29 15:51:13
x_seek @x_seek0

「世界の数を勘定することによる確率定義」がうまくいかないため、エヴェレットは測度という概念をあらたに定義した。 測度は波動関数の絶対値の二乗で定義される。彼はその根拠を「確率の保存」としたが、その理由をさらにさかのぼると「ヒルベルト空間の基本構造」につきあたる。

2020-08-29 16:03:07
x_seek @x_seek0

私は「多世界解釈の確率は頻度主義に基づく」と推測する。しかし「世界の数による確率定義」は実験結果と一致しない。 そのため「世界の数以外の何か」による頻度主義を考える必要がある。

2020-08-29 16:23:04
x_seek @x_seek0

この「世界の数以外の何か」を考えるには、まず「多世界解釈における世界の定義」を考える必要がある。 世界を単純に見れば大量の素粒子から構成されていることがわかる。世界は主に電子、陽子、中性子、光子からできており、それらの素粒子を各位置に適切に配置すれば、任意の世界を構成できる。

2020-08-29 18:18:30
x_seek @x_seek0

1個の素粒子の位置は3次元空間内の一点で表現できる。仮にこの世界にN個の素粒子があれば、3N次元空間の一点で表現できる。 この3N次元空間の一点を「一個の世界」と考えるという案が考えられる。

2020-08-29 18:22:23
x_seek @x_seek0

こうして「世界」という曖昧な概念は、3N次元空間の一点として定義された。世界全体は一個の点と解釈できる。 素粒子の位置が一個でも違えば、それは異なる世界である。なぜなら、それらは3N次元空間での位置が異なるからである。

2020-08-29 18:30:52
x_seek @x_seek0

時間が経過し素粒子の位置が変化した場合も、異なる世界である。我々は時刻の経過とともに、次々と異なる世界へ移動していると解釈できる。 こうして時間の経過とともに、3N次元空間には一本の軌跡が刻々と描かれることになる。

2020-08-29 18:56:03
x_seek @x_seek0

和田氏の著書の補遺A.4には、物理学者ケントの多世界解釈に対する次の批判がある。 「スピン測定前の時点では、スピンの測定方向が未定なので、スピン↑の世界とスピン↓の世界が一意に決まらない。(基底選択の問題)」 amazon.co.jp/gp/product/478…

2020-08-29 19:06:57
x_seek @x_seek0

多世界解釈を支持するグラハムは、この批判に対し次のように主張した。 「すべてのマクロな測定装置が特定の測定結果を記録した状態を基底とすべきだ」 簡単に言えば「多世界解釈の対象は測定後のみ。測定前は対象外だ」という主張である。

2020-08-29 19:14:39
x_seek @x_seek0

私は「スピン↑の状態が一個の世界に対応する」という考え方に誤りがあると考える。「スピン↑の状態」は実際には複数の世界から構成されているのではないか? 例えば、原子中の電子はスピンのように一定の角運動量を持つが、3N次元空間では広がっており一個の世界ではなく複数の世界である。

2020-08-29 19:24:19
x_seek @x_seek0

我々は、常に一個の世界に住んでいるように感じている。しかし量子力学的に考えると、それは正しい認識ではない。 例えば、原子内の電子は広がっているため、その電子の位置の違いだけ、我々は異なる複数の世界に同時に存在していることになる。

2020-08-29 19:29:25
x_seek @x_seek0

3N次元空間で考えると、我々はある一点に存在しているのではなく、少し広がって存在している。 そしてその少し広がった範囲が、時刻の経過とともに別の位置へ移動してゆく。

2020-08-29 19:31:55
x_seek @x_seek0

3N次元空間を思い浮かべるのは相当に厳しいので、3N次元空間の影を映した二次元平面を思い浮かべることにしよう。(これを世界平面と呼ぼう) 電子の波動関数は山のように分布するので、世界平面での世界に対応する点の波動関数も山のように分布する。

2020-08-29 19:45:58
x_seek @x_seek0

我々が住むこの世界は、世界平面に存在する一つの山と解釈できる。この山は時間の経過とともに別の位置へ移動してゆくと解釈できる。 この山の高さとは、いったい何を意味するのだろうか?

2020-08-29 19:53:07
x_seek @x_seek0

量子力学によると、山の高さが高いほど観測確率が高い。そのため、頻度主義に基づくならば、世界の個数と解釈するのが自然である。

2020-08-29 19:55:00
x_seek @x_seek0

しかし「世界の個数は山の高さに比例する」という考え方は残念ながら実験結果と一致しない。なぜなら確率は山の高さの二乗に比例するからだ。 ならば「世界の個数は山の高さの二乗に比例する」とすべきだろうか?

2020-08-29 19:57:43
x_seek @x_seek0

私はそう思わない。というのも波動関数には線形性があるからだ。 同じ高さの山を二つ重ねた時、世界の個数が二倍ではなく四倍になる物理的なメカニズムは非常に考えにくい。

2020-08-29 23:16:01
x_seek @x_seek0

したがって、「世界の個数は山の高さに比例する」と考えざる得ない。しかし実験結果とは一致しない。 なぜ確率は、世界の個数の二乗なのだろうか?

2020-08-29 23:45:33
x_seek @x_seek0

この理由を検討するため、まず「世界の数が山(波動関数)の高さに比例する仕組み」を考えよう。 そもそも、波動関数の正体とは何だろうか?

2020-08-30 13:53:09
x_seek @x_seek0

最も単純なアイデアは「波動関数は輪ゴムのような空間」というものである。 このアイデアは非常に古く、カルツァとクラインが1926年に提唱している。(正確にはマクスウェル方程式の波動関数)

2020-08-30 14:09:34
x_seek @x_seek0

この輪ゴム(空間)は伸び縮みし、回転する。 波動関数の高さが輪ゴムの円周長に対応し、波動関数の位相が輪ゴムの回転角に対応する。

2020-08-30 14:19:12
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