多世界解釈における確率導出はボルンの規則を前提としており循環論法だが、どうすればよいだろうか?
ここでファインマンの経路積分の教科書2-2節から抜粋しよう。 「作用の極値を与える特別な経路のみが寄与するのではなく、すべての経路が寄与する。全振幅に対する寄与は、同じ大きさであるが異なる位相を持つ」 つまり経路積分では、どの経路を移動する事象も同じ大きさの振幅を持つ。
2020-09-02 22:28:08同じ大きさの振幅を持つということは、等確率であることを意味する。したがって、どの経路を移動する事象も素事象と解釈できる。 一方で、確率は素事象の数に比例するため、確率は経路を移動する事象の数、すわなち経路の本数に比例することがわかった。
2020-09-02 22:28:49簡単に言えば、ある場所に粒子が存在するような世界がn個あり、少し離れた場所に粒子が存在するような世界がほぼ同数のn個ある時、第二粒子が移動する経路がn^2本であるため、確率は世界の数の二乗に比例する。
2020-09-02 22:32:13ここまでの内容をtogetterにまとめてみました。ただ、次のような疑問がまだ残っています。 ・経路積分で遠くへ移動しないのか? ・スピンはどのように表現するのか? 「多世界解釈における確率導出はボルンの規則を前提としており循環論法だが、どうすればよいだろうか? 」togetter.com/li/1585703
2020-09-02 23:10:06多世界解釈には、他にも次のような疑問があるでしょう。 ・スピンの基底の選び方で世界が変わってよいのか? ・猫の重ね合わせは実現可能か? ・なぜ我々は猫の重ね合わせを見ないのか? ・3N次元空間は物理的な実体として実在するのか?(二粒子の距離の入れ方が人工的ではないか?)
2020-09-03 16:34:17「経路積分で遠くへ移動しないのか?」 もしも第二粒子が第一空間(x,y,z)の一点だけに存在したら、経路積分により、遠くへ移動します。 しかし現実の第二粒子は第一空間(x,y,z)に少し広がって存在します。そのため、遠くへの移動は経路積分で打ち消し合うため起こりません。
2020-09-03 16:40:46「スピンはどのように表現するのか?」 スピンの波動関数は、円周ではなく三次元球面と解釈します。 三次元球面には特殊な回転があり、360度の回転で表と裏が入れ替わります。その回転でスピンの奇妙な性質(360度回転すると位相が反転)を実現できます。 xseek-qm.net/Spin.htm
2020-09-03 16:48:56「余剰空間での回転は通常空間(x,y,z)での回転と直交している。なぜ電子の軌道角運動量とスピンの合計が保存するのか?」 実際には、余剰空間ではなく螺旋状の空間になっているため。回転軸は直交していない。(詳細は下記記事参照) xseek-qm.net/Spin.htm
2020-09-03 16:54:56「スピンの基底の選び方で世界が変わってよいのか?」 スピン↑の状態は一つの世界に対応していない。原子内を回転する電子の波動関数のように広がっている。スピン↑の状態は複数の世界で構成される。基底(測定装置の向き)を変えても世界の集合の分け方が変わるだけで、個々の世界は変わらない。
2020-09-03 17:00:57「猫の重ね合わせは実現可能か?」 二個の粒子の重ね合わせは可能です。それに一個ずつ粒子を加えていくとき、どこかで重ね合わせが壊れるのかという問題となります。 少なくとも現在の量子力学の数学形式に、そのような現象が起きることを示す内容は含まれていません。
2020-09-03 17:25:10実験的には、10,000個の原子で成功した例があります。 ・現実になった「シュレーディンガーの猫」! やはりこの世界はふたつの現実が重なっていた! excite.co.jp/news/article/T…
2020-09-03 17:30:23「なぜ我々は猫の重ね合わせを見ないのか?」 多世界解釈での世界とは、全粒子(N個)の位置(x,y,z)を決める3N次元空間内の一点です。 猫が生きてる世界と死んでる世界は、3N次元空間の異なる二点です。二点は距離的に遠く離れているため、見えません。
2020-09-03 17:40:13「3N次元空間は物理的な実体として実在するのか?(二粒子の距離の入れ方が人工的ではないか?)」 3N次元空間は実際には実在しない。本当に実在するのは、3次元空間に存在する場を量子化したもの(量子場)である。 しかし説明を簡単にするため、比較的単純な3N次元空間で説明してきた。
2020-09-03 17:47:153N次元空間では、粒子の数が増えると次元を増やす必要がある。しかし量子場では次元を増やす必要はない。 ただ量子場は説明が非常に難しい。そのため量子場の近似的な表現として3N次元空間を使用した。
2020-09-03 18:00:04@LXtL49Ld6oK3G5Y 私は頻度主義を採用せずに確率を導出することは不可能だと考えています。そのため私は頻度主義を採用し次のページで量子力学の確率を説明しています。 仲さんは、頻度主義を採用しない場合の確率導出方法を知りたいのでしょうか? togetter.com/li/1585703
2020-09-11 01:19:19@LXtL49Ld6oK3G5Y 承知しました。 平易に説明できるよう努力しますが、和田純夫氏の確率導出方法の理解には量子力学の知識が必要です。もし説明内容が理解できないようであれば教えてください。
2020-09-12 23:03:43@LXtL49Ld6oK3G5Y 最初に粒子のスピンの状態を考えます。 |ψ>=a|↑>+b|↓> 上記の記号の意味が理解できないかもしれませんが、 さしあたり|↑>はベクトル(1,0)、|↓>はベクトル(0,1)、 |ψ>はベクトル(a,b)と思っておいてください。 |↑>は粒子が上向き、 |↓>は粒子が下向きのスピンを持っている状態を意味します。
2020-09-12 23:04:22@LXtL49Ld6oK3G5Y ベクトルの係数aとbには a^2+b^2=1 という条件をつけておきます。これは規格化条件と呼ばれています。つまり、ベクトル|ψ>は円周上に存在します。 このような粒子のスピンを観測すると、 上向きのスピンを観測する確率はa^2となります。一方 下向きのスピンを観測する確率はb^2となります。
2020-09-12 23:05:11@LXtL49Ld6oK3G5Y N個の粒子を観測すると、n個が上向きスピンだったとします。すると、スピン上向きの確率Pは、 P=n/N=a^2 となります。 ここで観測済みのN個の粒子のスピン状態をまとめて次のように表現します。 |↑↑↓…> 上記のベクトルは2N次元空間内のベクトル (0,1,0,1,1,0,…) と思ってください。
2020-09-12 23:07:43@LXtL49Ld6oK3G5Y N個中n個が上向きスピンだった状態の項数は組合せの数で、 C(N,n)=N!/(n!(N-n)!) と表現できます。ここでN個の粒子を観測しスピン上向きがn個だった状態をひとまとめに|n>_Nという記号で表現すると |n>_N = 1/√(C(N,n)) (|↑↑↓…>+…) と表現できます。ここで1/√(C(N,n))は規格因子です。
2020-09-12 23:09:59@LXtL49Ld6oK3G5Y なぜ規格化因子が、1/√(C(N,n))になるかといえば、下記式 |n>_N = 1/√(C(N,n)) (|↑↑↓…>+…) の |↑↑↓…>+… の項数がC(N,n)個だからです。ピタゴラスの定理より、項数にルートがついています。
2020-09-12 23:13:51@LXtL49Ld6oK3G5Y ここで二項展開を思い出しておきます。 (a+b)^N = Σ[n=0,N] C(N,n) a^n b^(N-n) 上記の形を確認してから次の説明に進みます。
2020-09-12 23:15:24@LXtL49Ld6oK3G5Y N個の中1個が上向きスピンだったり、全部が上向きスピンだったりなど、すべての状態を|ψ>_Nで表現すると次のように表現できます。 |ψ>_N=(a|↑>+b|↓>)^N =Σ[n=0,N]√(C(N,n))a^n b^(N^n)|n>_N 二項展開との違いは√の有無です。|n>_Nの規格化因子に1/√ があったので、ここに√があります。
2020-09-12 23:16:44@LXtL49Ld6oK3G5Y 次の式は複雑です。 |ψ>_N=Σ[n=0,N]√(C(N,n))a^n b^(N^n)|n>_N そこで簡単にするため、具体的に N=100, a=0.6, b=0.8の場合の、係数 √C(N,n)a^n b^(N^n) を次のグラフで表現します。 ja.wolframalpha.com/input/?i=sqrt%…
2020-09-12 23:18:46