出来の良い悪役とそうではない悪役の違いは、その「最期」で決まるというのをちょっと考えてみた話

惣流・ドルフ・ラングレン弐号機 @YZNlfuMP8Vbaaoj

クイン・ベリルから始まり、セーラームーンの悪ボス達の最期は幹部達を別として、簡素なものが多い。 あくまで倒されるだけのシンプル性を極めた存在とも云えるが、後期の悪役描写では最終的に相手を"救済"へと導く展開がなされた 終盤では最も印象深い強敵であった、セーラーギャラクシアもその1人だ pic.twitter.com/GK0u5ebYtI

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続いての『プリキュアシリーズ』は、時代の推移によって悪役の最期の描写が大きく変化していく作品だ 前期の悪役達は死に物狂いでプリキュアに向かってくる猛者ばかりであり、最期には道連れにもしようとする凄味を持つ こういった路線は『Yes!プリキュア5GOGO』でのラスボス、館長辺りが最後であった pic.twitter.com/3aA4wHr9ay

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前期では生存闘争として敵を消滅させるのが程であったが、『ハートキャッチプリキュア!』を転換期として、悪ボス相手でもプリキュアと心を通わせるという演出が作品毎に増えてくる 心の浄化や和解といった様々な救いの形は、敵であっても最期には優しさを示すといった方向性の時代へと移り変わって行く pic.twitter.com/TprjZYkxlc

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そういった演出で特に秀逸だと思えたのが『Go!プリンセスプリキュア』でのラスボス、クローズとの最終戦だ 闘いの末に、互いの存在の重要性を知り"相互理解" で幕引きとなる描写は、和解や救済とは違う絶妙なバランスの距離感を対立軸の中で表現してみせた プリキュア悪役でこの最期を上回る者はいない pic.twitter.com/4Sg7pQ0eKv

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他の少年漫画では不殺の縛りがある『ONE PIECE』の決着が特色だ 初期はトドメ技が印象的であり、キャプテン・クロとの闘いではルフィのルーキーという立場が活かされている 御託を並べる悪い大人に対して加える制裁は、ゴムゴムの鐘という名の"頭突き"だ 活をブチ込む様なヤンキースタイルが魅力である pic.twitter.com/GLzhB4T6uL

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続いて特徴的な悪役の描写が、一目で悪人だと分かるデザインのアーロンだ。 極悪ヤクザvsマイルドヤンキーといった具合の対立構図は、ちょっとした社会の縮図の様でいて後の勝利でのカタルシスも強くなる。 高慢な性格を表すのが、そのギザついた凶悪な天狗鼻というのも分かりやすく面白いアイデアだ。 pic.twitter.com/jKVJPmJmTY

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その最期も自身の権力を象徴する高い建物ごと蹴り落とされるというのが、上手い符合の当て嵌め方でもある。 キャプテン・クロもそうだが、こういった敵のバークボーンと絡めた倒し方は、意図的にしろ偶発的にしろ非常に良く出来ていた 『ONE PIECE』に関しては、敵をブッ飛ばすその勧善懲悪さが好きだ pic.twitter.com/f95WOhP91q

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『幽☆遊☆白書』の宿敵だと、戸愚呂弟や仙水忍などの最期は綺麗な退場の仕方をするが、作中一番の悪党でサディストの戸愚呂兄は最も異質な最期を迎える。 死なない体故に永遠の地獄を見せられる「『死』にすら値しない」その末路は、生殺与奪の権利を恐ろしい冷酷な手段で表した例だ。 pic.twitter.com/vkW3pUP8QI

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『るろうに剣心』の志々雄真実は、これ迄に無い程に悪の美学を突き詰めたキャラクターだ 作者の入れ込み具合をとても強く感じさせる悪役であり、その結末は主役によって打ち倒されない時間制限による"自滅"という形で幕を閉じる あの世での勝ち気な描写にも、格落ちを一切見せない一貫した拘りがあった pic.twitter.com/zT6LK8S8oV

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変わり種の悪役描写では『機動警察パトレイバー the Movie』がある 登場人物の帆場暎一は、作中一度も全体像を見せないまま投身自殺を遂げてサイバー犯罪を仕掛けた黒幕だ 死後も話が進むにつれて、その歪な"悪意"が断片的に示されていく 登場した瞬間に死ぬという異色の最期は特筆すべき斬新性だろう pic.twitter.com/lzRLMpcRqJ

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パトレイバーと云えばOVA版にTV版、劇場版と様々なメディア展開がされたが、その中で最も安定したクオリティであったのが、ゆうきまさみによる漫画版だ 悪役の内海課長は一見すると人好きのする、悪人とは思えない人物造型である 見る者を惹き付ける好感さとは裏腹に、最期は実にシビアなものとなった pic.twitter.com/LM9faQnYXA

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漫画版での内海は作者ゆうきまさみの悪役造型への拘りが強く出たキャラクターだ。 アニメ版では悪人としての描写もさほど無く海外へと逃げ延びる内海だが、漫画版では他者の死をも厭わない冷酷な本質が描写される。 これはアニメには無かった悪役への"報い"のラストへと繋がる大事なシークエンスだ。 pic.twitter.com/XaOeP4oOr5

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自らの行いのしっぺ返しをの為に突発的な最期を迎えた訳だが、常に余裕の態度を崩さなかった内海が敗北を自覚して動揺を見せたその瞬間から、転落という末路へのカウントダウンは始まっていたと言える 最期だけではなく全てにおいて秀逸な造型は、漫画史の中で最も完成度の高い悪役だったと断言出来る pic.twitter.com/f15uH9Qgt2

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『東京BABYLON』の桜塚星史郎の特色は、非情な悪役でありながら主人公との決着が本編では描かれないという部分にあった。 最愛とも云えた人間に実の姉を殺害されたまま勝ち逃げをされる。そんな複雑な倒錯感情を抱えたまま終了するビターENDな作品の性質は、独自の暗さと魅力を放っていたのだ。 pic.twitter.com/JKKDiwUkEb

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CLAMP作品のキャラクター達が集結するクロスオーバー漫画『X』では『東京BABYLON』のその後が描かれ、星史郎との因縁にも決着が付く形となる。 過去のあのオチが良かったとはいえ、やはり続きが気になるのが性分だ。 その対決の過程と星史郎の最期は、理由付けや理屈の上では纏まっていたと云える。 pic.twitter.com/pVmpJavWrA

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だが作品間と時間を跨いだが故の、作風の変化による違和感というものがあるのも否めない バビロンの持ち味はあの頃のCLAMPの作風にある様に思う 作者の1人である、もこなによると『X』は別の世界線の話であり『東京BABYLON』は既に完結しているのだと云う その最期も含めて解釈の難しいキャラクターだ pic.twitter.com/AInnoRYbU7

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『東京BABYLON』と云えばめでたくアニメ化も決定した訳だが、新デザインの星史郎は色々と賛否を呼んだのも記憶に新しい 出来の如何は蓋を開けてみないと判らないが、星史郎の魅力である包容力はガタイの良さにも直結する特徴でもあった やはり大の男ならば実の兄者を乗っけるくらいの肩幅が欲しい所だ pic.twitter.com/GlwsdUFWd9

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漫画史の中でも重要な位置にあるのが『野望の王国』に登場した、柿崎憲の悪役描写だろう 警視庁のキャリア官僚の座からスタートした柿崎は一転、様々な危機的状況に追い込まれる プライドをズタズタにされようが死にかけようがゴキブリの様にしぶとく這い上がるその様は、正しく悪党の鑑と言える存在だ pic.twitter.com/lFYgrFsuOd

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全編に渡って状況をかき乱す最大の宿敵・柿崎だが、終盤直前に死亡する役割なので意外にもラスボスではない 全身蜂の巣になりやっと息絶える生への執念からなる最期が凄まじい ラスボスの名前は毎回忘れても柿崎憲の名前は瞬時に出る。そんなインパクトを無意識に植え付けた名悪役キャラクターであった pic.twitter.com/CZwWCgaDVk

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柿崎のインパクトに隠れがちだが、『野望の王国』真のラスボス、白川天星の造型も秀逸だ。 主人公達の協力者だったが柿崎達強敵亡き後のタイミングを見計らい、漁夫の利を狙う蛇の様な狡猾さを持つ 合間合間の耽溺描写やその最期も含めて、結構ベタなタイプのナルシスト美形悪役キャラクターでもあった pic.twitter.com/DCAQAQGdBn

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"カッコ良い退場"で最期を遂げる悪役は、何時の時代も人気が高い 『ボルテスⅤ』のプリンス・ハイネルは『機動戦士ガンダム』のシャアに影響を与え、お手本にもなったキャラクターだ 最終戦での炎揺らめく劇的な戦地舞台に、白熱の剣戟シーン。 その役目を終えたハイネルは、炎の中へと消え命を落とす pic.twitter.com/8qh0eACmod

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ハイネルとは反対にア・バオア・クーの爆発から生き延びたシャアは、ハイネル以上のブランド力と認知度を獲得したが、その後は醜態を晒していると言えなくもない活躍ぶりであった。 潔く死ぬか、生き延びてズルズルと未練を引きずるかの別れ道が如実に表れた、面白い対極パターンだと感じ入る例だ。 pic.twitter.com/ZcmBsk9yOF

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『ガンダム Gのレコンギスタ』のクンパ大佐は、黒幕となった悪役の中でも変則的な描写と結末を迎えた最たる例だ。 その風貌は優雅な老紳士といった印象だが、同時に地味とも思えるデザインである。 争いの種と混乱をもたらした張本人でありながら、悪人然とした描写も特に見当たりはしない pic.twitter.com/C2Xgjwimf7

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クンパの特色は、黒幕らしからぬ"凡庸"性にある 倒されるべき敵という訳でもないので、生き延びても死んでも最早なんら支障の無い存在は「事故死」という形で幕を閉じる 悪人としてのカッコ良い要素を一切排除した悪役造型は、達観した作り手の目線の成せる技だろう ここまでストイックな作りは珍しい pic.twitter.com/WP1O6i2zBP

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そういった凡庸さを見せる敵役の描写は『機動戦士Vガンダム』の頃にもある 「椅子を尻で磨くだけの男では終らん！」と前線に出たら即行に爆死した司令官のピピニーデン 自身の器量以上の業績を求められた苦悩を発露して惨死したクロノクル こういった凡人な敵役達は、シャアの鏡像へのアンチテーゼだ pic.twitter.com/jHclNU499Y

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