「社会学には査読がない」は本当か?

タイトルの件について、福永玄弥 @GenyaFukunaga 氏との応答と『社会学評論』を見て考えたことに関するセルフまとめです。追加があれば是非お願いします。
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ゲンヤ @GenyaFukunaga

元気いっぱい社会学やジェンダー研究を批判(?)してる人たちの根拠がいまだに「査読すらない/査読無し」というのが痛すぎて笑えない。 pic.twitter.com/zdxDjq8MOO

2021-01-31 09:30:39
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ゲンヤ @GenyaFukunaga

ってか、歴史学が積み重ねてきた慰安所制度に関する知見から学ぼうとしない人たちが元気いっぱいでいられる社会なので、査読の有無は社会学やジェンダー研究を攻撃するための資源にすぎないでしょ。社会学やジェンダー研究の学術誌に査読があるとわかったところで、次の攻撃材料を探すだけ。

2021-01-31 09:37:45
いれい @e0_rainy

@GenyaFukunaga 突然失礼致します。答える義理はない、というのを承知でお伺いしますが、本当に査読の有無は論文その他言説のクオリティに影響しないとお考えなのでしょうか? それとも査読以外に言説の妥当性をチェックするシステムがあるのでしょうか?

2021-01-31 11:40:00
いれい @e0_rainy

@GenyaFukunaga 自分は社会学の内情に詳しくはありませんが、 ・少なくとも若手のうちは査読論文を書く必要がある ・海外の学術雑誌に出版するためには勿論査読が必要 と伺っているので、全く査読が機能していないわけではない、というのは承知しています。

2021-01-31 11:43:39
ゲンヤ @GenyaFukunaga

@e0_rainy 社会学にせよジェンダー研究にせよ、日本ではほとんどの学術誌に査読は必須です(ほとんどの、と書いたのは私もすべてのジャーナルを把握してる訳ではないからです)。Twitterでは「ジェンダー研究の論文は査読なし」という噂が数年前から蔓延していますが、これは端的に言って嘘です。

2021-01-31 11:54:08
いれい @e0_rainy

@GenyaFukunaga ご多忙の中お返事いただきありがとうございます。そのような認識が蔓延している理由として例えば次のような記事があると思いますが、 sociology.jugem.jp/?eid=277#gsc.t… togetter.com/li/1274544?pag… これらは過去のもの、もしくは特殊な事例とみなして良い、ということでしょうか?

2021-01-31 12:10:52
ゲンヤ @GenyaFukunaga

@e0_rainy この方について私は知らないので信頼性をどうこう言うつもりはありませんが、社会学の領域で重要とされている学術誌を実際に確認してください。「査読なしでオーケー」というのが事実に基づかないかがわかります。また査読論文なしで社会学の常勤に採用されることは今の日本でありえません。

2021-01-31 13:09:56
いれい @e0_rainy

@GenyaFukunaga 承知いたしました。主要雑誌の投稿規定など、こちらでも確認させて頂きます。 もう一点お伺いしたいのですが、ツイッター上ではしばしば「社会学には自浄作用/相互批判がない」という批判がなされます。 例えば同じく”素人”の生活にも関連が深い医学分野では、(続く)

2021-01-31 13:23:22
いれい @e0_rainy

@GenyaFukunaga 誰かが間違ったことを言うと同業者から批判を受ける、ということがツイッターで多く見受けられました。一方、社会学者の発言が物議を醸した際には社会学者からの相互批判が少ない、と感じる人が多いのではないかと考えています。そこでまず現状を把握したいのですが、(続く)

2021-01-31 13:26:32
いれい @e0_rainy

@GenyaFukunaga ツイッターという空間に限定した上で、次のどれが現状を表しているとお考えでしょうか。 ①実際に相互批判は十分起きているし、拡散されている(私の認識が誤っている) ②相互批判は十分起きているが、拡散されづらい ③ツイッター上では社会学者の相互批判があまり起きていない

2021-01-31 13:29:37
ゲンヤ @GenyaFukunaga

@e0_rainy 私がTwitterでフォローしてるのは200人程度ですが、社会学者でフォローしてるのはおそらく2人くらいだと思います。したがって私に回答するだけのデータはありません。ただしジェンダーセクシュアリティ研究の界隈ではTwitterでもガンガン相互批判してますよね。私に答えられるのはここまでです。

2021-01-31 13:38:10
いれい @e0_rainy

@GenyaFukunaga 先程「社会学評論」の投稿規定を見ておりましたが、実際他分野と同等の査読制度があるように思われました。 きちんと相互批判は起きているのですね。安心致しました。 ここまでお答えいただき大変ありがとうございました。

2021-01-31 13:42:38
いれい @e0_rainy

日本の社会学では格が高いとされる「社会学評論」の編集委員会規程を見る限り、査読がないと言うのは実際誤りなのだと思う jss-sociology.org/bulletin/socio…

2021-01-31 13:48:38
いれい @e0_rainy

で、実際J-STAGEで「社会学評論」を確認してみると、現時点(2020/01/31)で確認できる最新である70巻(2019)はほとんどが「投稿論文」と「公募特集」「書評」で占められている。

2021-01-31 13:57:35
いれい @e0_rainy

一方、例えば10年前の60巻(2009)では、第1・3・4号では特集論文の方が多い。年によって異なるが、年4号のうち半分は特集論文をメインに扱っている号だった模様(きちんと集計はしていないが)。 どうやら年々特集号は減ってきているらしい。

2021-01-31 14:02:11
いれい @e0_rainy

70巻第2号の「公募特集の応募について(告知)」によると、 “『社会学評論』の通常の「特集」は、テーマと執筆者を編集委員会が検討し、論文は依頼にもとづき寄稿されます” とあるので、従来の特集がいわゆる依頼論文だというのは正しいと思われる。そしてそれが段々公募特集に切り替わりつつある。

2021-01-31 14:06:22
いれい @e0_rainy

ということで、「社会学には査読がない」は嘘だと言って良いと思う。で、その議論が他の人にどう見えているのかについては皆さんの意見を聞きたい。

2021-01-31 14:07:39
いれい @e0_rainy

押さえておくべきことは、 ・この変化によってかつての大御所が査読論文を書くようになったかどうかはわからない ・あくまで一誌を極めて簡単に見ただけであり、これが全体を表しているかどうかはわからない ということ。

2021-01-31 14:37:19
いれい @e0_rainy

また、相互批判が起こっているにも関わらずそれが人々の目に触れにくいとすればなぜなのか、それを改善するにはどうすればよいのか

2021-01-31 14:40:34
いれい @e0_rainy

この辺は社会学をきちんとやっている人からフォローが欲しい。

2021-01-31 14:38:02

コメント欄のSokal Squaredに関するまとめを見て思ったことを追記。簡単に言うと、ジェンダー社会学に関するでっちあげ論文が査読付きの専門誌に複数掲載されてしまったという事件です。

いれい @e0_rainy

「査読があるのはわかっ(てい)たが、それは本当に機能しているのか?」という点について追記。 コメントのまとめの女子大生起業家氏の解説で大体言い尽くされてるけど、「ピアレビューをやってるのにhoax論文(でっちあげ)に引っ掛かった」という現実は重い。

2021-01-31 16:31:56
いれい @e0_rainy

もちろん、ピアレビューは悪意のあるデータ捏造には対応出来ない。これは自然科学も同じなので、データをでっちあげた上で狂った主張をするようなhoax論文に関しては多少仕方がないとは思う。 ただ、sokal squaredに関する全ての論文がそうだったわけではない。

2021-01-31 16:35:47
いれい @e0_rainy

Sokal Squaredは勿論完全な社会実験ではないので、批判にももちろん妥当性はある。 ただ残念なのはここで標的となったジェンダー関連の社会学者の中から「批判はあるけどやっぱりジェンダー社会学は査読が弱いんじゃないか」という反省が出てこない(ように見える)こと

2021-01-31 16:44:36