厨二心にご注意!? 現代に生きる古文的表現として「神に仕えし〇〇」の”し”は”たる”の方がベターではというお話
大学教員。専門は日本語史。古文・漢文の歴史(文語史)に関心を持っています。研究等の詳細は下記リンク(researchmap)をご参照下さい。
マンガとかツイッターとかで「我が手に宿りし○○」「神々に仕えし○○」「いにしえより伝わりし○○」のような表現を見かけるたび、脊髄反射的に「その "し" は "たる" の方がベターでは?」と詰め寄りたくなる、"し" 警察です。
2021-03-06 20:10:10もう少し詳しく書きますね。 「我が手に宿りし」って、もう今は宿ってない、 「神々に仕えし」って、もう今は仕えていない、 「いにしえより伝わりし」って、今はもう伝わってない、 「選ばれし者たち!」って、今は落ちぶれて全然ダメな人たちって意味ですよね。 twitter.com/_sotanaka/stat…
2021-03-07 18:43:36@_sotanaka 「たり」の存続の意味についておっしゃっていましたが、完了の意味については「き」とどういった違いがあるんでしょうか?
2021-03-07 17:49:43@EternityMajesty ちょっと説明しにくいところなのですが、完了はあくまで出来事の完了(~シテマウ)であって、時制(過去や未来)とは別の文法的概念です(実際には、その区別は微妙なので、現代語では「た」がその両方を担っているわけですが)。 (つづきます)
2021-03-07 18:24:48@EternityMajesty (つづき) ですから、例えば完了の助動詞と「き」を一緒に使ってもそれは完了+過去(~テシマッタ)であって、意味が重複しているわけではありません。 お答えになっていればよいのですが。
2021-03-07 18:25:05@_sotanaka 突然のリプ失礼します。 古文には明るくなく、上の表現に違和感を感じないのですが、この場合に使われている“し“の適切と思われる用法などあれば教えてほしいです。(たる、たりは調べたら例文が出てきたのですが、“し“だけだと候補が多すぎてどれが正解かわからなかったので…
2021-03-07 07:44:31@tennkuunagi 現代語の「た」(「たり」に由来する)は、"過去に起こって現在には存続していないできごと"と"現在にまで存続しているできごと"の両方を表します。 存続していない例:先月コンサートに行った。 存続している例:曲がりくねった道。 (つづきます)
2021-03-07 10:16:52@tennkuunagi (つづき) 古文では、「き」(連体形は「し」)は "存続している" 意味を表さないので、元のツイートに挙げたような文脈で使うと不自然に感じられます。 存続していない、例えば「かつて大いなる地震ありき」といった場合だと「き」でも違和感がないと思います。
2021-03-07 10:17:59@_sotanaka そうすると「神々に仕えし」だと神々に仕えていた(今は違う)という感じになると言う事ですね たしかにそれは違和感が出ますね ご丁寧にありがとうございます!!
2021-03-07 10:50:01なんとなく違和感を持ってた正体はこれだったか!そうだよ。「たる」だよ!!! 「し」は自分で経験した過去だもんね?! twitter.com/_sotanaka/stat…
2021-03-07 18:43:30その者青き衣を纏いて の一文の最後の 降り立つべし を、降り立てりとかにした方が良いのになあと思うのと 同じような感じすかねえ。 twitter.com/_sotanaka/stat…
2021-03-07 14:52:18なるほど。 「神に選ばれし勇者たちよ」とかいっちゃうと、もれなく 「今は選ばれてないけどね!」って意味になっちゃうと(笑) 小説を書くならば、国語全般もやけど、古文もある程度は勉強しとかなきゃってことですなあ…(;^ω^) 気を付けよう。 twitter.com/_sotanaka/stat…
2021-03-07 14:47:19@_sotanaka @r_hashimoto 初リプ失礼します。 連体形の「古より伝わり"き"◯◯」ではどうなんでしょう。 やはり過去形よりも過去完了形の「伝わり"たる"」のほうが望ましいでしょうか?
2021-03-06 20:35:03@Package_Insert ご質問の意図を取り違えていたらすみませんが、「き」は連体形ではなく終止形です。 それから「たり」はいわゆる古文では過去の意味を特に担いません。一般に完了・存続と言っていますが、語源的には存続の意味合いが強いと言ってよいと思います。
2021-03-06 20:45:29@_sotanaka たりは存続的に使うのですね、これで「東北神拳初代より伝わりたる秘奥義、きりたん砲!」ができますね
2021-03-06 20:58:09@Package_Insert はい、タリを使った方が「今までとだえず伝わっている」ことが分かって良いと思いますね。きりたんぽは食べたことないんですけど。
2021-03-06 21:45:07だいぶ前から思っていたけど、やっぱりそうなんだなぁ…… やはり語感からなんとなく使ってしまうんだろうな…… twitter.com/_sotanaka/stat…
2021-03-07 18:38:25ワシは完全に誤用側の人間だったwこういう話を目にすることができるのがツイッターの面白い所だな twitter.com/_sotanaka/stat…
2021-03-07 15:46:47こういうの"古文を意識した現代文"って思ってたけど言われてみたらそうやな... twitter.com/_sotanaka/stat…
2021-03-07 14:35:10友人と密かに「格好良さの『し』」と呼んで動向を見守っている「き」の用法だ。 「小説家になろう」のファンタジー作品等でも、明らかに過去のことではない場合にも、この「し」が使われている例が散見される。 twitter.com/_sotanaka/stat…
2021-03-07 11:10:52@_sotanaka 百人一首で結構その形で出てくる気がしたので(ながながし夜、いでし月、など)違和感を覚えてなかったのですが、これらも実は存続していない状態を示して使ってるのでしょうか..? 惜しからざりし命、はちょうどその状態が存続しなくなったから「し」でよい、という考え方になるでしょうか。
2021-03-07 11:37:22@cercidi_8 @_sotanaka 「ながながし」はまとめて形容詞であり、ここでの「し」は助動詞じゃないので、「とても長い夜」という意味になり存続はあまり関係ないです。「いでし」は月が「でる」rという動作を過去に行った結果今見えているということになるので存続を表しているとは言えないと思います。
2021-03-07 11:45:40@Yoshida_gakusyu @_sotanaka ながながしは形容詞でした、失礼しました、ありがとうございます。いでしは、「でている」ではなく「でる」動作のことなんですね。「つれなくみえし別れ」とかはどうでしょうか..?
2021-03-07 12:43:08