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上代語擬古文作文における注意点のまとめ

上代日本語たん氏による一連のツイートを閲覧時の便をはかるためにまとめました。 (H30.05.09ツイート追加)
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仮名遣い

@yamato2ko2to2ba

1歴史的仮名遣 擬古文を作るうへで、先づ大切なのは歴史的仮名遣を覚江ることです。(上代特殊仮名は私の様な人以外覚江る必要はありませんよ) 歴史的仮名遣は、ハ行点呼以前の発音ですので、最終的に二重母音をハ行で埋める作業をすればなんとかなります。(勿論、基本的な綴りは覚江る必要が……

2018-04-28 17:08:56
@yamato2ko2to2ba

あります。が、漢字で埋めれば送り仮名以外はなんとかなつてしまふのです。) 覚江る必要が大きいのは、おそらく以下のものでせうね。 ・ゐる ・をり ・用ゐる(まあ、上代でなければ用ひるでもセーフ?) ・据ゑる ・植ゑる ・餓ゑる その他ヤ行動詞

2018-04-28 17:08:57

活用

@yamato2ko2to2ba

2活用形 中学生でなければ、活用形はご存じでせうけれど、一応説明するのです。 大きく分けて母音語幹動詞(アプラウトも)、子音語幹動詞、不規則動詞があります。

2018-04-28 17:12:10
@yamato2ko2to2ba

・母音語幹動詞 現代語の上一段、そして「蹴る」にあたります。現代語上一段、下一段の様に活用してください。(※上代には蹴るがないため、上一段だけなのです) ・子音語幹動詞 現代語の五段にあたります。普通に活用させて構ひません。

2018-04-28 17:13:20
@yamato2ko2to2ba

・母音語幹動詞アプラウト型 上二段(→五段その他)、下二段(→下一段)と云はれるものなのです。現代語では括弧内の活用形に概ね対応します。 注意すべき点は、終止形・連体形・已然形で最後の母音がuになると言ふところですね。 掛くれども 掛くること 斯く。 それ以外は現代語の感覚なのです。

2018-04-28 17:23:47
@yamato2ko2to2ba

・不規則動詞 これが少し厄介なのです。 ①ナ変:去ぬ一語のみ。 完了の助動詞ぬは、去ぬが動詞に接続したものらしいので、同じ活用形なのです。死ぬ、は息去ぬかららしいのです。 な/に/ぬ/ぬる/ぬれ/ね 子音語幹動詞とアプラウトが合体した形なのです。

2018-04-28 17:23:47
@yamato2ko2to2ba

②サ変:す一語のみ 命令がせよ、未然形せ、終止形はす、に注意すれば問題ありません。 ③カ変:来一語のみ 命令が「こ」、終止形が「く」であること以外は問題ありません。

2018-04-28 17:23:47
@yamato2ko2to2ba

④ラ変:あり、をり、はべり、いまそがり(語源は文字数の関係で……) 終止形がイ段になる子音語幹動詞なのです。(イ段になるのは性質の意味を形容詞の様に持つてゐるからだと言ふ説もあるのです。)

2018-04-28 17:23:48

過去、完了

@yamato2ko2to2ba

第一課 過去と完了 ①昨日行った処 ②炒った豆 現代語では、①と②に区別がありませんが、擬古文では区別をします。 ①は過去、②は存続なので、以下のチャートをつかつて何れの表現を使ふべきか調べてみませう。

2018-04-28 17:29:12
@yamato2ko2to2ba

①それは過去の動作ですか? →はい:③へ →いいえ:続けて。 ②完了です。 →たり(てあり):上代語の作文では、「り」が附かないものに使ふ樣には心掛けませう →り(たり)  :五段・ラ変版の「たり」なのです。勿論「たり」をつけても構はないのですが

2018-04-28 17:36:09
@yamato2ko2to2ba

→ぬ      :無意志的な動作にできれば使用してください。 →つ      :能動的・動作継続がある様な動作にできれば使用してください ③自分の体験ですか? →はい:き →いいえ:けり

2018-04-28 17:36:10
@yamato2ko2to2ba

「ぬ」と「つ」の使ひわけは、そんなに考へなくて大丈夫なのです。

2018-04-28 17:36:10

推量

@yamato2ko2to2ba

第二課 推量 推量は、以下の様にすると覚江やすいかもしれません。 グループ1 じ・む:現代語の「う」とその打ち消しに概ね相当。 らむ:現在の事象への推量。 グループ2 感覚 なり:耳で聞こ江る→伝聞・状況からの推定 めり:目で見江る→らしい、様だ グループ3 他 らし:確信を持った推定

2018-04-28 17:41:27

助詞、その他

@yamato2ko2to2ba

斯う言ふ風に第二課をすぐに切り上げるのは、別に面倒だつた訳ではないのです。面倒だつた訳ではないのですよ! 第三課 助詞 助詞は、気を付けませう。 ①主節の主格は無助詞、対格もたまに無助詞 斯うするだけで、大分擬古文になります。

2018-04-28 17:45:39
@yamato2ko2to2ba

②で、だけ、など、中世~近世までの助詞は使はない 例へば、 にありて→にて→で なので、にて、にありて等を使ふのが良いのです。 「ゆ」「よ」などもいいと思ひますよ。(※上代語限定)

2018-04-28 17:45:40
@yamato2ko2to2ba

3補助動詞の翻訳 次は何でせうか。現代語の助動詞(※補助動詞)との対応を挙げてみませうか。 てゐる→たり てある→たり てみる→こころむ? などとするとよいと思ひますよ。(逆に、しないと不自然かも)

2018-04-28 17:47:41
@yamato2ko2to2ba

4可能動詞は使はない 可能動詞は、明治以降の表現なので使用は止め、「る・らる」{ゆ・(らゆ)}や副詞え(←上代語はやめた方が良いかも)で代用しませう。ら抜き言葉ももちろん駄目です。 「かつ」などもありますが、限定的な用法です。(しかも上代語)

2018-04-28 17:51:11
@yamato2ko2to2ba

基本はこんなところでせうか。あ、叮嚀語は「さふらふ」「はべり」など(上代語はだめ)に変へませうね。

2018-04-28 17:52:40
@yamato2ko2to2ba

5已然形 仮定形は「~したところ」と云ふ意味になります。(~したので、~したから、と云つた訳もありますが、慣れればすぐに分かる様になるので汎用性の高い訳を挙げます。)

2018-04-28 22:56:16
@yamato2ko2to2ba

仮定条件を表すときは、未然形+ば、終止形+ともなのです。使ひわけはたぶん感覚でわかるので言はないのです。

2018-04-28 22:57:51