江戸時代の居合流派諸派と全日本剣道連盟制定居合

諸流派をまとめたという制定居合の一本目と現代まで残る江戸時代から大正頃までに成立した居合流派の一本目の形の演武を見てみました。
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みんみんぜみ @inuchochin

伯耆流熊谷派のように、前で止まる抜付けですが、鞘を持ったまま左手を付けていること、完全に立ち上がっていることなど、心形刀流も独特です。 二の太刀も一度肩に担ぐようにしてから足を引きながら切り付ける、という点も面白いです。 納刀も独特です。 pic.twitter.com/hi5E7Sutn4

2021-04-02 20:35:59
みんみんぜみ @inuchochin

ちょっと遅い時間ですが、今日も「流派居合の流派一本目の形を見学しよう」の続きを始めます。 今日は文献から17世紀には成立、技法も古そうなものを残してそうな流派の残りを紹介します。具体的には、 信抜流 英信流 の二流派です。

2021-04-03 23:53:22
みんみんぜみ @inuchochin

信抜流 一本目の面当常 大分や山口、広島に伝わっていた流派で、江戸時代後期には江戸でも教えられていたようです。元々は新影信抜之流とも名乗っていた新陰流系の剣術で、一説にはタイ捨流の流れだそうです。居合はいつ頃からあるか不明ですが、17世紀の伝書に現在と同じ居合の目録が存在しています pic.twitter.com/tpr4gVTGiN

2021-04-03 23:56:15
みんみんぜみ @inuchochin

信抜流の居合は左足を踏み出し抜きつけること、二ノ太刀が心形刀流と同じように肩に構えて打つこと、関口流のように飛び違いを使う事、など制定居合とはかなり雰囲気が違います。また納刀も他流に似たものを見かけないやり方です。 pic.twitter.com/tpr4gVTGiN

2021-04-03 23:58:11
みんみんぜみ @inuchochin

信抜流を修行した有名な人としては、平山行蔵がいます。江戸後期の幕臣、兵法家で、長い刀を使い、常在戦場の生活を心がけていたので当時変人扱いされていたようですが、幕末の剣士達にも間接的に影響を与えたようです(余談) なお、動画は「日本の古武道 信抜流」より抜粋 pic.twitter.com/tpr4gVTGiN

2021-04-04 00:05:10
みんみんぜみ @inuchochin

英信流横雲 現在主流の土佐の英信流ですが、元々は信州の荒井清哲という人物が、17世紀末に江戸に出てきて居合を教えていたところに、土佐藩士林六太夫が免許を得て土佐藩に伝わりました。現在の正座の技は林が別に学んだ大森流で、英信流の一本目はこの横雲とのことです。youtube.com/watch?v=-zTXyN… pic.twitter.com/GV1l9XEn2q

2021-04-04 00:14:25
みんみんぜみ @inuchochin

荒井は故郷に帰ったあとも教えていたため、松代藩にも英信流は伝わっていました。荒井は居合を教える前は長谷川英信の柔術を教えており、信州ではこちらの柔術が主体で、それに居合が加わる形で伝承されていたようです。(林も柔術は習ってはいたようです。)pic.twitter.com/GV1l9XEn2q

2021-04-04 00:15:19
みんみんぜみ @inuchochin

英信流の技は正座ではなく立膝から始まること、血振るいが横に太刀を開く動作であること、など制定居合とは違いますが、横一文字にぬきつけて横まで開くこと、真っ向を打つこと、は大森流の技と同じようです。 pic.twitter.com/GV1l9XEn2q

2021-04-04 00:17:06
みんみんぜみ @inuchochin

無外流居合(自鏡流居合)一本目 無外流は剣術を中心とした流派ですが、姫路藩に伝わった高橋派には自鏡流居合が伝わっていました。自鏡流は新田宮流を学んだ多賀権内が17世紀末に創始した流派で、一説には無外流と自鏡流が一緒に学ばれていたとされています。(日本の古武道 無外流 より) pic.twitter.com/WcOJuH67uC

2021-04-04 00:27:11
みんみんぜみ @inuchochin

他の流派と違い、右足を立てながら抜きつけは斜めに切りあげ、足を立て替えながら袈裟に切り付けています。 これまで見てきた流派の中で似たものはありません(といいますか、どの流派も独特なのはわかっていただけたと思います) pic.twitter.com/WcOJuH67uC

2021-04-04 00:28:58
みんみんぜみ @inuchochin

この無外流(自鏡流)居合一本目の形は、自鏡流の目録によれば「本腰」という名称だったようです。 現在の無外流(無外流居合兵道)は無外流高橋派などを学んだ中川伸一が創始した流派で、高梁派とは一本目の形が違っているようです。 pic.twitter.com/WcOJuH67uC

2021-04-04 00:34:10
みんみんぜみ @inuchochin

これで文献から17世紀に成立していた事がわかる流派を終わります。 他にも 影山流 新田宮流 制剛流 の現存三流派が17世紀には成立しているのですが、 影山流は非公開主義で動画未公開、 新田宮流は居合形が失伝して立合のみ、 制剛流は長岡派(柳生派)とでもいうべき独自化しているので次回とします

2021-04-04 00:42:35
みんみんぜみ @inuchochin

香取神道流の居合一本目、草薙の剣です。 香取神道流は言うまでもなく、シントウ流の祖、飯篠長威の子孫が伝えた流派です。500年以上の歴史を持つ香取神道流ですが、居合抜刀の技がいつからあったか不明です。ですが江戸時代後期には行われていたようです。(「日本の古武道 香取神道流剣術」より pic.twitter.com/C2DbieFxXo

2021-04-04 23:38:38
みんみんぜみ @inuchochin

シントウ流の居合ですが、長威の直弟子、松本備前・門井主悦の両系統で剣には共通点が見られ、飯篠家と松本備前系で薙刀槍の技法がかなり共通しているのに対して、居合は江戸初期の記録が無く、卜伝系と飯篠系の居合に共通点が無いため、後世に追加された可能性が高そうですpic.twitter.com/C2DbieFxXo

2021-04-04 23:40:07
みんみんぜみ @inuchochin

座り方は膝を立て、左つま先を立てた座り方であること、一本目の形から動作が多い事、納刀の動作が独特であること、などが印象に残ります。 この柄を廻して拳で打つ方法は竹内流の居合など他流でも使われていることから、昔はそれなりに一般的だったのかもしれません。 pic.twitter.com/C2DbieFxXo

2021-04-04 23:41:07
みんみんぜみ @inuchochin

荒木流拳法(捕手)の抜剣 形名が不明なので、おそらく最初の何本かと思われる動画です。 荒木流は捕手(近世の逮捕術)・小具足(脇指などを使った室内での格闘技術)を中心とした流派で、戦国時代末期~江戸時代初期に成立しました。この流派では居合を抜剣と書くようです。 pic.twitter.com/WBrUfIev9H

2021-04-05 00:04:46
みんみんぜみ @inuchochin

荒木流の居合の形名は系統によって違ったりしているので、そもそもは太刀を使った居合が無かった可能性があります。(小具足は脇指や太刀を使った居合とも言える技法体系ですが、体術・格闘技よりです) この動画の系統は現在も群馬県で活動されている荒木流です。 pic.twitter.com/WBrUfIev9H

2021-04-05 00:07:22
みんみんぜみ @inuchochin

荒木流の抜剣の演武はこの動画でしか見たことがありませんが、捕手や小具足以外に、棒術、鎖鎌、ちぎり木、剣術、抜剣など多様な技術を伝承されている名流だと思います。 引用元↓ youtube.com/watch?v=wpGPGC… pic.twitter.com/WBrUfIev9H

2021-04-05 00:09:58
みんみんぜみ @inuchochin

座ったまま抜くところ、抜き付ける方向が正座している正面ではないところなど、荒木流の抜剣も今まで見てきた流派で似ているものは無いように思います。 pic.twitter.com/WBrUfIev9H

2021-04-05 00:16:17
みんみんぜみ @inuchochin

竹内流の居合一本目。 竹内流は脇指居合と言える、小具足腰廻と捕手を主体とした流派です。流派成立は戦国時代ですが、竹内流の刀の居合はいつからあるか存じません。神道流と同じく分派に居合が無い、または共通点が無い、という点から江戸時代に追加されたのではと想像しますyoutube.com/watch?v=2yM6kt… pic.twitter.com/qR1XIOblwn

2021-04-05 23:40:43
みんみんぜみ @inuchochin

竹内流の居合も特徴的で、座ったところから一度左足を踏み出し、その後に左右の足を飛び違いながら抜刀しています。また、八相のような構えで残心するのも珍しく感じます。抜く前に手の甲を柄に付ける事、納刀は柄を回して拳で打つ、と香取神道流と同じです。pic.twitter.com/qR1XIOblwn

2021-04-05 23:42:58
みんみんぜみ @inuchochin

竹内流には先日紹介した荒木流捕手と同じく、棒術、剣術、長刀、鎖鎌、手裏剣、と各種武器術も存在しています。ですが、一番代表的な小具足腰廻は、短刀の居合と言える技法なので、一本目の形「忽離之事(たちまちはなるる)」の演武も見てみます。youtube.com/watch?v=2yM6kt… pic.twitter.com/PRAZiHcocB

2021-04-05 23:48:21
みんみんぜみ @inuchochin

忽離之事は名称の通り、胸を掴んでいる敵の手を切り外して間合いの外にたちまち離れ、追撃してきた敵の脇差を受け止め掴んで…と攻防しています。竹内流派柔術の源流と言われますが、武器と体術の間の技術で、「剣と柔の間」と言われる居合と同種の技法ともいえると思います pic.twitter.com/PRAZiHcocB

2021-04-05 23:51:52
みんみんぜみ @inuchochin

千葉県野田市に伝わるばっぱか獅子舞の居合。 伝承によれば元禄時代(17世紀末)に始まる行事だそうですが、その中に居合があります。 制定居合を基準にしてみると、祭りの古い演目に見えますが、これまで見てきた諸流派の居合の動作を思い出しながら見ればかなり多くの共通点があるのがわかります。 pic.twitter.com/SaClIw8DIT

2021-04-06 00:01:39
みんみんぜみ @inuchochin

古流諸派の動作で言えば、信抜流のように抜付で左足を出す、信抜流や心形刀流のように刀に取ってから二の太刀を打つ、関口流や信抜流のように飛び違いながら打つ、 納刀の際に神道流や竹内流のように柄を打つ、などです。 古い時代の居合が元になっているのがわかります。 pic.twitter.com/SaClIw8DIT

2021-04-06 00:05:37