雑考#9:ざっくりとジャズとフュージョンの違いを語ってみた。
- terry_rice88
- 7912
- 0
- 0
- 1
始めに
このまとめはまとめた&つぶやいた本人の主観に基づいたまとめです。
路地裏音楽戦争さんの「ジャズとフュージョンって別物なの?」という記事から、思ったことをつらつらと語ったものとなっています。
主観で整理をつけないままお話してますので説明の不備などが多々ありますので、ご了承ください。
なるべく補足しますですが、あくまで個人の意見だと踏まえた上でご閲覧ください
個人的には、傍系の親戚筋みたいなジャンルだと思ってる。ジャズとフュージョンって別物なの? http://t.co/L9wE1m2
2011-08-10 02:12:17基本的にジャズって、黒人の歌うブルース(ワークソング)やゴスペルが基調になって、彼ら独特のリズム感とコミュニティ意識が大いに反映されている音楽ジャンルなんですよね。アドリブのパートソロなんてのは、一種の平等主義というか。プレイヤー全員に出番が与えられる。
2011-08-10 02:15:35少なくとも黒人の間では差別がないですよーという意識の現われみたいなのを感じるかなと。ジャズ、といっても一口に語れないくらい形式があるわけで。個人的にはビッグバンドとコンボジャズの時点で全く違うジャンルだと考えます。
2011-08-10 02:18:05※補足1 ビッグバンド=オーケストラ、コンボジャズ=バンドですね。大人数の楽団から少人数の音楽スタイルに移り変わっています。
ここでいうジャズっていうのはコンボジャズの方だと思うので、そちらの方から。ビッグバンドとは対照的に、レストランやキャバレーといった比較的小さいハコで演奏するために作られた形式。いわゆるバンド演奏ですね。
2011-08-10 02:21:23ざくっと説明すれば、ニューオーリンズジャズ→ビッグバンド→コンボジャズの流れで、ビバップやらフリージャズ、クールジャズ、ハードバップなどなどの音楽形式はコンボジャズから生まれたと考えていただくと分かりやすいかな。そのコンボジャズで生まれた最初のジャンルがビ・バップだと思って下さい
2011-08-10 02:24:50説明が長くなりそうだなあ・・・。ジャンルっていうのは作られたら後年まで継続するのでそれだけ多様性が広がるので、後になればなるほど、いろんなものが形式としてミックスされていきます。
2011-08-10 02:26:47でまあ。コンボジャズ以降のジャズの歴史を何度も改新させたのがかのマイルス・デイビス。一般に彼が「フュージョン」を作り出したとされています。その金字塔といわれているのが「ビッチェズ・ブリュー」。一度聞けば、分かると思いますがワケが分からない内容です。
2011-08-10 02:30:12アルバムの内容はともかくとして、ここまでフュージョンというのがジャズを基調としているというのを理解していただければ、それで構いません。さて、この「ビッチェズ・ブリュー」という作品も69年に製作されています。そう、あのロックの歴史においても極めて重要な年である1969年です。
2011-08-10 02:33:50※補足2 1969年と言うのはポピュラー音楽史の最重要年といわれています。ビートルズが「サージェントペパーズ・ロンリーハーツ・クラブバンド」を発表したり、キング・クリムゾンが「クリムゾン・キングの宮殿でデビューしたり、かのウッドロックフェスティバルが開催された年でもあり、この一年だけで起きた出来事だけでもロックの伝説が数あまたあるという、ビッグバン的な一年であります。
いわば、この年を境にジャズとロックが交差するわけなのです。ロックもジャズも同じ黒人音楽を先祖にした音楽です。しかし、ロックを発展させたのはビートルズを始めとする英国の白人の若者たちです。対してジャズは基本的に黒人の音楽。それまでは黒人が中心になって発展させてきた音楽なワケです。
2011-08-10 02:37:44※補足3 ロックとジャズの交差という点ではジミ・ヘンドリックスを忘れてはいけないでしょう。27歳という短い生涯の晩年、ジャズに傾倒し出していたことは、有名なお話(亡くなる日の三日後にマイルスとセッションする予定でした)黒人ロッカーの先駆けとしても、有名ではありますが、彼がもっと長生きしていれば、ロックとジャズの融合と言うのはまた別の未来になっていたことでしょう。そういった点からも彼を「ロックの特異点」と呼ぶ事もしばしばあります。
フュージョンという言葉以前にはジャズ・ロックという言葉が使われていましたが、これが出てきたのが70年代の初頭辺り。結論を述べてしまえば、この時点でジャズというジャンルが黒人のものだけではなくなっていたってことなんです。普通にジャズに影響を受けた白人が存在していると。
2011-08-10 02:45:34※補足4 このジャズロックという言葉は存外、曲者だったりします。一般的にはジャズにロックの形式と演奏スタイルを持ち込んだっていう説明が分かりやすいと思うのですが、なんのこっちゃだとおもいます。
概念としては物凄く曖昧なもので、ロック的なジャズなのかジャズ的なロックなのかで音もスタイルもかなり違ってしまう上に、アメリカで発生したものとは別に、イギリスのカンタベリー地方で発生した音楽スタイルをジャズロックという場合もある(別名:カンタベリーロックとも。代表格はソフトマシーンなど)ので、余計にややこしいジャンルであると言えます。
ここではフュージョンというジャンルが確立する以前の未分化なジャンル、つまりは過渡期的な音楽ジャンルだと思っていただけば、問題ないです。
でまあ、70年代と言うのはジャズを聴き、影響を受けた若い人々(人種は問わず)が台頭してきた時代だともいえます、プログレッシヴ・ロックの台頭と少なからずリンクしているわけですね。
マイルス・デイビスは「いいプレイヤーならたとえ宇宙人でも起用する」という人間でしたので「ビッチェズ・ブリュー」の演奏陣などは黒人白人の隔たりがないパーソナルとなってます。しかし、それこそが「発明」だったというわけです。
2011-08-10 02:49:02※補足5 「ビッチェズ・ブリュー」という作品についてですが、今見ると笑ってしまうような豪華演奏陣だったりします。
後にフュージョンの代表的バンドであるウェーザーリポートを結成する、ジョー・ザヴィヌルとウェイン・ショーター。
「リターン・トゥ・フォーエバー」などフュージョンの名盤を数多く作り出し、最近では日本のピアニスト上原ひろみとも共演したチック・コリア。
マハヴィシュヌ・オーケストラを結成し、当時のジャズ・ロックを極めたギタリストのジョン・マクラフリン。
などが参加しています。作品自体は14~25分強の曲がずらりと収録されていて、演奏もカオスティックなモノですが、上記の人々が参加しているということからも「何かが生まれる兆候」を捉えた作品と言えます。ですから、「フュージョンの卵」と言えるアルバムでもあります。
簡単に言えば「ジャズはやっぱり黒人の演奏に限る」というような概念をマイルスが破壊してしまったってことなんです。「バカ言っちゃいけねえ、誰がそんな事決めたんだ?」っていったのがマイルスで実行したのもマイルス。この風穴によってジャズ界に白人が入りやすくなったわけですねえ。
2011-08-10 02:51:21嘘のような話ですがマイルスのバンドに参加していた白人ジャズピアニストの草分けでもあるビル・エヴァンスは白人がジャズをやるなんてけしからんと差別されて、バンドを脱退したって言うエピソードもあるくらいですから、閉鎖的な側面があったわけです。
2011-08-10 02:53:45※補足6 ビル・エヴァンスに限らず、当時の白人ジャズ・プレイヤーはもちろん存在しています。ギターのタル・ファーロウだったり、サックスのアート・ペッパーだったり、数は少ないですが有名なプレイヤーがいる事は確か。ただジャズ界隈が黒人コミュニティだったことからも彼らの存在はマイノリティだったと言えなくないかと思います。
だからマイルスの開けた風穴というのは非常に大きいわけなのです。言ってみれば、幕末日本の開国みたいなものです。ジャズをみんなのものにしようとした結果、様々なジャンルと結合して、軽やかに、かつ聞きやすく作り上げられたのがフュージョンなのです。
2011-08-10 02:57:54ジャズがご先祖になってるのはもちろん変わりないんですが、そこにロックだけでなく、ラテン音楽や、レゲエだったり、R&Bやポップスの要素を上手くいい所取りして、加工食品として美味しく作られたジャンル、それがフュージョンだったというわけですね。
2011-08-10 02:59:58先程も言ったように一度作られたジャンルは、決して絶える事がなく、つねに多様化していくわけなのでジャズから分岐したフュージョンもさらに枝分かれしているわけです。もちろん先祖がえりしたりもして。
2011-08-10 03:02:47だから一概にどう違うの、と言われると最初から説明しないと分かり辛かったりするわけですが、ジャズとフュージョンにおいてはご先祖は一緒だけど、遺伝子の染色体数を確認すると全くの別個体であるという結論になるわけです。聞こえようによっては同じように聞こえるけど、別物ですと言う。
2011-08-10 03:06:33※補足7 分かりやすい大きな違いというと、リード楽器としてギターの存在感の差が結構大きいかもしれません。ロックではかなり花形の楽器ではありますが、ジャズにおいてはトランペット、サックス、ピアノがまずメインとしてあって、ギターはメインから一歩下がる感じ。ドラム、オルガンやトロンボーンなどちょっと珍味的な扱いではあるかなあと。
もちろん名手がいないわけではなく、ウェス・モンゴメリーやグラント・グリーン、ケニー・バレル、タル・ファーロウ、パット・マルティーノなどなど、枚挙に暇はありませんがメイン的な扱いを受けることは数少なかったかなあと。
それがロックの要素が入るとともに一変して、ギターもメイン楽器として扱われるようになるわけですねえ。ここらへんもフュージョンのジャンル確立と重なっていて、ジェフ・ベックの「ブロウ・バイ・ブロウ」などの名盤が生まれるきっかけともなっています。
その一方で、質的にハイスペックな音楽ジャンルになると同時に高い演奏技術への偏向が強くなってくるわけですがまあそれについては割愛します。